第11話俺がギルドに行ったならばっ!

 さて、この状況……どうしましょうか。


「おいそこのお嬢さん!俺とも腕相撲しようぜ!」


「…かかって…こい」


 まずなんで屈強な男達が俺のティアを囲ってるんだ?そしてなんで腕相撲をしてるんだ?


「うわぁ!Dランクのチョーカーが腕相撲で吹っ飛ばされたぞ!」


「…ふんすー」


 しかもティアが勝ってるし……それにここは冒険者ギルドだし……まてまて、整理しょう。






 奴隷館から出てきた俺たちはこれからどうするか迷っていた。


「なぁ、ティア、疲れてるか?」


「ん…ぜんぜん」


「そうかー、ならこれからギルドにでも行きたいんだが…いいかね?」


「構わない…あるじが行きたい場所がティアの行きたい場所。」


 やばい、抱き締めそう、この胸のトキメキ……これが……母性か!いやまてまて落ち着け俺。これじゃ犯罪者じゃないか。


「どうしたの……あるじ?」コテン


 そんな…!そんな首をコテンって擬音が付き添うような感じで曲げたりしたら……あ、やばい頭に血が…


「な、なんでもないんだ……よし!じゃあギルドに行こうか。そのあと宿屋に行こうな。」


「ん」




「あ、あんなところに焼き鳥を売ってる店があるな。ティア、食べようか。」


「ん?ティアは…いい。」


「お?どうした?焼き鳥は嫌いなのか?」


「んん、そんなことない…けど、ティアは奴隷だから。」


 それが当然…という顔をしている。この国では奴隷はすきに食事はできないのか?奴隷基本法はどうしたよ。いやあれはあくまでも生命の保証なのか。でも…それはねぇよなぁ。


「なぁ、ティア。俺はお前に自分のことを奴隷と思ってほしくないんだ。」


「…なんで?」


「それは…だなぁ…なんて言えばいいかわからんが、そんなの対等じゃないだろ?」


「対等?でもティアは奴隷…」


「建前はな、でも俺はティアを奴隷として扱わないよ。そうだな、妹って感じかな?」


 まあもう一人、多分俺より数百倍年上な妹のようなやつがいたりするけどな。


「妹…」


「そうだ。家族なら遠慮はいらんだろ?だから、もしティアが欲しいものがあれば欲しいというんだ。もちろん買えるかどうかは別だけどな。」


「そう…じゃあ、焼き鳥…欲しい。」


「そうだよな…じゃ、買ってくるわ。」


「ん…」




「美味しいか?」


「…ん、おいしい」


「だなー!俺もまさかこの世界にも焼き鳥があるなんて思わなかったぜ!……あ」


「この世界?」


 やべ!またやっちまった!


「あ、いやまて、ティアよ、結論を出すには早いぞ?まずはそうだ、素数を数えよう!1、2、3、4…」


 あれ。素数ってなんだっけ?


「あるじ?」


「はい!」


「あるじは、あるじ…だよ?」


「…抱き締めてもよかですか?」


「ん…よかです…?」


 ギュウっ…てまて!俺はなにをしてるんだ!?


「す、すまん!急にへんなことをした!」


「…?へんなこと?」


「い、いやなんでもない…や、焼き鳥も食い終わったし、ギルド行こうか。」


「ん」


 こんなに可愛い子が俺の奴隷だなんてな…いつロリコンどもが来ても対処できるようにしなきゃな…俺の武術の才が光るぜ!!シュシュッ!(シャドーボクシング)





 ここがギルドか…なんというか小説で想像できた通りの建物だな。ここまでいくと俺が見た小説を書いてる人って一回異世界にきたんじゃないの?


「入ってみるか。」


中世ヨーロッパの酒場のような木製の扉を開けると、そこには…


「おぉ…これまた内装も想像通りだな。」


 ほんのりと明るいバーのような雰囲気に、大柄な男達が酒を食らっている。いや飲んでるんだが。まあまあの広さだ。換気もしっかりしてるのか、酒臭くもないな。奥にあるのは…あそこが受け付けか。受付といったら受付嬢だが…


「あのーすいません。」


「はいはいー、すぐいきますー!」


 受け付けに行き人を呼んでみると、まわりのむさ苦しい雰囲気にはあまり似合わない明るい感じの女の子が出てきた。


「こんにちはー!あれ、初見さんですか?はじめましてですよね?」


「はい、ギルド証を作りたくて。」


「なるほど!便利ですもんね!じゃあステータス、見せていただけますか?」


「え?」


「え?ステータスです!ステータス!ステータスを見て、どれくらいの強さかを判断致します!その強さに応じてF~Cの間のランクになることができます!」


「な、なるほど…す、すこし待ってくれるか?」


「…?はい!分かりました!」



 さてさて、また慎重に考えないといけないかもしれない案件が出てきたぞぉ?




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