Truth// I

結城 基

Truth//I


この世の真理は68である。これはもう間違えようがない。それでいてこの世の真理は73であり、13456127515438152だ。

近所の古本屋の薄汚い本棚に──魂の重さは21グラムである──という記述を見つけた時、私はそこに真理を見出したのだよ。さてさて考えてみてくれ。21グラムとは一体なんだ。それは0.740753オンスであるし、0.0462971ポンドであるし、3456齋藤 である。ちなみにこの斎藤という単位は大学に住みついた猫に因んで私が作った単位だ。それはいいとして、ともかく21グラムは4523齋藤なんだ。いや、3461齋藤だったか。つまりはあのいけ好かない医学部生が鼻を高くして「21」を宣言したとしても無視すればいい。それどころか鼻で笑ってやればいい。

さて日頃のうっぷんを晴らしたところで、世界の真理について考えよう。お前は世界の真理は何齋藤だと思う?そもそも世界の真理を齋藤で表すことに矛盾はないのだろうか。人間が定めた数字、単位で表すことに問題は無いのだろうか。人の魂くらいならいい。人の魂の重さの真理などは人間が勝手に決めて勝手に満足しても誰も構いやしないだろう。きっと俺達の知らないところで、猿は自分たちの体毛の量の真理を定義しているをてるだろうし、齋藤サンの長すぎる睡眠時間は我々の真理との違いから来るものに違いない。お前もそう思うだろ?だが世界となればどうだ。地球は確かに人間が植民地化したと言ってもかまわないだろ。だが宇宙の占拠はまだまだ進んでないし、宇宙の先に広がる何かについてはそれが何かも分かっちゃいない。それらをまとめて246154513751615齋藤だなんて言ったら、さすがに不味いんじゃないか?では真理はどんな形で存在しているんだ?目に見える風景か?音か?自分で挙げてみて否定するのもどうかとも思うが、風景は無いだろう。ルビンの壷を思い出してみろ。あれの本体は輪郭線の内側か?それとも外側か?今見ている風景の輪郭線の内側を外側にして、外側を内側にしてみろ。母なる大地と偉大なる空が主役で、目の前の人型のシルエットがその背景だ。

音波か?それはびょーんびょん、か?くとぅるっしゃつぃーとぉーんとぉーんつぃー、か?もしかしたらそれこそサイートウサン、かもしれんな。いや、有り得んか。

ほら見ろ。お前が大きくバツをつけてみせた答案用紙を。桁上げ先見加算機がSn-1とCn-1を求める時間は?5tgじゃない?下らんな。これが5tgじゃ無いんだったら、あんたのいう6tgも違うし、51127946tgも違う。そうだろう?ならこれは、マルだ。

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