chapter11.5 「総合原価計算-仕損・減損」って何!?
ある日の部活のない放課後。私は彼氏である煉先輩に学校に来てもらい、工業簿記を教えてもらっていた。
「…それで、デート中に軽く質問できない簿記の内容って?」
「えっとね…総合原価計算の中で出てくる『仕損・減損』が、いまいちなんだよね…」
「総合原価計算の中で、ちょっととっつきにくい部分だよな…」
「そうなの…仕損が『生産物が不合格になって出荷できなくなった完成品』で、減損が『水が沸騰によってなくなるみたいに、原材料が生産過程で消失すること』ってことは分かってるんだけど、そのコストを処理する方法が『度外視法』だっていうところで、頭が混乱しちゃうんだよね…」
「まぁ、確かに『度外視』っていうのは『無視する』って意味だから、コストを『無視していない』と言えばその通りだしな…」
「そうそう!『度外視』しないのに『度外視法』って、何で言うのかな?」
「ここで言う『度外視』っていうのは、仕損や減損で発生したコストを『仕損費』『減損費』として処理せず、完成品や月末仕掛品の生産に必要なコストとして考える、つまり『仕損費や減損費というコストとして考えない』という意味での『度外視』なんだよ」
「なるほど!『コスト自体を無視する』ということではなく、『仕損費や減損費という固有のコストで考えない』という意味なんだね♪」
「そういうこと。だから『度外視法』って言うのさ」
「そして、ここで問題になるのは、仕損や減損で発生したコストをどう完成品や月末仕掛品に負担させるか、ということだが…」
「それは何となく分かってるんだ~仕損や減損の発生点によって、完成品だけに負担させるか、月末仕掛品にも負担させるかが決まるんだよねー」
「その通り!」
「仕損や減損の発生点が、月末仕掛品の仕上り程度よりも後にあった場合は『完成品にだけ負担』させて、前にあった場合は『両方に負担』させるんだよね♪」
「そうだな。月末仕掛品の仕上り程度よりも後に仕損や減損が発生したのに、月末仕掛品に負担させるのはおかしいもんな!」
「月末仕掛品に、仕損や減損は関係なかったってことですもんね♪」
「で、前に仕損や減損が発生した場合は、それが月末仕掛品の中にも含まれているはずだから、月末仕掛品にも負担させるって訳だ!」
「ちなみに、『仕損や減損の発生点が分からない』って場合はどうするの?」
「そこまではやっていなかったんだな…」
「それに入ろうとした時に、ちょうどチャイムが鳴ってまた次回ってことになったの…」
「そうか…発生点が不明だった場合は、月末仕掛品の仕上り程度よりも前に発生した時と同じで、完成品・月末仕掛品両方に負担させるんだ!」
「断定できないから、両方に負担させとくってこと?」
「そういうこと!」
「なるほどね…」
「疑問は解決できたか?」
「うん!」
「よし、それじゃ問題やってみようか?」
「は~い」
capture12 に続く
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