タタリ

星野フレム

 ある夜の公園で殺人事件が起こった。起こった事自体は、その時点で誰も知らない。朝になり、母と子の親子が公園に訪れた。公園の入り口にある花壇を見た時。母親は絶句し、その場で嘔吐した。子供は必死に「ママどうしたの?」と母親を心配する。そして、その男の子は、花壇にあるものを見た。その子には、それが何であるか判らない。死体と言うものをその子は見たこともない。だから、その母親が嘔吐した程の状況でその子は死体の近くに寄って言った。

「お姉ちゃん、痛くない?」

 お姉ちゃんと言われた死体は、確かに着飾った女性の服装だった。髪も真っ黒で長い。しかし、そのお姉ちゃんは、腕がない。腕も足も無い。何処にあるかと思えば、花壇から離れた道に遺棄してあった。子供はただただ、そのお姉ちゃんを呼んだが、返事をしない。「痛いの?」「苦しいの?」「大丈夫?」何度言っても、そのお姉ちゃんは、死体は返事をしなかった。仕方なく子供は、「これあげる」と言って、そこにあった石をお姉ちゃんの側に置いた。嘔吐をし、少しマシになった母親は、自分の子供が死体に触っているのを観てしまう。母親は、居た堪れなく、その子を死体から引き離し、「来なさい!」と言って子供を抱きかかえ足早に去って行った。

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