第53話俺が番人に会ったならばっ!

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァッッッ!!!」


「んぅ…オラオラオラオラオラ…!!」


「お…オラオラオラアラオラオラァッ!!」


 俺がぶん殴ってぶっ飛ばしティアが切り刻んで動けなくして、最後はメアの魔法で吹き飛ばす。相手は欠片も残らない。


「これくらいで死んでんじゃねえぞオラァッッ!!」


「ん…ドラドラドラドラ!!」


「オラオラオラアラオラオラァッ!!」




「ブモォォオッ!!(やばいぞあいつら!!)」


「ギシャァ!?(なに!?鬼神!?)」


「グゴアァッッ!!(お前ら!種族なんて関係ねぇ!みんなで生きて帰るんだ!!)」


「グラァッッ!!(ここは俺が引き付ける!!みんな!逃げてくれぇ!!)」


「ブルァァッ!?(まて!お前一人だけ犠牲になるつもりか!?)」


「ギギギッ!!(ふ、お前だけに花を持たせてたまるかよ…俺だって守り通す!)」


「グルルゥ…(戦いの苦手なやつは逃げろ!俺たちが抑える!!)」




「おいなんかあいつら結束して逃げてないか?」


「ん…なにか仲間意識を…感じる。」


「そんな馬鹿な、あいつらは魔物だぞ。理性も知性もないモンスターだぞ?」


「そりゃあそうか!じゃあまあ、吹き飛べぇぇッッ!!」


「「「グワァッッッ!?」」」


「ん…結束する意味なんて…なかった。」


「我もなんだか可哀想に感じてきたぞ…あ、サンダーボルト。」


 と、次の下層への階段を探すべく、俺たちはサーチ&デストロイを繰り返しながらダンジョンを走り抜けていた。


「んー…あれか、階段。」


「お?やっと見つけたのか?我もあと数十発撃てば魔力が尽きてくるぞ。」


 むしろあと数十発撃てるのかよ…あれだけ魔力使ってたくせに一番消費が少ないのはメアなのかもな…


「ん…そろそろ最下層…かな?」


「マジで?…ふん、確かに階段から強い気配を感じるな。他の魔物とは違って。」


「え、なに?人間って気配も分かるの?」


「おう、それでモンスターを避けてくることもできるぞ。」


「人間も人間で万能なんだな…そういえばボムバッファローを避けて行ってたな。」


 ふへへ、そんな褒めても撫で撫でくらいしか出ないぞ。


「ん…階段…降りる?」


「おう、宝箱を見つけてウッハウハだ。」


「その前に番人がいるけどなー。」


 ダンジョンの最下層にいる番人、他の魔物よりも強さは段違いだったりするらしい。ちなみに番人は必ず宝を持っているとのことで、楽しみですな。


「まあ…どんなやつが来ても俺が吹っ飛ばしてやるよ。」


「ん…頼もしい。」


「負けることはないだろうなー!」


 階段を三人で降りながら気楽に話を進める。強い気配はあるが、俺たち三人の相手ではないことは自明の理だ。

 階段を降りきると、そこは大きい空間が広がっていた。先ほどまでの狭い洞窟とは違って大広間になっていて、床や壁などは大理石で造られてる見える。


「あれが番人、ボスか。」


「ん…それっぽい。」


「速く終わらせて飯を食いに行きたいなー!」


 大広間の中心に椅子があり、人型のモンスターが座っていた。


「人型…魔族って人型で性別が女だったら強い魔力を有してるんだったよな?」


「ん…そうだね。」


「サンダーボルト!!」


「あ!ばか!死んじゃうだろ!!」


 メアが先手必勝と言わんばかりにサンダーボルトを撃ち込む、もちろん椅子は吹き飛び、その周辺が煙で包まれる。


「…死んだのか?」


「ん…まさか。」


「やったか!?」


「おい馬鹿メアやめろ。」


「え?」


 そんなフラグを立てたらお前…


「はぁー…騒々しいわねぇ。誰かしら?私の部屋に侵入してきた悪い子ちゃんは。」


 煙のなかから色気のある女の人の声が聞こえてきた。そして煙が晴れていくと同時にその奥から青白い肌をして尻尾が生えている裸の女性が現れた。


「は…はだかっ!?」


「ん…あれは……!」


「サキュバス…だな。」


 煙から出てきたのはサキュバス、そう男の夢を具現化したようなプロポーションをした文字通り夢の魔族である。


「んふ、可愛らしい男の子がいるじゃない。もしかして私を倒しに来たのかしら?」


「滅相もないっ!!」


「おい人間!!なんで五体投地なんかしてるんだ!?」


「ばか!メアお前…バカ!!」


「なんで我は罵られてるんだ!?」


「うふふ…」


 妖艶な笑みを浮かべてこちらを見つめるサキュバス。初めて見たが確かに凄い体だ。折れそうなほど細いくびれをしてるくせに出るところは出ていて、特に胸なんてこの世界で見た誰よりも大きい。


「悪い、二人とも。俺たちの敗けだっ」


「さっきまで俺たちは誰にも負けないって言ってたじゃないか!」


「気のせいだ!!」


「そんな簡単に片付けられないからなっ!おいティア!ティアからも何か言ってやるのだ!!」


「…ティアたちの…敗け…」


「なんで胸を見ながら絶望の表情を浮かべてるのだ!?それにティアたちって我も入れてるのか!?負けてなんかないぞ!!……ぐすん。」


「うふふ…面白いわぁこの人たち。」


「俺たちの敗けだ…今日は帰ろう。」


 ダメだ、収集が着かなくなってきた。今日はもう遅いし帰ろう。俺も正直サキュバスを殴れる気がしない…


「リレ○ト!!」


「不思議な力でかき消されたわ…うふふ。」


「そんな馬鹿な!!」


「変なこと言い合ってないで帰るぞ人間!!退散だ!!」


「ん…戦略的…撤退…ぐすん。」


 俺はディアとメアに連れられてこの場から逃げたした。







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