chapter11 「総合原価計算-先入先出法と平均法」って何!?
<前回のお話(chapter10)のあらすじ>
美術の提出課題が終わっていない美琴は、ある日の放課後、美術部顧問で商業科の
レクチャーは、月初から作品(製品)を作り始めたため、前月から繰り越された仕掛品がないという想定で進められたものの、「月初に仕掛品があった場合の月末仕掛品原価をどのように算出すれば良いのか」について疑問に思った美琴は、その日の部活終了後、美術室にいるであろう郷中先生を訪ねたのだった。
「失礼しま~す♪」
「美琴さん!約束通り来たわね♪」
「はいっ!」
「先生は、お時間大丈夫ですか?」
「私は大丈夫よ。乗りかかった船だもの。美琴さんに最後まで教えないと、何だか気持ち悪いのよ」
「そうおっしゃって頂けるなら、私も気兼ねなくレクチャーを受けられます!!」
「戸山先生の授業は授業で、しっかりと聞いてね」
「分かりました!」
「さて、美琴さんのさっきの質問「月初に仕掛品の繰越があった場合に、月末仕掛品原価をどうやって出すのか」だけど、その前に所業簿記の授業で勉強した「商品有高帳」を思い出して欲しいの」
「記録の方法に「先入先出法」「移動平均法」「総平均法」といったものがある、あれですか?」
「それそれ。工業簿記では、月末仕掛品原価を算出する際、商業簿記でもやった「先入先出法」と「平均法」の2種類が主に使われるわね」
「先入先出法は「先に入って来たものから先に出していく方法」ですよね…ていうことは、もしかして「月末仕掛品に、月初に残っていた仕掛品は100%含まれない!」って感じですか?」
「ご名答!その通りよ!!」
「「先に入ってきたものから先に完成する」方法だから「先入先出法」。ていうことは、月末仕掛品を算出する際に「月初の仕掛品は関係ない!!」と考えるのよ」
「つまり…「当月分で単価を出して、月末仕掛品原価を算出する!」ということですね」
「そういうことよ」
「てことは「平均法」は「「月初」と「当月」を混ぜて平均を出す方法」だったりして…」
「いや、美琴さん…その通りよ!!」
「(さすが、煉君の彼女、といったところかしらね♪)」
「「平均法」の場合は、月初と当月を足した合計個数並びに換算量で材料費・加工費それぞれ単価を算出し、月末仕掛品原価を計算するの」
「「平均法」の場合、月初と当月をミックスして算出された単価は、月末仕掛品原価にも製品原価にも、どちらにも使えることになるわ!」
「「先入先出法」で算出した単価は、あくまで「月末仕掛品原価」を算出する時にしか使わない、ということですね」
「そういうことね」
「「先入先出法」は、先に入ってきたものから先に出して行くから、月末仕掛品に月初のものは残っていないはずだから、無視して当月のみで考える!」
「「平均法」は、月初と当月をミックスして考えるから、そこで出された単価は月末仕掛品原価にも製造原価にも使える!」
「それぞれの方法の性格を考えれば、難しくはない話なんですね!」
「そういうこと。まぁ、簿記って、全般的にその話は通用するんだけどねっ!」
「郷中先生!ありがとうございました!!」
「今度は、大学生になった煉君と一緒にいらっしゃい。煉君の大学生活も聞いてみたいし、ね。」
「分かりました!!ありがとうございました!」
chapter12 に続く
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