第25話俺が騎士さんにあったならばっ!
ヤドンと別れてコボリの森へ入っていくと、やっぱりモンスターはたくさんいるようだった。索敵にもまあまあの数のモンスターが表示されてる。
「おぉ!王道のモンスターじゃあないかぁぁっ!!!」
「ん…?スライム?」
森のなかを歩いていると王道も王道のスライム様がいた。ドラ○ンクエ○トに出てくるような目とか口はないがフォルムはまるでそれだな…
「あぁ、俺の世界でも有名だったんだ。実際にいた訳じゃないんだけどな?」
「ん…」
いやぁ異世界転移でもよく最初に出てくるはずなんだけどな…俺の場合はこんなに可愛いやつじゃなくてむさい盗賊だったからな…
「ちなみにこいつは弱いのか?」
「ん…武器があれば…たぶん…こどもでも…」
「やっぱり天下のスライム様じゃないですか!」
「…あるじ…?」
いやぁスライムならやっぱり弱くないとな!!いやまあスライムに転生して激つよ!なんて小説もあったもんだが…それと遭遇はしたくないなぁ…あはは…
「こいつこいつー。可愛いじゃないかぁ。」
スライムに近付いてツンツンしてみる。うわぁぷにぷにしてる…あ、逃げないで…
「…ちなみに…スライムは…弱いけど…」
「弱いけど…なんだ??」ツンツン
「ひとに…きせいする。」
「うぉわぁッ!?」
びっくりして後ろに3メートルはジャンプしたよ!!き、寄生!?こわ!
「え!こんなに可愛いやつが寄生するの?」
「ん…?うん…とくに…おんな…のこ…?」
「…殺す…」
女の子に寄生をするだと…?その罪深き行い…許せん!それだとティアも寄生対象じゃないか!?駆逐してやる…ッ!この世からッ!一匹残らずッ!!
「ん…ちなみに…きせいされると…はらまされ…」
「やめなさい!ティアちゃん!?そんなはしたない言葉どこで覚えたの!?お父さん許しませんよ!?」
ティアが孕まされるとか言おうとしたよ!?というかやっぱりそういうことされるの!?怖いんだけど!異世界って闇が深いよ!!
「ん…?ごめんなさ…い?」
「分かってくれたならいいんだ…ん?なんか音が聞こえるな?なんの音だ?」
いま歩いている方向からこちらへ何かが向かってくる。
「敵意は…ないか…。モンスターじゃないな?なんだ?」
「ん…くる…」
索敵では赤いマーカーでは表示されていない。白いマーカーということは敵意のないモノということらしい。
「ん?なんだ、人か。君もドラゴンを倒しに?」
向こうからやってきたのは騎士の姿をした金髪の女性だった。髪は露出しているが大きい兜を被っているので顔はあまりわからない。女性だとわかるのは声が高くてきれいな声だからだ。
「ええ。えっと…騎士さんもですか?」
「ん?ああ、そうだ。自己紹介もしておこうか。私はクロノスだ。よろしく頼む。」
「クロノス…さん?ですか?どこかで聞いたような…」
クロノス…ちょっと前にも聞いたような…?
「あ!俺は高梨駿河です。こちらこそよろしくお願いします。」
「ん…ティア。よろしく。」
「駿河殿にティア殿か、二人は冒険者なのか?」
「ええ、まぁ。ティアは奴隷ですがね。」
意外と友好的な方だ。騎士の姿をしていたからお堅い感じかと思ったが、普通に話せるし、いい雰囲気の人だ。
「む…その子は奴隷なのか…?」
「ん…ティアは…あるじの…もの。」
「奴隷か…私は奴隷というものはあまり好かない…」
クロノスさんは俯きながらそう呟いた。
「そうなんですか…?そうですね…俺のいた村には奴隷なんて文化はなかったんです。人権というものがありまして。」
「人権…か。ガルダマーナの人々にも一応あるが…奴隷は深く根付いた文化。今からなくせるはずもないんだ。」
悔しそうにそう言う。なにかあったんだろうか?しかし今それを問えるほど仲良くもなければ、勇気もない。
「ん…でも…ティアは…あるじの…どれいでいい…よ?」
「ティア…」
ティアがそこで空気を読んだのかそう言ってくれた…て、照れるじゃない…か…あ、ちょっと口調移っちゃった。
「そうなのか?ティア殿は奴隷になって嫌ではなかったのか?」
「ん…あるじは…ひどいこと…しない…よ?それに…やさしいし…あるじがいると…さみしく…ない…」
「や、やめろよティア…恥ずかしいだろ…」
そ、そんな誉めてもいい宿といい飯となんでもしかあげないからな!!
「そうか…ティア殿は奴隷になれて…いや駿河殿の奴隷になれて良かったんだな。」
「ん…たまに…いやらしい…けど…」
「まてまてまてまて…待ってくれティアさん?」
なんか最近ティアさんが度々俺を陥れようとしていないか!?女性の前でそれを言うと…
「…駿河殿…私も奴隷に対する扱いというものは心得ているが…こんなに小さい子に…」
「違うんだ!話を聞いてくれ!クロノスさん!俺は悪くないんです!」
ですよねー!!こうなりますよねー!!ロリコンなんて女の敵ですもんね!!でも違いますから!!俺はただティアが愛しくて切なくて心強いだけですから!!……いや俺なにいってんだ?
「いや…とりあえず私に近付かないでくれるか…?私はいま駿河殿…駿河さんと心の距離を感じているところなんだ。」
「やめて!?少しずつ後退りしないで!?駿河さん!?呼び方変わってますよ!?心の距離を感じないでください!!」
「…?」
ここで首を傾げるのは可愛いけど!可愛いけどフォローしてほしいなぁ!!あぁ!後退りがさらに加速していくっ!?
それからしばらくは、弁解するために時間を使った。途中何回もいつの間にか俺の手がティアの頭を撫でているのでそれが更に勘違いをさせてしまった。
いやきっとこれはあれなんだってティアの頭と俺の手は磁石みたいな感じなんだって。そんな磁力が働いてるだけだって!
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