俺がシュロンの町に入るならばっ!
「どうも、門番さん。シュロンに入っても良いですか?」
「あぁ、旅人さんですか?ギルド証などは?」
シュロンの町に入る前に警備をしている門番に話し掛けて検査をしてもらう。
門番さんは若い青年で見るからにイケメンだ。優男という感じかな?
「これでいいですか?」
「はい、構いませんよ。少しだけ待っててください。」
そういうと門番さんは傍にある玉のようなものにギルド証をかざした。
「それは?」
「知りませんか?これは最近ダンジョンで発見されたものです。これにギルド証などをかざすことで犯罪歴を調べることが出来るんです。どういう仕組みなんでしょうね。」
「ほーう…凄いですね。これじゃあ盗賊なんかが入ることは出来ませんね。」
凄い、そんなものまでダンジョンから発掘されるのか。俺もなにか手に入れてみたいものだ。
「はい、大丈夫ですね。お返し致します。ダンジョン攻略ですか?」
「えぇ、この子達と。」
「え、我たちも前にでないといけないのか?」
「ん…」
ティアとメアを前に出して門番さんに見せる。ふふふ、可愛いだろう俺の奴隷ちゃんは。
「うわぁめっちゃ可愛いじゃないですか!」
「そうだよな!俺の奴隷は可愛いよなぁ!君分かってるじゃないか!なんて名前なんだ?」
「僕はソロって言います!お兄さんは?」
「ソロか、よろしく。俺は駿河って言うんだ。ほら、二人も。」
「ん…ティア。よろしく。」
「ふん…興味もないやつに名乗る名前はない。」
「あはは、このお嬢さんには嫌われちゃいましたかね?スルガさんにティアちゃんですね、あと、名も知らないお嬢様も、よろしくお願いします。」
嫌味のない笑顔で挨拶を交わすソロ。なんだろう、最初はイケメンかよとか思ったけど…良いやつなんじゃなかろうか。これがイケメンマジックか?俺も落とされてしまうのか?
「ティア。」
「ん…分かった。」
「うひゃあ!?やめ…うひゃひゃひゃ!?許して!!うひひひっ」
名乗ることくらいいいだろ、プライドが高すぎないか?
「あの…僕はどうすれば……?」
「あ、気にしないでくれ。」
「えぇ……」
「そんなことよりダンジョンに行きたいんだが許可とかは必要なのか?」
情報収集は大事だからな。門番なんだから知っているだろう。
「そうですね。ダンジョンに許可は必要ありませんが、死んでも責任は取れない…て事くらいですかね」
「まあそりゃそうか、入るのが自由なら一生帰らないのも自由なわけだ。」
「それが本人の意思で帰らないのかは甚だ疑問ですけどね。」
あははと苦笑いするソロ。ダンジョン自体は勝手に入って良いんだろ?なんだ、それなら適当に攻略して回ろう。
「じゃあ俺たちは行くよ。お仕事頑張ってくれ、ソロ。」
「はい、お気をつけて。」
ソロに別れを告げてシュロンの中に入るとまず目に入ったのはずらっと並ぶ武器屋と防具屋だった。
「おぉ、なんでこんなに…」
「ん…ダンジョンに…挑戦するための…装備調達…」
「なるほど、これだけあるってことは挑戦者も一杯なんだろうな。」
通り道は冒険者と言わんばかりの風貌の男性が多い。ところどころ女性も混じっている。みんなダンジョンへの準備をしているみたいだ。
「なぁ我らもダンジョンに行かないのか?我は暴れたりないぞ。」
「まあ待て。その前に装備だ。」
RPGだって装備を揃えてからボス戦に挑むだろ?俺もティアもまともな装備は持ってないんだから買わせてくれ。
「ん…ティアは…武器…いらないよ…?」
「そうなのか?でもナイフみたいなのがあった方が良くないか?」
「ん…でもお金…かかる…」
「んなこと気にするなって!そんな貧乏じゃねえぞ?ほら。」
この前のドラゴン討伐、あれもシエルのお陰で俺たちに報酬が振り込まれたからな。お陰で袋にお金がザックザックだ!
