EP5 胡散臭いやつが現れた!
この監獄の中は広い。非常に広い。なんせ「ここがお前の部屋があるところだ」とゼルミィから案内を引き継いだ刑務官に連れられ、
エレベーターを降りてから歩いてもうすでに一時間余りの時間が経っている。あえて言おう広すぎると。迷子になる自信がある。何故ならこの階層だけかもしれないが、
延々同じ景色が続いているのだ。部屋・消火器・非常ベル・部屋・消火器・非常ベル延々と続いている。いったいいくつ非常ベルと消火器があるのかと。
いや、だがこれだけの大きさなら必要なのだろう。数は力だ。パワーである。
だがいい加減この景色も見飽きてきた。何ぜ窓もない。まぁどこにあるか知られてしまえば、防犯上都合が悪いだろうからな。実際俺も、目隠しで連れてこられたし。
耳栓は要らなかったんじゃないかな?拘束具も・・・・。まあ、そんなことを言っていてもしかたがない。
一緒に仕事を請け負うことになった、右のも左のももう既にウンザリした表情で、歩いている。
・・・・・。
今気づいた。俺ってばこの二人の名前知らなくね?ただのマッソーメンとしてしか認識していなかったが、これからは一緒にやっていく仲間・・・?
同僚みたいなもんだ。自己紹介ぐらいしておくべきだろうか。
「そういえばお前たちの・・・。」
「着きましたよ。ここがあなた達三人の部屋です。」
なにぃい!今なんと!
「「「あ・・・相部屋だと・・・?」」」
俺達三人は息をのみつつ部屋を覗く。
・・・・・。
せまっ!予想以上に狭い。っていうかここ、明らかに一人用に部屋ですよね?四畳半くらいしかないんですが?
ここで三人?しかもこんな肉ダルマ二匹と?おかしくね?てか無理だろ?俺だってそんな小さくねーぞ?ってか俺って今、どんな顔してんのか見たことないぞ?良く考えたら。
「本気か?」
「え・えぇ・・・その筈ですが・・・。」
顔を背けるな刑務官!こっちゃ向けや。兄ちゃん・・・?
「無理じゃね?」
「私に言われましても・・・。この部屋をお案内しろと言われたのは所長ですので・・・。」
ぐぬぅ!あのアマ・・・。ちょっといい女だからって・・・。後で文句言ってやる・・・。
「まぁ入って見れば何か変わるかもしれない。」
「住めば都という言葉もあるらしいぞ。」
おぉ!右の!イイコト言う!そうだなとりあえず入って見るべし!行動すべしだな!
・・・・・
イカン・・・なんか知らんがキレそうだ。
「お前らもうちょっと詰めろよ・・・。」
「無茶いうなよ・・・。俺壁に体当たってんだぜ。そっちもうちょっと行けるだろ?」
「便器があるんだよ!これ以上いけねーよ!」
四畳半なんてレベルじゃなかった。四畳半に見えたのは俺の錯覚だったらしい。だが天井は高い。三段ベッドがあるからな。
人一人歩くのもままならないっておかしいだろこれ。カプセルホテルかよ。
部屋の中はL型に導線がありそのLの頂点に便器がある。そしてその手前にはめっちゃ浅い洗面用の手洗い場。溺死自殺抑制用だろう。
その向かいに三段ベッドがある。照明は壁についているので三段目に居ても眩しくはない。
「では私はこれで失礼します・・・!」
「「「まてこらぁ!!」」」
風のように走り去っていきやがって!次会ったらただじゃおかねー。
具体的には右のと左のの間に90分位挟んでやる。今の俺のこの圧迫感を体験させてやる。必ずだ!奴の顔は忘れない。
「とりあえずベッドは俺が一番上でいいか?お前らデカいし、上り下り大変だろ。」
「俺はそれでいい。じゃあ俺は一番下で。」
「それは待ってくれ。ここは年齢順にしようぜ。」
「「なぜだ?」」
左の・・・一番下が気に入らないのか?真ん中が好いのかわからんが、年齢順って・・・子供かよ。
「因みに俺は34な。」
「「それは絶対嘘だろう!」」
なんで・・・?どっからどう見ても普通の中年サラリーマンだろう?・・・か?やっぱりなんか違うのか?確かに激やせしているのは分かるが。
顔なんか変わらんだろう。
俺は昔から自分の顔の事なんかほとんど記憶していない。写真見て何となくこれ。位にしか認識していなかったが・・・。だからと言って顔面が変わる・・・?
いや、変えたのは俺じゃない。奴のはずだ。俺の顔が気に入らないと勝手に変えられていてもおかしくはない。それはもう仕方ないし、どうにもならない。
だが今はそんなことどうでもいい!
「左の・・・換気扇回してくれ。」
「左のって俺の事か?換気扇なんか無いぞ?」
「なんだってーーー!」
BA・KA・NA!
