傷だらけのグラッセル

星野フレム

グラッセル

 昔あるところに、それは綺麗な顔の青年がいました。彼には悩みというものがありませんでしたが、ある日。彼の顔を殴った暴漢がいました。話を聞くと、暴漢の名前は、ボーイと言います。青年グラッセルは、彼の悩みを聞く事にしました。

「俺は貧乏だ」

 そうボーイは言いました。

「そんなに悲観することないじゃないか」

 グラッセルは話し出した出鼻を挫いたのでボーイにまた殴られしまいました。今度は最後まで聞くよと言って、グラッセルは聞き耳を立てました。

「お前俺を馬鹿にしたいんだな?」

 ボーイはまたグラッセルを殴りました。傷だらけになった顔でグラッセルは気付くのです。そうだ、彼と僕は身分が違うんだと。

「僕は幸せだから、君に僕の財産をあげるよ!」

 そう言ってグラッセルは、貧しい生活を送ることになりました。立場が逆転して、ボーイはグラッセルにありがとうと言わないばかりかグラッセルを迫害しました。これにはグラッセルも驚きました。急いでボーイに会うと、ボーイはこう言いました。

「お前は俺を馬鹿にしてるだけだ。お前にはその顔がある。俺はそれが妬ましかっただけなのに、家までお前のお下がりだ!」

 ボーイは高いプライドを持っていました。そしてグラッセルは最後にこう言ったのです。

「じゃあ、僕は君を尊敬するよ」

 殴られそうになりましたが、ボーイは手を止めてこう言いました。

「お前は……優しいんじゃない。ただ分からないだけだ。俺はお前の代わりをしなきゃいけなかった。周りはこう言った! ひどい顔だと!」

 グラッセルは酷く落ち込みました。じゃあ彼はどうしたら救われるのだろう? グラッセルは、元の生活に戻りますが、ボーイはそれから姿を見せません。そしてグラッセル宛だろう手紙読みました。そこには、俺は死ぬと書かれています。グラッセルは彼がどうして自分を殴ったのか。ようやく気付いて一言言いました。

「恵まれていてごめんなさい」

 グラッセルは、彼の葬式には出なかったそうです。彼を侮辱しないように。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

傷だらけのグラッセル 星野フレム @flemstory

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