2. 世界の理
この世界には、「地」と「空」、そして「天」と呼ばれる空間が存在する。
「地」の上は「空」、その更に上が「天」だ。
その昔、聖なる者らと、邪なる者らが、「信託の魔王」なる者の力を求め、対立した。――後に、「信託戦争」として歴史に名を残した争い。
勝敗は、聖なる者らの手に収められた。そして、勝者により、世界は造形を変えることとなった。
――世界を変える力。
それこそが、双方が一番に求めた、信託の魔王の力。
「信託の魔王」は、世界の秩序を守りし「神」だったのだ。
新たな世界の名は、ハーモニー――調和、とは名だけの、聖なる者らが支配する世界。
邪なる者らは、絶滅は免れたものの、散り散りになって、世界のどこかでひっそりと暮らしていることだろう。
新たな支配者は、すべての生き物を自分らの監視下に置きたがり、世界の空間を三段階に分けた。
――それが「地」と「空」、そして「天」だ。
下級の者、主に戦いに敗れた邪なる者らは「地」へ。
「空」へは中級の者、例えば能力の低い聖なる者や、魔法の能力が低い「人間」も、ここに入る。
そして、もっとも上、「空」を超えた先には「天」がある。どうにも聖なる者らは、「神」に成り代わりたいようだ。彼らの--人の世でいう、王や側近、または上級の能力者らが、ここに腰を据えている。
しかし、「天」に住む彼らは、いかんせんプライドが高い。誰かを蹴落とし優位に立つことに、快感を覚えているのだ。
そのような思考の下に、築き上げられた世界の均衡は、徐々に崩れ始めているのだった。
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