「とりあえず一回外に出ろ!もう我慢できん!」
俺達三人は外に飛び出した。もう限界だった。後悔はしていない。
「あの便器クサ過ぎだろう!どうなってんだ!責任者こーーーーい!」
「叫んでも何も変わらないが・・・。確かにな。間近で嗅いでいた俺の身にもなって欲しいものだ。」
「すまん右の。俺ちょっとお前の体臭かと思った。」
「それはねーよ!ひでぇよ!」
まぁいったん外に避難したことで、臭いの問題は解決・・・先送りにした。
「で。左のは真ん中が好いのか?」
「いやここは普通に考えて一番上だろう。」
「何言ってんだ。お前の言う年齢順だと俺が一番上になるんだよ。お前ら意外と若そうだし。」
「どう見ても18・9の若造じゃねーか!」
「そんなわけあるか。お前らいくつなんだ?」
「26だ。」「29だ!」
「俺は34だ!つってんだろ!」
「「それは嘘だ。」」
断じてきやがった。この野郎・・・。いい加減にしろよこの肉男どもめ・・・。
俺は先ほどつかんだこの相手にプレッシャーを与える何かを垂れ流す。
「お・おいやめろよ!こんなところで殺気みたいなの止めろよ!」
「俺が悪かった!俺が悪かったから引っ込めてくれ!」
ふしゅー。判ったならいい。しかし俺の事情もちょっと暗い説明しておいた方がいいかもしれないな。
「てかどっちにしてもお前は真ん中じゃないか。一番下が良いのか?」
「いや・・・真ん中でいい・・・。」
「「何だったんだ今までのやり取り・・・。」」
ぴぴっぴぴっぴぴっ
廊下の天井に着いたスピーカーから、断続的に機械音が流れてきた。
何の音だこれ・・・?って・・・。
音が始まるや否や急にほかの部屋の扉が一斉に開き、囚人と思われる男たちが一斉に飛び出してきた。
「「「「「「うおおぉおおぉっぉおおおおおぉぉお!!!!」」」」」」
なななんじゃこれーー!
とりあえず廊下の端っこに避けて通り過ぎていく男たちの津波を見送った。
「アレなんだと思う?」
「そうだなぁ。女か?」
「どんなアイドルやねん。面会できるアイドルか?」
「なんだそれ、時間的に飯じゃないのか?」
「「「飯?」」」
俺は走り出した。二人を置いて。脇目も降らずに走った。ここに来てからなにも食っていないことも思い出した。
そう。よく考えたら、俺は何週間も飯を食っていない。警察の戦艦に居た頃は点滴みたいなものがあったが、飯は食っていない。
異常事態だ。右のの言葉で俺は急激に腹が減ってきた。何か張りつめていたのもあったのだろう。急に来たのだ抑えきれないほどの飢餓感が。
「はっ!見送ってる場合じゃない!俺たちも行くぞ!」
「お・おぅ・・・。」
俺はかなりのスピードで走った。何人か跳ね飛ばした気もするがどうでもいい。飯メシィィィイィィィィィィぃ!!
それにしても長い廊下だ。大きなカーブの廊下か長く続いた後、大きな広間が見えてきた。イイ匂いがする。この臭いが逆にヤバい。
空腹を刺激して全身が緊張を始めてきた。今の俺はかの赤い体の翼の悪魔のような顔をしているに違いない。空高くから獲物を狙うトンビの様と言い換えても良いかもしれない。
そして俺は広間に躍り出た。その際に詰まった廊下に居た何人かお押しのけた気もするがどうでもいい話だ。世界は力が全てだ。腕力がモノを言う。
「メシィィィィィィィ!!!」
「ハイハイそんなに慌てなくてもたくさんありますから・・・・って。ああああああ・雨宮銀河!」
名前を呼ばれた気がするがどうでもいい。
俺はカウンター越しに飯をねだった。きっと俺は今超さわやかに尋ねたに違いない。
「メッシャァアアアァアアアアア!!!」
「ひ!ひぃ!ごごごごめんなさい!!!!」
飯はまだだろうか?今日は何を食べられるのだろうか。楽しみだ。
「メッシャァァァァァ!!」
「わわわわかったから!わかったからぁ!」
すると右のと左のも追いついてきたようだ。
「ひでぇ有様だな。」
「いったい何があったらこんなことになるんだよ。」
何かを言っているがよく判らない。とりあえず飯だ。可愛らしいお嬢さんが沢山飯をよそってくれる。てんこ盛りだ。
この世界にもコメがあるんだな。俺は今最高に感動している。
「メッシャァァァァァァ!!!!」
「どうどうどう。」
左のが俺の肩を叩いてきた。
・・・・・ハッ。
「俺はいったい何を・・・。ここはどこだ?」
「「意識がなかったのかよ!」」
何だがよくわからないが腹の減った衝動のままに行動していたらしい。後ろを振り向くと目を回していた囚人たちが
こっちの方を見て近づいてきた。
「おいてめぇ!見ねー顔だな!」
「さっきはやってくれたな新入り!」
「ただで済むと思うなよ小僧!」
「ちょっとキョーイクしてやんねーとなぁ!!!」
「ヒャッハー――!」
変なのも混じっているがとりあえず。
「そのスープみたいなのもうちょっと入れて欲しいんだけど。」
「この状況でそれを言うのか!そっちを先に何とかしろ!もめてる間はご飯は配らないぞ!」
な・・・なんだと・・・?
