第51話俺がダンジョンに潜ったならばっ!②
これでボムバッファローの皮は…オッケーだな。え?解体作業?ははは、カットに決まっているだろう。だってティアちゃんが血しぶきを浴びながら俺が買ったナイフでザクザクと…
「意外と絵になってたんだよな。」
「ん…?」
「こっちの話だ。ありなとうな、解体してくれて。」
皮を剥ぎ取ったけどその他の素材はどうしようか。絵面的にはかなりグロい光景なんだけどな。
「放っておいたら他の魔物が臭いに釣られて来るから焼いておくか袋に入れるかしないと危ないぞ。」
「おっと、そりゃあ盲点だった。」
かといってこの牛を持って帰るにも袋がないしな。ていうかこんなでかいもんを入れられる袋もないだろう。重いし。
「それなら魔法袋があればいいんだぞ。」
「魔法袋?なんだそれ?」
「ん…ダンジョンで…たまに見つかるアイテム…珍しくて…中々市場に出回らない。」
ほう、それは良いことを聞いた。これからもダンジョンに潜るつもりだし、探してみるのも一興だ。
「え?家に20個はあったぞ?」
「ん…それはメアが異常なだけ…」
「照れるからやめろよティア…いひひ。」
「褒められてないからな?」
ということで燃やすしかないわけだが…火属性の魔法とか持ってないしな…
「ファイアー。」
メアが手を前に突きだしてそういうと、ボゥっと燃えてボムバッファローの残骸が燃えて消えていく。
「メアもメアで魔法に関してはヤバいよな…」
「えへへぇ」
「ん…褒められてない…よ。」
「そうなのか!?」
「いや褒めてるからな?」
「ん…そうだった。」
ティアは急にボケるから難しいんだよ…まあ楽しいならいくらでも付き合うけどな!
●
あのあとはボムバッファローの気配だけを避けてダンジョンを探索したが、アラクネの糸を落としそうな蜘蛛はいなかった。というか虫のようなモンスターは一体もいなかった。
代わりにケンタウルスとかオークみたいなやつもいたが、特に面白いこともなく、瞬殺だった。サンダーボルトね。はい。
「このダンジョンに潜ってからどれくらい経った?」
「んー…我の腹時計からして今は夕方になる前かな!」
「信用できないな…」
「なんだと!」
「ん…でも夜じゃない…」
「分かるのか?」
「ん…なんとなく。」
「なるほど流石ティアだな。大好きだぞ。」
「んぅ…照れる…やめて…」
可愛いよぉ!見てよこの子!頬を赤らめて恥じらう姿!これぞ乙女だよ!花も恥じらう乙女なんだよ!
「なんで我は褒めてくれないのだ!?」
「流石メアだなー。すごいぞー。うんうん。」
「ふへへ…そんな褒めてもなにもでないぞ。」
相変わらずのちょろさ…これぞチョロイン。
「さて、またアラクネでもさがしにいきますか。」
「ん…分かった。」
「まだ終わらないのだなー。我もそろそろ疲れてきたぞー。」
そりゃあお前、出てきた瞬間サンダーボルトで処理するんだから消耗するのはメアだけだよ。
「まあもう少し探索して何も得られなかったら一旦帰ろうか。」
「ん…あれ…階段。」
「お、ここが最下層なのかと思ってた。」
長いこと階段を見つけられてなかったからここで最下層なのかと思っていた。まだ下の階層があったのか。
「アラクネがいるかもしれないし…いくか。」
「アラクネ見つけたらすぐ倒して帰るぞ!」
「ん…マグナ鉱石も…いる。」
何気に速くは帰れないんだなー。マグナ鉱石も簡単に掘れたらいいけど…嫌な予感しかしないんだよなー。
「…下の方は暗いな。ヒカリゴケがいないのか?」
「ん…多分…ここから先は…見つかってない階層。」
「そうなのか?確かにかなり奥に来た気はするけど…」
階段を見ると、下層は薄明かりもなく、真っ暗であった。これは慎重にいかないとどうなるか分からんな。
「速く行くぞぉー!」
「とか思った矢先にこれだよ!まて!メア!」
「こんなところで死ぬわけないのだぁ!余裕なのだ!!わははは!」
メアが一人だけ階段を駆け下りていった。何もなかったらいいけど…俺たちも後ろから急いで着いていく。
「大丈夫かー?」
「わははは…わは?…うわぁ!なんだコイツ!!」
「おい!?メア!どうした!?何があった!?」
どこ行った!?くそ!暗くてよく見えない!
「ん…光よ…ライト。」
ティアを中心に周りが照らされていく。
「ありがとうティア!メア!?どこにいる!?」
「ここだぞ!助けてくれ!」
前方にねばねばとした緑色のスライムに包まれている涙目のメアがいた。
「気持ち悪いぞぉ…うえへぇ…」
「スライム…てめぇ…」
「ひぃッ!なんだ!?人間!ものすごく怖い顔してるぞ!?」
スライム…お前は触れちゃ行けないものに触れてしまったな。
「限界魔法!発動!100%!更に『
バフを使えるだけ使って全力で空中を殴り付ける。
「うわぁぁぁっ!?」
「ん…すごい風圧。」
スライムに向かって殴り付けて風で吹き飛ばした。普通にチート級の火力である。
その分スライムは遠くに吹き飛ぶ、多分死んでしまっているだろう。
「ふぇ…?」
「はぁ、限界魔法、解除。」
『
「大丈夫か?メア?」
「ん…だいじょう…ぶ?」
メアは肩を震わせて俯いている。そんなにスライムが怖かったのだろうか。俺が目を離してしまったが故に起こってしまった事故だ。やってしまった…
「ふぇ…ふぇ…」
「ふぇ?」
「ふぇぇぇぇぇえええんっっ!!!」
「め、メア!?」
メアが大声で泣き始めた!やばい!どうしよう!大丈夫だろうか!?こんな時どうすれば…!?
「大丈夫かメア?怖かったよな?スライムはぶっ殺したから、もう安心だぞ。」
「ちっ…ちがっ…ふぐぅっ!…こわ、怖いのは…!」
「何が怖かったんだ!?」
「に…人間…見たことない顔してて…ふぇっ…怒られるかなって思って…ひっ…」
「そんなことで泣いてたのか…確かに先に走っていったのは驚いたし、注意しようと思ったけど…それよりもメアの心配の方が大きかったよ。」
スライムに襲われてるのを見た瞬間注意しようとする心は一瞬で殺意に変わったね。俺はスライムにだけは容赦しない。
「うぅ…ごめんなさい…ごめんなさぁい…」
「おうおう、分かったからもう泣くなって。」
いつもツンツンしていて気を張っているがこういうときはただの女の子なんだな。よしよし、いい子いい子。
「ん…もう大丈夫…でも……すこしまって……」
「どうした?疲れたか?まだ休んでいてもいいぞ。」
「違う…その…なんというか…笑わないか?」
「笑わんぞ。」
「も…」
「も?」
「漏らした……」
「…………そうか。」
俺は振り返り、空気を読んで黙っていたティアの方へ歩いていき…
「ん…?メア…大丈夫だった?」
「あいつは…大丈夫だけど…大丈夫じゃない……見てやるな……」
きっとメアは今絶望の縁にいるのだろう。俺ができることは一つしかない。
「メア…」
「な…なんだよ……見るなよ……」
「俺が舐めとってあげよう。」
「今まで変態変態といってたけど、訂正するぞ。お前は屑だ。」
ギャグに決まっているだろう。HAHAHA。
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