chapter26 「3級突破の糸口②」
※本Captureでは、図を使ったレクチャーを行っておりますが、カクヨム様では図の掲載ができないため、図を見て頂きたい部分には、他サイト様へのリンクを掲載させて頂きました。図をご覧になりたい場合は、掲載したURLをコピーし、他のブラウザやタブ等でアクセスして頂き、ご覧頂ければ幸いです。
煉先輩から、昨日の部活終了後に、日商簿記検定3級合格のポイント1として
「奇数問題から解くべし」
と習った私だったが、説明を聞き終わると同時に下校時刻となってしまったため、残りのポイントを聞くべく、翌日の部活終了後、再び煉先輩の元へと足を運んだ。
「煉せんぱ~い♪」
「おう!美琴!昨日の続きだよな!!」
「はいっ!よろしくお願いします♪」
「それじゃ、ホワイトボードの前まで移動しようか」
私と先輩が、パソコン室の前方にあるホワイトボードに移動する。
「ポイントの2つ目は、これだな!!」
ポイント2 月割り計算は図を描く
「「月割り計算」って、第1問の仕訳や、第5問の精算表の「費用・収益の見越し・繰り延べ」で出てくる奴ですよね!」
「第1問で出てくることは稀のようだけど、第5問ではほぼ間違いなく出題されているな」
「例えば、こんな感じで出題される」
『保険料のうち、12,000円は5月1日に向こう1年分を支払ったものである(決算は12月31日)』
「え~っと、この場合、5月1日に1年分を支払っているから、今年の分は、5月・6月・7月…」
「そう、今美琴が指折り数えているように、今期分が何ヶ月か、手でカウントするよな。これを、図で書いて分かりやすくするのが、今回のポイントなんだ。今回の例を図で書いて表すと、次のようになる」
※他サイト様に掲載している、保険料前払いの図URL
https://cdn-image.alphapolis.co.jp/story_image/96172/5a13ebe7-3d04-44dd-ad14-4353ac113c72.png
「なるほど!決算から先の月数が前払いになり、3級の決算は大概12月31日に設定されているから把握しやすい!という訳ですね♪」
「その通り!!今回の場合12,000円は1年分だから、1か月あたりは1,000円になる。つまり、前払保険料として計上するのは、1,000円×4か月=4,000円という訳だな!」
「それじゃ、こんな問題だったら、美琴はどうする?」
『保険料は、毎年7月1日に向こう1年分を支払う契約となっており、今年の契約更新でも保険料の変更はなかった(決算日は12月31日、精算表の残高試算表欄に記入されている保険料の金額は18,000円)』
「え~っと、7月1日に支払っているから…前払いは6か月で…」
「美琴、ストップ!!!問題をもう1回よく見てみろ!」
『保険料は、毎年7月1日に向こう1年分を支払う契約となっており…』
「……………あ゛~~~っ!!「毎年」って言葉が入ってる!!!ていうことは、さっき煉先輩が書いた図は使えないんですね!」
「そういうこと。「毎年」という言葉が入った場合の図の書き方は、こんな感じだ!」
※他サイト様に掲載している、毎年払いの場合の、保険料前払いの図URL
https://cdn-image.alphapolis.co.jp/story_image/96172/5a13ec9a-07e4-40c1-9d7b-3396ac113c70.png
「そうか!「毎年払い」の場合は「前期からの繰越分」も含まれているという訳ですね!つまり、精算表の残高試算表に記入されている18,000円は、前期からの繰越分も含まれているから、7月1日からの12か月分を加算して、合計18か月分という訳ですね!」
「その通り!!だから、このケースの場合も、1か月当たりの保険料は1,000円で、前払いは6か月分の6.000円という訳だ」
「この図なら、先に受け取った場合の「前受」でも適用できそうですね!!」
「そうだな!次に「未払」の場合を考えてみよう」
『借入金100,000円は、4月1日に借入期間1年、利率年6%、利払日は9月末と3月末の条件で借り入れたものであるので、適切な処理を行う(決算日は12月31日)』
「今は決算で、借入金を返済した訳ではありませんよね…利払日は、9月末と3月末だから…そうか!10月から12月の借り入れていた期間の利息が「未払」になっているんですね!」