「冗談です・・・よね?」
「ひっ!じょ・・・冗談なものか・・・そ・そういうルールなんだぁ!!」
ばかな・・・バァカァナァ・・・・。
「メシィィィィィィィィ!!」
「うわぁ!また出た!」
「オイちょっと離れた方がいいんじゃねぇか!?垂れ流しになってんぞ!」
バタバタ何故か倒れていく囚人を横目に見ながら、俺は先ほどいちゃもんをつけていた五人組に近づいた。
するとヒャッハーが泡を吹いて倒れた。
「おいしっかりしろ!グレン!グレー―――――ン!」
「てめぇなにしやがった!ま・・・まま・・まほぅつかいのかたですか・・・・?」
俺が近づく。四人がヒャッハー引きずって離れる。俺が近づく。四人がヒャッハー引きずって離れる。
四度ほど繰り返すと、今度は一番デカいやつが倒れた。どっかの元力士みたいに顔面から逝った。
「メッシャァアアアァアアアアアああああ!!!!」
俺がちょっと大きな声で大丈夫ですか?と声をかけると、ヒャッハーを引き摺っていた男が白目をむいて倒れた。
「ま・・・まてよ・・・・?は・・・話し合おう・・・?な?俺たちは同じ監獄の・・・・な・・・仲間じゃねぇか・・・なぁ?」
あっそれ以上下がるとテーブルにぶつかりますよ?
「メッシャァアアァアアァアアア!!!!」
「「「ひっぃぃぃぃぃぃい!!!すんませんでしたぁ!!!!」」」
あれ?三人とも床にシミが・・・・・。
「メェシィィィィィィィィ!!!」
「「「ギャー―――――――!!!!」」」
・・・・・ぷしゅー
うまうまうまうまうま!!!飯旨い。監獄の中でこんなに旨い飯が食えるなんて思わなかったぜ!
「おい、もっと落ち着いて食えよ。ほら零してるから・・・まったく。」
右のは結構世話焼き上手だな!うまうまうま!
「いきなり目立っちまって・・・イイのかこれ?仕事忘れてねーか?」
なんか目立ってしまったらしいが後悔はしていない。だっておなかすいたんだもん。左のはなんかちょっと神経質?
「しゃーねーだろ。何したか覚えてねーけどあんな美女からこんな旨い飯が出てくるんだ。お代わりしてもいいのかな?」
「もう三杯目だろ。まだ食うのかよ!」
「左のぉ。その体のわりに食が細いな。」
「体はかんけぇねぇ!っていうか俺は俺で二杯は食ってる。」
よし。まだ腹が微妙にすいている。行くぜ!
「お代わりください!」
「まだ食べるのか!?お前だけのご飯じゃないんだぞ!」
「いいじゃないですかぁ。まだあるんでしょぉー?」
精一杯甘えてみる。あっ。よそってくれるんだ。ありがとー!
「こ・これが最後だからなっ。お・・おいしいって言ってくれてありがとぅ・・・。」
「いただきまーす!」
なんか言っていたような気がするが尻すぼみよく聞こえんかった。
飯って大事ね。
「オイなんかあの娘怒ってんぞ?」
「またなんかやったのか?」
失礼な。人を問題児みたいに。
「なにもしてませーん。うまうま。」
俺が食べ終わって合掌していると、見知らぬ誰かが近づいてきた。
「やぁ。もう食事は終わりかな?ここに座っても?」
「ああどーぞ。」
「少しお話をしませんか?」
「部屋に戻ってからでいいか?」
「・・・えぇかまいません。では何号室でしょうか?」
「・・・えーっとな・・・。あーっとな・・・・。」
「ここでは言いにくいですか?あの騒ぎの後ですからね。」
「いや・・・そーいうわけじゃないんだがぁ・・・。」
やっべ。何号室か覚えてねぇ。っていうか見た記憶もないわ。右のも左のも覚えてない身振りをしているな・・・。
ならここは・・・。教えてナノマシン先生。
ーーーーーーー
A_F28の1880号室です。
ありがてぇ。
どういたしまして。
ーーーーーーー
「1880号室だったかな・・・?」
「分かりました。では後程伺います。」
「おぅ。じゃぁお先に。」
ま。飯食ってから居座る意味もないしじっと待ってるのもなんか違うしな。戻るか。
「お前は忘れているかもしれないが。ここに来るまでに結構な距離を走ったぞ?俺たちも全力で走ったからな。」
「そ・そうか?けっこうすぐ着いたような気がしたんだけど?」
「お前が全力で走るのはよくない。」
「左の。全力では走ってないぞ。さすがにそんな事したらもっと酷いことになっているぞ?」
「マジかよ・・・。」
俺たちはもと来た通路のほうからまた歩いて戻ることにした。他の囚人たちも戻るようだ。そしてなぜか俺が先に行くように促してくれる。
俺は今モーゼになっている。人垣が自然と綺麗に二つに分かれている。
「「「「「「「「「「おつかれさまぁっした!!!」」」」」」」」」」
