住吉 良平 1

 人工太陽光を発する蛍光灯が弱く点滅している。

薄っすらとアンモニアのような臭いがする。

仕事帰りのこの通りは気分を陰鬱とさせる。

地下都市の濁り淀んだ暗い象徴の様な気がする。


いつも休日前の仕事帰りには自宅近くのコンビニに寄って安い缶チューハイを二缶買う。

酒のアテはなし。

店員はいつ行ってもどんなやつでも愛想が悪い。

しかし、少しだけその態度にシンパシーを感じていて嫌ってはいない。


自宅のせんべい布団に座り込んでスマホでニュースを見ながら缶チューハイを飲む。

わざと喉が渇くように水分を取っていないので一缶目を一気に飲む。

胸の中にある黒い感情を流し込むように。

大きなゲップをしたら残り一缶はちびりちびり大切に。

良い感じに酔いがまわって眠くなったら寝る。

変わらないローテーション。

剥がすことが出来ない感情を無理やり酔いで誤魔化して生きていく。

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