煙の日々

鹿爪 拓

第1話 前書き

 随筆は清少納言の「枕草子」や吉田兼好の「徒然草」等、古くから伝わる日本文学の一つと言える。その内容を紐解いてみれば、中身は現代の人間が感じることと大差ないことがわかるだろう。

 では随筆の何が一つのジャンルたらしめる要因となっているのだろうか。私はこれを人々に共感させる力を持つものが、そのジャンルの文章を書く決定的な特徴となっているのだろうと考える。

 それはそうだろう。現代の小説ならばメインキャラクターの誰か一人に共感しながら書くこともできれば、神の視点となって全てを客観視することによって読み進めていくこともできる。


 だが、随筆は言ってしまえば「主人公のみ」なのだ。それが別のジャンルとは圧倒的な差を生み出し、固有の存在理由・特徴に他ならない。


 とはいえ、別に共感させる能力が無いものが随筆を書いてはならないという決まりもない。ならばひとつ、毎日書くものでもないけれど、日記代わりに随筆とでも洒落こんでみようではないか。と思ったのだ。

 もちろんこの考えは途中で変わる可能性もある。随筆のはずが日記になっていたり、もしかしたら日常ものの小説になっているかもしれない。どうなるかは私にも予測できない部分がある。そういったでたらめさ、いい加減さを飲み込める方は、この文章を暇潰し代わりに読んでみてもいいかもしれない。

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