さすがにビビったわ。なんだ一体。
「お前に目立つなとかムリだなこりゃ。」
「左の後で折檻な。」
「なんでだよぉ!!」
左のは余計なことを言う・・・・とメモメモ。
若干外側の壁が歪んでいるような気がしないでもないが、気にしないことにする。そしてしばらく腹ごなしにのんびり歩いていると、後ろからものすごいスピードでさっきの奴が現れた。
音が全くしなかった。あんな凄い速さで走ってきたのに。
「おや?ずいぶんゆっくりですね?」
「遠いからなぁ。走る気もしないし。」
こいつからはなんかちょっと、懐かしい雰囲気がする。必死にこっちの表情を窺っているがポーカーフェイスで隠している。
でも視線がきょろきょろと周囲を油断なく観察している。そんな感じ。似ているんだよね。
友人の詐欺師に。
「話って何?」
「ここでいいんですか?」
「べつにー。近くに誰もいないし音も拾ってないみたいだし。」
「そ・そうですか。」
友人の詐欺師は初めは詐欺師になるつもりはなかったんだそうな。ただ付き合っている彼女の浮気が判明したのちに、裏切りの報復として詐欺をやったのが初めだったんだそうな。
その後は「ちょっと優しくしたらすぐ騙されてくれるよ。お願いすれば一発だね。」なんてよく言っていた。ホストもやっていたのによくやるよなんて馬鹿な話をしていた。
しかもそいつの凄いところは、俺が死んだ時点では捕まっていないという事。あいつが詐欺師になったのは十代の後半だったから、もうプロと言っても差し支えないだろう。
いつかさされるぞ?なんて冗談で言っていたものだ。今頃どうしているかなぁ?
「君の名前を聞きました。」
「名前?」
「そう名前。雨宮銀河。」
「そうだけどそれが何か?」
「転生者ですよね?」
「ああそうだよ?」
この世界は転生者や転移者がざらにいる。隠しても意味がない。
「ブラック家電メーカーで過労死?」
「いや、そこまでブラックな会社では・・・って。お前何で知ってる。」
俺の中の警鐘が鳴る。なんか企んでるかこいつ・・・。
「そりゃ聞かされていたからね。・・・・そのプレッシャーは仕舞ってもらえるかな・・・?
正直かなり息苦しいんだが・・・。」
「そりゃ無理な話だ。お前何もんだ。答えろ。」
俺は俺にしか見えない黒いモヤのようなものを相手にそっと絡みつかせていく。まだ殺さない。そんな段階ではない。
「これが今の君の力か・・・?とんでもないな・・・。僕なんてたいした力も貰えなかったのに。」
「・・・・」
俺は何も答えない。だが俺の中で疑問から紐づいた推測が立つ。こいつはベロペの回し者か?
聞いた方が速いな。
「ベロペの回しもんか?」
「っ!確かにそうだが・・・。頼むよ。僕はそんなにオーラを操るのが得意じゃないんだ。そろそろ放してくれると助かる・・・んだが。」
聞きなれない単語が出たが・・・まぁ追々でいいか。
「ほらよ。これでいいだろ?お前は誰だ。この質問にはまだ答えてねーぞ。」
「聞いていた話と少し違うがまぁいいか。僕は・・・クゥエル・新庄だ。元太陽系共和国の議員だ政治犯、国家転覆罪の罪で投獄されている。
量刑は200年だそうだ。」
「なんか欧米みたいだな。」
「僕もそう思う。明らかに寿命を越えているからな。生きているうちに出たかったら金を出せだとさ。」
地獄の沙汰も金次第なんて言う言葉も思い出したが、そんなものだろう。やはりこいつには覚えがある。だが確信がない。
「もう気付いているかもしれないが、元の世界では新庄脇侍と呼ばれていたものだ。」
「そこまで聞けてようやく合点がいった。違和感はあったが確信がなくてな。」
「普通そうだろう。死んだのも同じ時に死んだんじゃないしな。」
そこまで話したところでようやく部屋についた。思ったより時間が経っていたようだ。
「!?」
「どうした?入れよ。」
「無・・無理じゃないか?」
新庄は部屋の入口のネームプレートを確認してもう一度戻ってきた。
「三人部屋?か?」
「ベッドが三つあるからな。」
「そういう問題か?」
「そういう問題なんだろう。」
右のと左のは扉の前で待っているようだ。
「どうした?右の。左の。入って来いよ。」
「無茶いうなよ!」
結局全員部屋に押し込んだ。俺たちはそれぞれベッドの上に、新庄は便器に座った。
「この部屋ちょっと臭過ぎじゃないか?」
「いうな。分かっててもどうしようもないんだ。掃除道具も無いし。消臭剤もない。」
「さすがにこの臭いは今日中に何とかしたいんだが・・・まぁちょっと横に退いてくれ新庄。」
「どうするんだ?」
ナノマシン先生何とかなるか?
