第29話 『魔族の封印について』

 大規模作戦は無事に終結。


 怪我人こそ出たが、死人は出なかった。


 団長はあの強大な敵に死人0で討伐できたのは誇らしい事だ、みんなよくやってくれたと言っていた。


 普通だったら、何人も死人が出ていただろう。もしかしたら返り討ちになっていたかもしれない。


 気温も戻りつつある、雪も解けてきてる。以前に連絡が途絶えた人の捜索も始まったそうだ。


 あとはもう心配ないだろう。




 あと、エンデに戻って一息ついたら功労者を集めて討伐成功の祝いをするとのこと。


 帰り道、わたし達にも招待がかかった。




 それからエンデにも無事に帰れることができた。



 戻ってから一晩明け、聖騎士団長から呼ばれてると街の警備に当たってる騎士から言われた。




 案内に従って団長室へ入ると、そこのソファにでも腰かけてくれと、部屋の壁際にある一角を指す。言葉に甘えて座ることにした。


 長方形の机を挟むようにソファが二つ、秘書のような方がお茶を出してくれる。すらっとしてて綺麗な方だ、メガネが良く似合っている。


 お茶を頂こうとした時、来客があった。ソフィだ。


「お、来た来た。そこへどうぞ」 団長はソフィをわたしの横へ座らせる。




「さて、まずはクロセル討伐へ参加をしてくれてありがとう、セチアさん。」 物腰が柔らかい人だ。この若さで団長なのだからもっと怖い人かと思っとけどそんな感じはしない、優しそうだ。


「今回、君たちを呼んだのは、噂で聞いたクロセルと接触したという件についてだ」

 なんとなく、そんな気はしていた。



「お話し、聞かせ願えるかな?」




「……はい、それは、本当です。あの時、ケルンへ着く前に襲われたあと、ケルンへ飛んでからみんながまだ来てないと門番さんに聞きました。なので探しに行って、吹雪しのぎと休憩と思って見かけた洞窟へ入ったんです。そしたらそこでばったりと」


「うんうん、それで?」


「話が通じそうだったので、少しお話ししませんか? と聞いたら了承を貰えてそのままお話ししてました」


「会話の内容は聞いても大丈夫?」


「はい、噂にしか聞いてなかったので、人を殺したのか、いつから居るのかとか……」「人を殺すのを楽しんでいた、なので『殺さないで、あなたも傷ついて欲しくないから逃げて』と言ってみたら、人間なんかに逃げるわけにはいかない、またお話ししましょうとそこで別れました」


「……様子は少し変だと思ってはいた。『アイスランス』の時も狙いをワザと外しているように見えた」


「多分、わたしが殺さないで、と言ったからかと思います。あなたはお気に入りと言われました。あなたと話すの楽しいとも。だから……話を聞いてくれていたんだと思います」


「……」



「あと、彼女は魔族だと言ってました」



「魔族……だと!?」 表情が一変する。 「まさか、いやだってまだ50年ほどしか……封印が不十分だったというのか……!?」




「……」 団長は考え込んでいる。



「……わかった。話してくれてありがとう。このことはあまり話さないようにしてくれ」






 そこで解放される。


 魔族、封印、50年。



 何の事だろうか?


 もうすでに話しちゃってるし、タクでもに聞いてみよう。








「それは、多分、昔の大戦での話だな」 


「大戦……?」 昔の事は良く分からない。歴史については殆ど勉強してなかった。


「魔族と人間とであったんだよ、終わらせるために魔界の入り口を塞いだ、つまり封印したんだ。それを100年周期で封印をし直していたけど、今回は50年ほどで解けかかっている。だから慌ててるんだろう」


 なるほど。


 と感心してるとレアが

「でもそれかなりまずい事なんじゃない? 今回のだって、一人来ただけであんな状態、この先封印がもっと綻びれば、もっとやばいのが出てくるんじゃないの……?」



 確かに、そうだ。クロセルがいっぱい来たら世界は氷漬けになるだろう。それ以上に凶暴なのが来たらたちまち世界は支配されてしまう。


「でも、この封印って毎回聖騎士団の人がやってくれてるんだよね? なら今回も大丈夫なんじゃない?」  団長も封印の事を知ってたということは、そうなんだろうと思い意見を発する。



「恐らくそうだが、封印なんて代物、早々にできる事じゃない。準備とかかなり大変なんだろう、だから100年周期なのかもしれない」



「なるほど、つまり今封印をかけ直しても急いだから粗が多い、またすぐに封印が解けてしまう。それの繰り返しになる。悪循環になってしまう訳だね」 マーくんは言う。


「そう、だからどうするべきかで焦る。という訳だ。ただこれは俺たちの問題ではない。どうこう出来る訳でもない。討伐依頼が来たら行くか行かないか、それくらいだ」




「だから俺たちはいつも通りに、な」 口外するなと言われてるんだしと付け加える。












 2日後、お祝いが行われた。

 わたし、レア、タク、ロイさんは狼を2体倒したのを表彰された。


 みんなギリギリ1体倒せるか倒せないか分からないくらいの中、それを2体も、ということだそうだ。


 それにクロセルに果敢に立ち向かっていたし、とも。


 それに関して何とも言えなかった。


 美味しい料理も飲み物もあったがそんなに食べれなくて残念に思ったりした。




 一段落して、団長がみんなの前に立つ。


「先日はお疲れ様でした。クロセル討伐任務は無事に終えることができたが、こんな中で申し訳ないのだが、ついさっきかなり重要な情報が入ってきた」


 魔族の事だろうか……?ここに居るのは強い人ばかりだろうし、と思ったが予想外の内容だった。



「ここから西へ行った山の中で闇ギルドのアジトらしきものを見つけたとの報告があった」


 闇ギルド……。 みんなの表情が険しくなる。


「かなり規模も大きい。もしかしたらオルクスの奴もいるかもしれないとのことだ、しかもそれらしい人物も近辺で見たという話も僅かだがある」


 オルクス……!

 鼓動が早くなるのが分かる。



「明後日の朝方、奇襲をかけに行こうと思う。連日の大規模な作戦になると思うが、これに参加してくれる者はいるだろうか」



 みんな黙ってる。 


 静寂に包まれる。




 それを破ったのは、ロイさんだ。


「あたぼうよ! オルクスでも何でも倒してやろうじゃねぇか!」 大きい声だ、耳が痛いくらいだ。


「……俺も!」「私も!」「やってやろうじゃねぇか!」



 とここに居る全員が参加を表明したくらいの盛り上がりだ。





 もちろん、わたし達も。








 ここまで長かったようで短かった。



 依頼をこなしつつここまで鍛えて来た。




 そして、ついに追いついた。



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