2. 使役

「ハーモニー」という世界の、三段階の空間の中間に位置する「空」では、精霊に自由はないに等しい。

 「スカイ・フロア」では、精霊は、誰かに使役されるか、または誰かを使役するか、そのどちらかだ。無情にも、「使役」という言葉とは切っても切り離せない立場なのだ。


  そして彼らは、何から生まれたかで、寿命が違う。

 草花から生まれた精霊は、月単位。宝石から生まれた精霊は、長い者は千年を悠に越す。千を生きる精霊は、人よりも傲慢な面があり、同族をも従えらせる権限を持つ。

 精霊の先祖は、「信託の魔王」という、今は亡き神だ、ということから、今の神らも、精霊の行いには甘い面もあり、強くはでれないのが、現状だ。

  もっとも、「聖なる者」らの支配する、ずさんだ世界では、それも仕方のないことなのだろうか。



 世には、「使役」に縛られ、自分の命をなんとも考えない精霊がいる。けれどその一方で。

 長寿でも、傲慢を高い知性に変換している者や、短い生を、真っ当に生きていくのも、精霊だ。

 そんな彼らが、近頃、とある神らの行いの悪さについてを囁いている。

 ――「天」へ生まれ変わるはずの魂を、神らの都合で「地」へ……悪魔の子へと堕としているのではないか、と。

 「悪魔」。それは、「地」にいながらも、この世界の中で一番「邪なる者」に遠く、もっとも「信託の魔王」と、親しかった一族だった。

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