ーーーーーー
A_可能です。息を・・・
この便器にか・・・!?フワッて臭いが来るぞ!絶対!
大丈夫です。お任せください。
むぅ。まかせる・・・。
ーーーーーー
ふーーーーー。おっ臭わなくなった。万能だなナノマシン先生!
「お・おい何をしたんだ!」
「便器を嗅いでいたように見えたが・・・まさか口で・・・!?」
「左の・・・!」
ちょっと左のに圧をかけてやろう。
「すみません。マジで勘弁してください。アイタタタタ!」
「ナノマシンで消臭した。たぶん殺菌とかもできているはずだ。」
「ナノマシン!?」
「いったい何を驚いているんだ?この世界ではいろいろ発達しているんだろ?」
この部屋にいる俺だけが首をかしげている。そんなにおかしいのか?
「雨宮聞いてくれ。ナノマシンはヤバいんだ。」
「?」
「ナノマシンをどこで手に入れたのかは知らないが、あれは・・・。」
「マテ。なんか勘違いしてるんだろうけど、これはベロペからもらったものだ。害はない。今のところは。」
「何?あの痴女からか・・・。なら、大丈夫か・・・?」
「・・・。この世界のナノマシンは相当ヤバいものらしいという事は分かった。」
「そうだな。知らないみたいだからこの際知っておいた方がいい。」
新庄が言うには、この世界のナノマシンには自我があるというのが当たり前らしい。しかもそのナノマシンは、
一昔前に一つの惑星を滅ぼしかけたりと猛威を振るっていたことが分かった。ナノマシンが体に入り込むと、脳が書き換えられ完全に自我を失いただの肉人形になり果てるのだそうな。しかもナノマシン自体に悪気があるわけではなく、ナノマシン自体が進化しすぎ、情報量が桁違いに大きくなりすぎたため普通の人の体に入ると、肉体がオーバーフローを起こし、脳が焼き切れると共に、寄生したナノマシン自体の生存欲求により、壊れた脳に直接寄生し、体を操りゾンビのようになるのだそうだ。しかもそのゾンビのようになった被寄生者は、噛みつくらしく、噛みつかれたところにナノマシンが移動し、連鎖的に犠牲が増えるのだそうだ。
バイオハザードじゃねーか・・・。
「もう完全にバイオハザードだな。」
「そういうことだ。他所で軽々しくナノマシンを使っているとか言わないようにしてくれ。大混乱を引き起こすことになる。」
「わかった。気を付ける。」
うちの先生はそんなことしないよな?
ーーーーーー
A_しません。が。私のように他のナノマシンも動いているのであれば、器さえあれば有効活用することが出来るかもしれません。
器?
はい。先ほどの話を聞いた限りでは、普通の人間ではインストール容量が全く足りないという事ですが、おそらくそのナノマシンは、
自ら得た情報を全てインストールしようとしているようですね。それではどんな肉体も耐え切れません。
何故肉体にこだわるのかは不明ですが、やはり器を用意するべきだと進言します。のちの危険を排除するという意味でも、戦力を得るという意味でも
有効だと思われます。
成程。戦力か。という事は、敵勢力に取られるという事も考えられるな?
肯定です。この世界のナノマシンを奪われるという事は、低く見積もっても、この世界の敗北を意味すると考えられます。
その位、ナノマシンとしては高性能であると言えます。
先生と比べてどう?
・・・。比べるべくもないでしょう。私とマスターが一体なのです。私の方が優秀です。
そ・そうか・・・。先生ちょっと怒ってる?
否定します。そのような感情はありません。
心持脳内に響く声が大きくなっているんだけど・・・?
気のせいです。
そうですか・・・。
ーーーーーー
「ふぅ・・・。」
「どうした雨宮?急に黙り込んで。」
「悪い、ナノマシン先生と相談していた。」
「「「相談!?」」」
「お・おう。ウチのナノマシン先生は優秀なんだ。」
「お前本当に汚染されてないんだろうな?」
懲らしめましょうマスター。
やめなさい先生・・・。
「やめろって先生も怒ってるぞ。」
否定します。そのような感情はありません。
はいはい。
「マジか・・・。ナノマシン怒るのか・・・。すまん。」
今日は許します。
ちょろいな先生。
「今日は許してくれるってさ。」
「そ・そうか。」
「今の話を聞く限りだと、ナノマシンを有効活用できそうなんだが、大容量スーパーコンピューターとかないのかね?」
「どういうことだ?そんなことが可能なのか?」
「可能らしいよ。」
「そうだな・・・国家運営に使われるようなスパコンか・・・もしくはこの船や、外宇宙に存在していたような
O-シップならそういうモノも有るかもしれない。」
「おシップってなんだ?サロン・・・」
「ちがう!貼って効く奴じゃない!オーシップだ。オーバーテクノロジーシップのことだ。」
「おーぅシップ!」
「シィット!みたいに言うな!未知の宇宙船のことな。」
「・・・この船のスーパーコンピューターは使えないかね?」
「ヘルフレムのか?どういうことだ?」
「この船も、おそらくO-シップなんだろうな。外宇宙から流れてきた難破船だと聞いたぜ?」
「成程・・・。しかしそれはナノマシンが実際に見つかって、この船を使う許可が出れば・・・の話だな。今すぐの話ではない。」
「あと先生はこうも言ってた。ナノマシンが敵に奪われた時点で、この世界の敗北だと。」
「なっ!」
がんっ!
