08 夕焼け
忘れられない人がいる
今が不幸せなわけではない
多少の不満はあれど
日々穏やかに過ぎていき
それなりの幸せを感じて
それでもふとした時に強烈にあの頃へ揺り戻される
どこか自分の体に糸がくくりつけられていて
誰かが力任せに引っ張り出す
堪えきれずよろけると
とたんに持っていかれてしまう
断片的な記憶がパズルのように
ざわざわと組み合わせ始めて
望んでもいない景色がフラッシュバックして
意図的かのように紐付いた現在と過去
待って
自分は戻りたいと言っていない
あのとき見た夕焼けは今も鮮明で
高性能なムービーを見ているように
幾度となく変わらないシーンを繰り返す
思い出せ
そう責められているようで怖くなる
同じ夕焼けはもう無いのに
なんでだろう
美化されたあの頃は甘酸っぱくて
くらくら酔いそうな香り
騙されないように足に力を込める
伸びて重なる影と
オレンジ色と青が混ざる空と
ゴツゴツした道のそば
変わったのは景色だけじゃない
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます