トリクル・トリクル
夏も終わりかけの、月の澄んだ夜だった。
自らの四片に露を滴らせ、いつものように目の前の道を歩く人々を見ていた。人々の首に、耳に、指に。澄んだ月を映して光る、色とりどりの宝石。
羨ましい。
心の底から、彼らになりたいと願った。
「月を映したいと思ったの」
彼女はのちにそう供述した。
”私は紫陽花だった”__その女は、自らの身の上をそう語った。
確かに記録によれば、彼女の出自は不明だ。わかっているのは、彼女が嫁いだ宝石商は瞬く間に金に恵まれ、商売繁盛したこと。そして彼女がたびたび宝石を横領していたこと。
「でも、いくら身につけても、あの時見ていたようには映らなかった」
すーっと伝った涙が、月光をうけて煌めいていた。
----------
#文字書きワードパレット
#リプもらった番号のワードを使って文を書く
6「歩く」「紫陽花」「宝石」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます