chapter27 「2016年 日商簿記検定3級 出題区分の変更点」
Capture26から約1年後の、ある日の大学の講義終了後、俺は母校である「けやき商」のパソコン部の部室を訪れていた。
「こんにちは!煉先輩!!」
「真琴か!美琴から聞いてはいるが、元気そうだな!!」
「せんぱ~い!もう来てたんだ~」
「ああ!今日は午後の講義が休講になったもんだから、少し早く来れたんだよ!」
「そう言えば、真琴は2月の検定で日商簿記2級に合格したそうだな!」
「はい!「出題範囲」が変更になる前にって思っていたので…」
「大学の簿記の講義でも、出題範囲の改訂については、教授が語っていたよ…」
「美琴は、これから日商2級取ろうとしているんだよな!」
「はい!!今もデート中に教えてもらったりしてるしね♪」
「それにしても、去年(2015年)と、今年(2016年)で、一体どんな風に出題範囲が変わったんだろう…」
「2級の範囲は1から戸山先生と先輩に教えてもらっているから問題ないけど、去年取った3級の範囲については、知っておく必要があるかも…」
「ちょうど、それについて今日の午前の講義で教授が語っていたから、2人に教えておこう!」
「は~い!」
「ありがとうございます!!」
追加された論点 伝票の集計・管理
「これは、今まで2級で出題されていた内容が3級に降りてきたもので、今後は伝票の起票についてだけでなく、「伝票の集計(仕訳集計表等)」についても出題されることになったんだ!」
「これに加えて…」
削除された論点① 仕入伝票・売上伝票の削除
「実務上「入金」「出金」「振替」の「3伝票制」に、「仕入」「売上」を加えた「5伝票制」を採用する企業が少ないと日商は判断し…」
「「仕入伝票」「売上伝票」を出題範囲から削除し、「3伝票制」のみの出題としたんだ!」
「つまり…」
「「3伝票制」での「伝票起票と集計」が出題される!!」
「ということですね!」
「そういうことになるな!」
「個人的には「仕入伝票」と「売上伝票」は好きだったんだけどなぁ…」
「まぁ、でも「仕入伝票」と「売上伝票」は、基本的に全て「掛取引」の記帳を原則としているから、もし受取手形を受け取って商品を売り上げた場合なんかは、売上伝票で…
(借方(左側))売掛金
/
(貸方(右側))売上
って仕訳をやって、すぐに振替伝票で
(借方(左側))受取手形
/
(貸方(右側))売掛金
って仕訳をやらなきゃいけなかったから、今回の改訂で伝票を2枚使って2回仕訳を行う必要はなくなった、という訳だな!」
「それは、受験者には朗報ですね!!」
「結構、こういった類の伝票の出題が、第4問あたりで行われていたから、真琴の言う通り朗報と言えそうだな!」
「まぁ、新たな出題として「伝票の集計」が入っているから、問題集とかで集計方法については学んでおく必要があるだろう」
「さらに、伝票の「仕入伝票」「売上伝票」以外にも削除された論点がある」
削除された論点② 為替手形
「為替手形って、登場人物が3人いる、面倒臭くて間違えやすい取引ですよね!!」
「「為替手形」も、実務ではほとんど使用されていないことから、今回の改訂で出題範囲からは削除されたんだ」
「また、2級で出題されていた「荷為替手形」は外貨建取引に関する項目として、1級の出題範囲とされた」
「しかしながら…」
「全国商業高等学校協会(全商協会)の簿記実務検定の2級や、全国経理教育協会(全経協会)の簿記能力検定1級以上では、出題範囲から抹消されていないから、全く学習しなくて良いというものではないようだ」
「ただ、日商3級や2級を学習する上では、為替手形の知識は「今後は不要」ということですね」
「そういうことだな。そういう意味では、受験者にとって「朗報」と言えるだろう」
「日商1級や他の協会の簿記検定を受けようとする場合は、為替手形の知識も必要ということですね!」
「最後に、次の論点が2級に移動となった」
2級に移動した論点 有価証券の時価評価
「今までの日商3級では、決算整理事項として、有価証券の時価評価による「評価益」「評価損」の計上が出題されていたが、この処理が2級に移動することになった」
「よって、決算整理事項で有価証券の評価替えを行うという出題は、2016年からは行われないということになる」
「「日商簿記が改訂される!!」って、世間が大騒ぎになっていたみたいですけど、3級については、むしろ出題範囲が狭まった感じですね!」
「ただ、残念ながら2級の出題範囲が大幅に改訂されてしまったから、今年の受験者からは新しい内容も覚えなきゃだから、大変かも知れないな…」
「そんなことに負けていられません!!私、お姉と先輩に追いつくため、頑張ります!!」
「俺も精一杯教えるから、頑張って日商2級合格を目指してくれ!!」
「はいっ!!」
END
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