chapter05 「経費」って何!?
『通信料が昨日7GBを超えましたので、月末まで通信速度が制限されます…』
「えぇ…もう通信制限!?」
今日は25日。確かに昨日、通信を制限するってメールは入っていたけど…
「どうした美琴?じっとスマホ眺めたりして…」
「せんぱ~い!そうか、今日は部活に来る日だったっけ!」
私は、今日ダーリンである煉先輩が来る部活の練習日だということを、すっかり忘れていた。
「それはいいとして…スマホがどうしたんだ!?」
「毎月恒例の「通信制限」に入っちゃったみたいなの…」
「俺の大学じゃ、学生のために「無料Wi-Fi」が解放されているし、自宅も親が契約しているWi-Fiを使っているから、俺のスマホは通信制限かかったことないな…」
「そうなんだぁ…いいなぁ…けやき商も生徒のために無料Wi-Fiを開放…なんてことにはならないだろうなぁ…」
「俺たち学生は、Wi-Fiの恩恵を受けられるけど、結局その通信回線の料金は大学が支払っている訳で、通信料も膨大になるだろうから、大学はかなり高額な「通信費」を支払っているだろうな…」
「確かに…けやき商は都立高校だから、そんなお金もかけられないだろうし、ね…」
「通信費と言えば、この前戸山先生の日商2級の授業で…」
『通信費といった、経費に該当するほとんどの費用は「間接経費」で、「直接経費」は2つしかないんだーー!!』
「って言ってたっけ…あれっ!?直接経費に該当する2つの費用って、何だったっけ!?」
「「直接経費」。即ち、それを支払わなければ製品の製造に直接影響が出てしまう経費のこと」
「つまりは「外注加工賃」と「特許権使用料」のことを指す!」
「それだ!戸山先生も先輩と同じことを言ってた!」
「「外注加工賃」は、他の会社に製品の加工を依頼した時に支払う経費で、「特許権使用料」は特許権を使用する際に、その所有者に対して支払った使用料のことですよね!」
「正解!2つとも、それを支払わなければ製品の製造ができなかったり、製造がストップしてしまう経費のことだ。だから「直接経費」として「仕掛品」勘定に振り替えることになる」
「直接経費のことは分かったけど、「通信費」以外の間接経費には、どんなものがあるんだろう?」
「「減価償却費」「棚卸減耗費」「旅費交通費」「修繕費」「水道光熱費」「保険料」などがあるな」
「「棚卸減耗費」以外は3級商業簿記で勉強したものですね」
「そうだな。「棚卸減耗費」は、材料の月末有高をカウントした時に、正常の範囲内で自然消滅したり劣化して使えなくなった材料を減少させて費用化したものだ」
「問題によっては経費に該当させない場合もあるから注意が必要だ」
「そう言えば「減価償却費」も間接経費なんですね…」
「製品を製造するのに「建物」「機械装置」「備品」などの固定資産は必要不可欠だ。故に、これらの固定資産の減価償却費は、間接経費として製品の製造原価にプラスするんだ」
「但し「本社」が管理する固定資産の減価償却費や保険料などの経費は、製品の製造原価とは考えず「販売費および一般管理費」として処理をするんだ。」
「「工場」でかかった経費なら「製造原価」に入れて、それ以外の場所でかかった経費は「販売費および一般管理費」に入れるという訳ですね!!」
「そういうことだな!」
「それにしても、通信制限は困っちゃうなぁ…先輩とも連絡取りづらくなっちゃうし…」
「やっぱりケータイ2台持ちして、1台は先輩との連絡専用にしようかなぁ…」
「(これは…俺が美琴にスマホを買ってあげればいのか…いや、しかし…)」
「どうしたの、先輩!?」
「いや、何でもない」
「???とりあえず、通信制限かかっちゃう月末は、先輩に毎日学校に来てもらえばいいか!!」
「いや…そういう問題じゃない気がするんだが…」
…
chapter6 に続く
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