「その通り!図で書くと、こんな感じになるな!」
※他サイト様に掲載している、支払い利息未払いの図URL
https://cdn-image.alphapolis.co.jp/story_image/96172/5a13ecfb-31ec-409a-94f2-49aeac113c70.png
「9月30日に1回利払日が来ているから、問題になるのは、3月31日の利払日の利息ということですね」
「そういうこと。年利率の6%で1年分の利息を算出し、利払日は2回あるから、それを2で割ると1回当たりの支払利息が算出される」
「1回当たりの利払の対象月は半年で6か月だから、それを6で割ると1か月当たりが算出される。先輩の例だと、1か月当たりの利息は500円ということですね!」
「この例でいくと、10月~12月の3か月分は未払ということになるから…」
「500円×3か月=1,500円という訳ですね」
「正解!」
「それじゃもう1問」
『支払利息は、前期の4月1日に借入期間2年、利率年6%、利払日は9月末と3月末の条件で借り入れたものに対する利息である。適切な処理を行いなさい(決算日は12月31日。精算表の残高試算表欄に記入されている支払利息の額は4,500円)』
「さっきの問題と似てますけど、問題文の中に「前期の」って入ってますよね…つまり…精算表の支払利息4,500円というのは…1月から9月末までの分!ということですか?」
「美琴!冴えてるな!!その通りだ。図で表すと、次の通りだな」
※他サイト様に掲載している、借入金の返済が年を
https://cdn-image.alphapolis.co.jp/story_image/96172/5a13eda1-e804-4688-9bc7-4b2fac113c68.png
「9か月分で4,500円ですから、1か月あたりは500円。3か月分が未払いになるから…未払利息は1,500円という訳ですね!!」
「ご名答!こんな感じで、月割計算が出てきた場合は、図で表して月数を明確にしておけば、指折りで数えるよりも正確に月数の把握が行える、という訳だ」
「頭や手を使って思い描くより、実際に具現化させた方が良い訳ですね!」
「「記憶より記録!!」ということだ」
「そして最後のポイントだが…」
ポイント3 過去問を死ぬ気でやる!!
「最後は「根性論」なんですね…」
「まぁ、学校や家庭での生活がおざなりになる程という訳じゃないが、過去問題集を最低2周はやるべきだと、俺は思っている」
「「簿記はスポーツ」なんて教え方をする学校もあるようだが、テキストで内容別に学習した簿記の知識を定着させるには、過去問題を何回も繰り返し解いて「体に覚えさせる」ことも大切だと俺は思うし、戸山先生や郷中先生もそうおっしゃっていた」
「確かに、1学期の期末テストで「仕訳」→「勘定記入」→「次期繰越・決算振替仕訳処理」を行った際も、知識として覚えるよりも、体に覚えさせた、と言っても過言じゃない気がします」
「体が覚えてくれれば、覚えていた知識は自動的に脳から指先のペンに宿って、解答を導き出すことができる、という訳だな」
「先輩…表現がかっこよすぎます…」
「美琴は十分に知識の蓄積をしていると俺は思う。あとは、パソコンの早打ちと同じで「練習あるのみ」だ。日商3級、合格できるよう祈っているよ!」
「先輩…ありがとうございます!!!」
その後、日商簿記検定が行われるまでの間、私は過去問題を繰り返し練習し、知識として覚えたものを体に叩き込んだ。
そして、見事満点での合格を果たしたのだった。
***
「どうも~作者の剣世炸です。」
「美琴さんは、煉君をはじめとした多くの人たちの力を借りて、無事に日商簿記3級に合格を果たしました」
「という訳で、以上で「3級商業簿記編」は終了となります」
「ちなみに、その後高校2年に進級した美琴ちゃんはどうなったのか?といいますと…」
「再び周囲の力を借り、今度は「日商・全経簿記検定2級」を目指したようなのですが…」
「それはまた、別の話(こんな終わり方のドラマがありましたよねっ!?)」
「という訳で「2級編」で再びお会いいたしましょう!!」
「にゃ~お♪(附録として「日商簿記検定3級 仕訳単語帳」を今後3回に渡り公開します!日商簿記検定3級の仕訳の練習ができる優れ物ですよ!)」
END
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