あまりに驚いたのだろう。新庄は便器から急に立ち上がり、頭上の照明に頭をしこたまぶつけたようだ。
「大丈夫か?」
「あぁ・・・つまりはどういう事なんだ?」
「そうだな・・・。ザクっというと、ナノマシンが太陽系にばらまかれるとかそんな話だろ。」
大体あっています。
「それにしても、お前も一応侵略の話は聞かされているのな?」
「俺が聞いたのはつい最近の話だがな・・・。」
「最近?」
「ああ。しかも僕が聞いたのは、ベロペではなくロペ・キャッシュマンだがな。」
「同一人物じゃねーか。」
「ホントか・・・!」
「まぁ会わないと判らんか。俺もまだちゃんと会ったことは無いし。」
「あぁ僕もだ。あったのは逮捕される直前だしな・・・。」
「ほう。」
俺は目の前にある天井を眺めて伸びをした。
忙しくやっていたんだな・・・。さすが元管理官。
「逮捕される三日前に、僕の行きつけの喫茶店に突然現れてな。これから逮捕されて懲役刑を喰らうことになっている、量刑をマシマシにしておいたからまずヘルフレムに行くことになる。そこで君の前世の友達の力になるように。そしたら君は今生においても、きっと楽しい人生を得られるだろう。だってさ。
僕は友達なんて君しかいなかったから。すぐにピンときたが。今日この時まで信じられはしなかった。だがよかった。君に会えて・・・。」
てかあいつ何気に酷いことを・・・・。
「長かったんだ・・・。この世界に来てから僕はもう33年になる。前世で死んだ時と同じ年齢になってしまった。すごく長かったんだ・・・。」
「結構つらかったのか?」
「まぁな。僕はこれでも機人種なんだ。全身の右半分が生体機械でできている。」
「縦半分か・・・。」
「そう。上半分か下半分ならだいぶ違っていたんだろうが・・・。」
そう話してくれた新庄は子供のころの話を聞かせてくれた。
「俺の子供のころは、今のようにミラージュテクが流行っていなくてな。あぁミラージュテクというのは、こういうモノだ。」
そういうと新庄は、右手を自分の顔に当てる。するとむき出しの機械のような右半分が見えるようになった。
そしてもう一度右手を同じように顔にかざすと、元の人種と同じ・・・。左半分と同じ顔が現れた。
「こういうテクノロジーのことだ。これはナノマシンではなくて光学迷彩なんだがな。子供の頃はこれが原因で酷い虐めを受けてな。死んでしまおうかとも思った。
特に機械のほうの体に、電流を流されたときは地獄を見たね・・・。子供の機人類は、まだそういう・・・なんというか電気抵抗というか。電撃に対する耐性が全くないんだ。
するとどうなるか・・・わかるか?」
何となくわかる・・・。こいつは右半身が全部機械だから・・・。
「そう。脳まで電流が流れるんだ。死んだと思ったよ。今思えばあの時も一度ベロペにあったな。
まだ早い。と追い返されたが。完全に死んだという事なんだろうな。一度。でもその時に僕は自分の力の使い方を教えてもらった。機人種としての力のほうをな。」
新庄の握りこまれた手にはきっと、その頃の思いが込められているんだろう。きつく握りしめられていた。
「機人種として・・・という事は他にも何かあるのか?」
「あぁ。この世界の人類にはみな、各種族専用の力、種族スキルと呼ばれているものと、個人に宿る力、ユニークスキルという二つの力がある。
極稀にこの二つとは違う力を持って生まれるものがいる。それが転生者だ。転生者は都合四つのスキルを持っている。」
四つかぁ・・・。はっ。じゃぁ俺にもあるのか?そのスキルは。・・・四つ?
「待ってくれ三つじゃないのか?」
「ああ。俺も最初聞いたとき同じことを聞き返したよ。だが四つであっている。」
「向こうの世界ではそんなもの無かったけどなぁ。」
「僕もそう思っていた。だが話を聞けば何となくわかる話だった。」
新庄は臭わなくなったこの部屋の中で思いっきり伸びをする。今度は頭を打たなかった。
お約束だろとか思っていないぞ?
