第8話 かみさまの、かみ
神は全ての頂点に立っている。紛れもない事実だ。ならば神の髪が銀髪なのはおかしな話である。銀は金には劣る。人の子が金髪で自分は銀髪。戯れに髪を櫛で梳いてやれば、人の子はケタケタ笑う。
「気持ちがいいですね」
「私は気持ちよくないですが」
「ボクだけ気持ちよくてごめんなさい」
「二人同時に髪をとかすことは出来ませんから仕方がありませんね」
「かみさまの髪はとてもキレイですよね。毎日お手入れ大変じゃないですか?」
「私に手入れなど必要ありません」
「あ・・・・・・、そうでした」
忘れていた、というように人の子は手を合わせる。阿呆なのかもしれない。察していたが。まさか神などという自称はただこちらが嘯(うそぶ)いているだけだと思っているのではあるまいな。
全く持って何故人の子が金髪でこちらが銀髪なのか。銀髪なことに深い意味は無かったけれど、いっそ色を取り替えてやろうか。もしくは銅に当たる茶髪の娘でも連れてきて金銀銅で三種揃えてやろうか。どちらも行動に起こした後の騒ぎが、面白いを通り越してうっとおしい気がする。
「手入れが必要でなくても、かみさまの方がキレイにお手入れをするべきだなあと思ってしまいます」
「私の方が綺麗ですか」
「はい、キレイです」
・・・・・・まあ、いいだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます