食人さん

@ENE1224

巷を騒がせた猟奇殺人犯は案外近くにいるもんです

連続食人殺害事件(未解決)。

1年間のあいだで10人の被害者を出した事件。

被害者は女性か子供のみ。

だがこの事件には不可解な部分がある。

現場には綺麗に畳まれた被害者の服と頭蓋骨が見つかった。

彼女らや子供たちは数日前までは普通に生きて生活していた。

にも関わらずだ、まるで何ヶ月もたった後に発見されるような白骨遺体となって発見された。

犯人の痕跡はすこしも残っては居らず事件解決は難航している。

世間では、喰〇だろ!とか食人鬼だとか、くだらない憶測が流れ続けている。

というのが、この事件の公に公開されている内容だ。


黙々とネットニュースを見ていた鏡久要はスマホの電源を落とし軽く背伸びをした。

こんなことが起きるわけがない。

と、内心要は思っているのだ。

非現実的すぎるのだ、数日前には元気に生きていた彼女らはその数日後には頭蓋骨と服しか残らなかった。

ありえない。

「あ、それ、俺だ」

「何言ってんの?」

「だから、俺がその事件の犯人なんだって」

「…は?」

錦ケ丘が妙なことを言い出し、要は首をかしげた。

「だから何言ってんのって、こっから事件現場からどんな距離があると…」

「証拠にはなんないかもだけどコレ見てよ」

錦ケ丘はポケットに手を入れ、可愛くラッピングされた袋を取り出した。

「コレ見てよ」

ゆっくり丁寧に開け、要は息を飲んだ

大小様々な歯が大量に入っている。

「学校にこんなもん…悪趣味だ」

「これでも信じらんないか…じゃあ」

「次は君を、食べたい」

どこか狂気のまじる艶かしく低い声に要は背筋を凍らせる。

多分彼は本物の猟奇殺人犯だ。

「…ははは」

要はとりあえず苦笑した。

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