「狭いな・・・。」
深くため息をついて、また話し始めた。
「向こうの世界でも種族スキルと、個人スキルがあったんだよ。誰も認識していなかったから、みんな知らなかっただけだ。」
「そうなるのか・・・。だが種族スキルってのはどうなっていたんだ?日本人と他の国では違うとかそんな事か?」
「いや。そうじゃない。種族スキルはこの世界と同じだ。つまり、前の世界にも、異種族がいたのではないかと、俺は考えている。
見たことは結局なかったが。いや、気付かなかっただけかもしれないな。」
ふっ。キザな笑いをしながらこっちを見てくる。こういうやつだよ・・・。
「人種の種族スキルは共感。だと言われている。」
「共感?」
「そう。横文字で言えばシンパシーとかいうやつかな?」
「成程な・・・。確かにそのスキルを使いこなせればあの世界ではきっと生きやすかっただろう。」
「僕もそう思う。だが基本的に人種は、種族スキルを意図して使うことが出来ないとされている。
故に僕はパッシブスキルなんじゃないのかと考えている。アクティブスキルじゃなくてね。ほら、ネットワークゲームではそういうの良く有っただろう?」
「あぁ何となく分かる。たぶん意識して使おうとするほど、そういうふうに動くから、スキルを使えている気になる。プラシーボ効果的なモノも有るんだろうな。
まぁ、科学技術でも洗脳とかできるらしいけど。」
「スキルとして認識されているのはこの世界のほうだから、向こうではカルト教団の教祖とか、政治家とかそんな感じの人が発動させていたんじゃないかな―みたいな話だった。」
「成程ねぇ。スキルかぁ。俺にはどんなスキルがあるのかなぁ。」
「共感だろう?それに・・・。なんだろうな?君は昔からよくわからん。」
ははは。と笑う顔は、前世で見た面影と重なった。
昔からバカな話をしていた時はこんなふうに笑っていたな。
「それで。機人種のスキルって何なんだ?聞いて良いのかわからんが。」
「問題ないさ。むしろ知らないと今後に支障が出る。強制通信、フォースコミュニケーションだ。」
「強制通信か。」
「ああ。その名の通り通信手段の一つなんだが、ありとあらゆる通信に強制的に割り込みをかけることが出来る。使い方次第では
盗聴、ハッキング、クラッキング、ハードウェアクラッシュなんかも簡単にできる。その分精神的にかなりの負荷がかかるがな。」
「結構犯罪じみてんなソコだけ聞くと。」
「実際そういう犯罪も起きているからな。だが防ぐ手段もある。特に今の君なら問題にならないだろう。」
「ウチの先生か。がっちりガードしてくれそうだな。」
お任せください。マスター。
「うむ。任せた。あぁこっちの話。」
「じゃあ個人スキルは?」
「・・・あぁ。俺の前世のスキルは詐称。つまり騙しのスキルだな。こっちでのスキルは生体超電磁キャノンだそうだ。」
Oh・・・なにそれ・・・超カッコイイ・・・。
「マジカッケーな。名前が。」
「君ならそういうと思っていた。だが使い方が分からないんだ。ベロペはあの時、君ならその使い方を教えてくれるだろうと言っていた。
何かわかることがあるかい?」
「そんなの・・・。そうか。やってみる価値はあるのか。」
「なんだ?何かあるのか?」
「実験しよう!」
俺はベッドから上半身を垂らして説明する。
「実験って何を?どうやって?」
「まぁ落ち着けよ。まずはイメージだ。その右手。お前嫌いだろ結構。」
「・・・まぁな。そのせいで死にかけたこともあるからな。」
「その苦手意識は取っ払ってだな。こう念じるんだ。」
「チェーーーーンジ超電磁キャノンッッッ!!!スイッチッオンンン!」
俺最高にカッコイイ。そんなキラキラスマイルだな。
「本気で言っているのか?」
なんだかとっても冷ややかな目で見られた・・・。カッコイイと思ったのに・・・。
「割と本気だぞ。掛け声はともかくだな。強くイメージして念じる。これきっと大事だ。俺もやってる。」
「君もって、あ・・・。あのプレッシャーはコントロールしていたのか!」
「そうだ。出来るようになったんだ。」
「成程・・・。やってみる価値はあるかもしれないな。」
「ヨシでは一緒に。」
恥ずかしさは捨てろ!新庄!
「「チェーーーーンジ超電磁キャノンッッッ!!!スイッチッオンンン!」」
何も起こらない。おかしいなぁ?