「ん…じゃあ…武器…買ってほしい…な。」
「おう、余裕だ。」
よしよしと頭を撫でる。お金なんて子どもが気にすることじゃねえよ、任せなっての。あ、俺も高校生か。
「なぁ、我には何を買ってくれるんだ?」
「お前は肉でも食べてろよ。」
「我にだけ辛辣!?」
「冗談だよ、何が欲しい?」
「んー…………肉?」
「はいアホの子。」
結局肉じゃねえか!まあ後方支援的なね?武器は無くてもサンダーボルトとか撃てば良いだけだもんね?それでも杖くらいあった方が良いんじゃないか?
「さて、武器を買うにしてもこうも多かったら何処に行けばいいのか。」
「ん…さがす…?」
「そうだな。しばらく歩こう。」
「さっきまで走っていたのにまだ休めないのか?はぁ…奴隷使いが荒い人間だ……」
さっきダンジョンで暴れたいとか言ってたやつは誰だよ。奴隷みたいに扱ってないだろ?むしろ姫様のようにもてはやしてるよ。
しばらく歩いて人の少ない路地裏に入ってみる。こういうところに知るひとぞ知る凄い武器屋ってのがあるもんだ。
「こんなところに連れてきて…何するつもりだ人間!?」
「何もしねえよ、武器屋探してるって言ってるだろうが。」
「ん…あれ…は?」
ティアが指差す方向にちょっと見た目古びている武器屋みたいなところがあった。露店ではなくしっかりとした家屋があった。ブラックスミスと看板に書いてある。
「鍛冶屋…だな。入ってみるか?」
「ん。」
「ブラックスミスってなんだー?」
「確か鍛冶屋っていう意味だったと思うが…武器屋みたいに金を出して武器を貰うんじゃなくて素材を出して武器を作ってもらうところだと思う。どちらも武器を売っていることに変わりはないけどな。」
とりあえず入ってみてから考えよう。こういうちょっと寂れたところにあるっていうのがカッコいいよな。隠れた名店って感じで。
「こんちはー。」
これまた錆びたドアを開けて中に入る。中は暗くて奥が見えない。
「はいはい、お客さんカ?」
不意に明かりが灯って奥から声が聞こえてきた。
「武器が欲しいなと思いまして。入っても?」
「おぉー!久しぶりの客だ!入ってくレ!」
姿は見えないが歓迎されてるようだ。入ってみると、金属の破片が床に転がってたりしていてあまり掃除はされてないみたいだ。
「なんだか古いところだなー!こんなところで良いもん買えるのかよー?」
「おいメア、口が悪いぞ。すまない、店員さん。悪気はないんだ。」
相変わらず遠慮のない発言を…怒らせてしまったか?
「いや構わないヨ。実際古い店だからナ。」
「そうか、それでも雰囲気があって俺は好きだけどな。」
その声と共に奥から出てくる人影があった。多分さっきから話している人だろう。頭を下げるべきか。
「そうカ?ありがとうナ。良かったら見ていってくレ。」
現れた人物は身長が低く、その体には似つかわしくないハンマーを片手に担いでいて、健康的な褐色肌をしている幼女だった。
「き……きみはもしかして……すまないが種族は何て言うんだ?」
「ン?分からないカ?ドワーフっていうんダ。身長が低いだロ?これのせいで中々ハンマーが打ちにくいんダ。」
「ど…ドワーフ……」
「あ、ティア。多分来るぞこれ。」
「ん…みみを…ふさぐ…?」
「どうしたんだお客さン。さっきから震えてるゾ?」
「褐色ロリドワーフキタァーーーッッ!!」
「ほら来たよ。悪い癖だ人間の。」
「ん…あるじ…うれしそう…」
「なんダ?病気なのカ?」
入ってみた鍛冶屋はまさかの褐色幼女が経営する加治屋でした。やったね!
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