全能者は空笑う
彼は苦悩した。
それを見つけるために大概の努力をしてきた。
それを見つけるために生と死を幾度も繰り返した。
それを見つけるために大量の血を浴びた。
しかし、ようやく見えた解答はあまりにも平凡さを極めていた。
功利主義なんてエゴイストの嘯きに過ぎず、完全都市なんて机上の空論も甚だしい。
「困っている人を助けれるような大人になりたいです。」なんて言った少女は、知らず知らず悪魔の種子を育てていた。健気な姿を笑って見ていた自分の顔はいくら思い出しても真っ黒なまま。
猫も杓子も天を見上げて地を這った。本性を隠そうとしても隠せなくて、どうしようも無くなってしまって心臓を刺して、足掻き求めた本質は遠ざかっていく。
彼は知った。
真理の先にある自分は、ただの"bluff man"に過ぎないのだと。
全能者は空笑う。
バビロンは鏡面に沈む 斑鳩彩/:p @pied_piper
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