灰色魔女は転生の果てに

月凪あゆむ

始まりのそのまえに

1. 灰色の少女

 その世界の、とある村に、その少女はいた。

 少女は、小さな凶器を、その眼に宿していた。それは本来なら、人間は持つはずのない力。

「魔力」のカケラ、というべきか。

人々は、少女を疎み、恐れた。唯一、母のシャンティだけが、彼女の味方だった。

 少女は、母を安心させたかった。守られているだけが、悲しくて。自分も守りたくて。そのために、足掻いた。

 

足掻いてあがいて、足掻いた未来は――ただただ、灰色の世界だった。

 黒髪は、白に。自然に溢れていた村は、跡形もなく、灰へと化した。

 色の変わった眼――金眼で、少女は見た。――後ろなんて存在しないから、前を見るしかなかった。

 

 そして少女は、魔女になった。

 

 これは、とある魂の因果に翻弄されながらも、必死に足掻いた者たちが紡ぐ物語。

 ――最後の魔女のおとぎ話。……とでも、言っておこうか。

 

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