旅行記エッセイをオススメするエッセイ

三文士

「身体はアジア(略」の紹介エッセイ

東南アジアに旅に出てたのが25〜26歳の間で、心情的にはまだ子供でもありながら何処か落ち着きつつもあった微妙な頃だった。


とにかく現実から逃げるべく旅に出たわけだが、日本より大変な毎日でまんまと現実を忘れられた。


その時つけていた手記をこうして年月を経た今に公開できる。そんな場であるカクヨムという存在には本当に感謝している。


小学生の時ですら毎日つけられなかった日記を、せっかくノート一冊分も書き溜めのだ。誰にも見せないのはもったいないと常々思っていた。しかし日記の字が汚すぎてとうてい友人が読めるシロモノではないし、原文ママだと支離滅裂な箇所がいくつもあった。


デジタルに移行する必要性を感じたが、いわゆるアメブロやライブドアブログは自分の柄じゃない。小説家になろうにはすでに投稿していたが、とにかく誰でもいいから読んでもらいたいという自分の希望に反しなろうは投稿者の分母が大き過ぎた。それに加えなろうはファンタジーというジャンルが強すぎる。


悶々とした日々を送っていたところカクヨムのサービスが開始。そして初期の混沌としていた時代に投稿したエッセイに少なからず反応があったのを見て、ここで書こうと決心した。


こうして今に至っている。途中、一度エタってしまった時期もあった。エッセイコンテストで一次落選した時期もあった。しかしながらこうしてこのエッセイが完走できたのは、数人でも読んでくれる方がいるという事実だった。これは非常に糧になった。


旅行記エッセイとしては少々堅い文章だし、せっかく海外に来てるのに外観の描写よりも自分の心理描写の方が多くなってしまった。そこら辺が一次落選の理由だと思うが、現在連載中のインド編ではその反省を少しだけ活かせている。と、思う。



エッセイにはあまり書いていないが約二カ月に及ぶ旅行中、ずっとお腹を壊していた。下していない日の方が少ないくらいである。元々お腹は弱い方だったが、東南アジアではずっとやられていた。なので日記のほとんどはトイレで書かれたものである。その背景を踏まえて読んでいただけると、面白さが少しは増すかもしれない。しないかもしれない。



この旅行の最終日前日。タイのゲストハウスでのんびりタバコ吸っていた僕の前を、半ベソかいて歩く大学生らしき日本人が通った。心配になって声をかけると彼は本当に泣きながらこう訴えた。


「今日、日本から来たばかりなんですけど。知らないタイ人に『川の向こう岸に連れていってやる』って言われてボートに乗ったんです。そしたら川の真ん中で『金を払わないと川に落とす』って脅されて。1500バーツとられました」


今考えると、どうしたって彼に落ち度があるのだがその時の僕はかつての自分を彼に重ね不憫で仕方ない気持ちになっていた。


僕は彼を誘って近くのパブに出かけた。そこでビールを飲みながらかつて自分も初日から3000バーツ騙し取られたことを話し、それでもなんとか二カ月旅を続けこうして元気でやっていると伝えた。


僕は彼に二カ月の色んな体験談を話した。ミャンマーのこと、インドで病気になったこと。カンボジアのこと。そしてもちろんタイでのことも。


僕が全てを話し終えるころには二人ともすっかり酔っていた。


彼は最後に何度もお礼を言いながら「なんだか少し元気が出ました。もう少しタイを頑張ってみます」と笑ってくれたので固い握手をして別れた。


名前も連絡先も聞かなかったので彼がその後どうなったかは知らない。




僕のこれらのエッセイ読んで、少しでも東南アジアに興味を持ってくれる人がいたらこんなに嬉しいことはない。願わくば、その中から実際にバックパック旅行に行く人がいれば更に素敵だ。


その人に言ってあげたいことは二つ。


貴方にはきっと僕以上の素晴らしい体験が待っていることでしょう。


もう一つ。


知らない外国人の言うことは、絶対信用しちゃいけない。



以上。



さあ、まずは僕の旅行記エッセイ


「身体はアジアの旅の空、心は実家の部屋の中」


を一話でも読んでみることをオススメする。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る