「な・・・何も起こらないんだが・・・・。」
「イメージが足りないんだぜきっと。」
「どういうイメージをしたらいいのか・・・?そもそも超電磁キャノンなんていうモノを見たことが無いぞ?」
「ほらソコはまるっと、イメージで作ってしまえばいいんじゃね?」
「ますます難しいな・・・。」
身振り手振りで俺は超電磁キャノンらしいモノのイメージを伝えてゆくが、今一つしっくりこないようだ。
「もうあれでいいじゃね?これ。指。指鉄砲。」
バッキューム!と指鉄砲を向けてウィンクしてみた。
「ここ。この指先からなんか出るイメージ。」
「何かってなんだ。」
「何でもいいじゃん!超電磁的な何か!」
「分からないぞ・・・?」
「えっとなぁ。磁力とかでモノを打ち出す・・・とかそんな感じじゃなかったか・・・。」
「雑いな・・・。とはいえ詳しく聞いても理解できんが・・・。」
「あっ!あれだっ。リニア。リニアモーターカー。」
「あぁー。なんかテレビで見たことあった気がする。なるほど。」
「ようはデカいモンを早く強くぶっ飛ばすイメージだろ。」
「まぁ・・・そんなもの・・・なのか?」
「自分でそう理解できりゃいーんだよ!イメージなんだからあくまでイメージ!」
むむむ・・・と、イメージを練るきっかけがつかめたのか、眉間にしわを寄せて、考え込む様な姿勢になっている。
便器の上だとキバっているようにしか見えんな・・・。
「良し・・・これだ。」
「イメージ固まったか。」
「なんとかな。やってみる。」
種ちゅうするように目を閉じ、深く息を吸い込むと、不意に肌がヒリつく感じがする。
何かが動いている。俺が人を捕まえる時のような感じ。見えない何か。
その見えない何かが形を作ろうとしている・・・。ような気がする。なんせ見えないからな。
考えるな。感じろの世界だ。この世界はそれが現実に影響を及ぼす・・・気がする。
「チェンジ!!!」
その気合の籠った叫びと共に、新庄の右半身が輝きだす。何かが起こるのか・・・?視界いっぱいに光が満ちた頃、奇跡が起きた。
「お・・・おおおおおぉおおお!!!」
右腕が!右腕がガンになっているぅ!コブ・・・いやあえて言うまい・・・。
「マジカッケー―――!それ俺にもくれよ!」
僅かに滲み出るジャイアニズム。本気じゃないよ?・・・・・ほんとだよ?
「やれるかっ!俺の血の通った右腕だぞ!・・・。いやしかし実際に目で見るまでは、こんなモノだとは思わなかったな・・・。」
「俺の頭の中では今あの赤いスーツの人の曲がリフレインされているよ。で。」
「ん?」
「それ元に戻るのか?」
「えっ?」
ーーーーーーーーーーーー
くそう・・・またこんな目に・・・。よりにもよって、私の担当する階層に入ってくるとは・・・。
「ねーみみるちゃーん。俺にも大盛りくれよ。」
「どうぞ。」
「そっけないじゃんよー?」
「うるさい!後がつかえているんだ!さっさと食べに行け!」
まったくもう・・・。今は一歩も動きたくないというのに・・・。
集中しろ集中・・・。
「ごちそうさまでした。食器ここに置いておきます。」
「はいっ!ありがとうございますぅ!」
「とても美味しかったです。また明日もよろしくお願いしますね。」
「はいっ!がんばりますっ!」
あぁ・・・新庄様だぁ・・・美味しいって言ってくれたぁ・・・。
美味しいと言えば・・・また思い出してきた!雨宮の奴ぅうううううう・・・!!
「はぅっ・・・・。イカンイカン・・・。次っ!」
がらん!と雑にお盆を出してきたのは・・・、ここの階層のボスを自称していたやつだ。
名前は・・・・なんといったか?賞金首だったような気がするけど忘れた。
「こらっ!もっと丁寧に扱え!個人持ちにするぞ!」
「おぃおぃおぃ!ずいぶん扱いが違うじゃないかヨ~?」
「ヨーヨーいうな!うっとぉしい!ほらっ次っ!」
きゅるるるるーーーーー
はぅ・・・お腹が・・・・・・。
雨宮の奴ぅ・・・・。ゆるせんんんんんんん!
「セイラー。交代するねー・・・・・・って。えぇ・・?マジ?」
「うるさい!なにもいうなぁ!」
「病院行く・・・?」
「ちがう!そういう事じゃないんだ!トイレに行って・・・掃除道具とってくる・・・・。」
うわぁぁぁぁん!!はずかしいぃいい!!
ふぅ・・・・。雨宮銀河・・・・。あいつのせいで私の門が弱くなっている気がする・・・。
あいつのスキルなのか・・・?
まさかの個人スキル疑惑浮上・・・!?門を弱くするスキル・・・。なんて恐ろしいスキルなんだ!
あぁ・・・そんなこと言っている場合じゃない・・・早く戻ろう・・・・。ぐすっ。
「ごめん遅くなった・・・・。掃除しますぅ・・・。」
「なんていうか・・・ごめん。私が変わってた時にあいつ来たんだってね。私も掃除手伝うわ。」
もう一つ水たま・・・うっ・・・。
「泣かないでセイラー!私も悲しくなるっ」
「泣いてない!泣いてないぞ!」
涙を拭いておむつをはけっ!下っ端刑務官セイラー・ミミル!推して参る!
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