第12話俺が腕相撲をしたならばっ!

 とりあえず、俺のステータスを見てみるか。




高梨 駿河 16歳 Lv.7


HP 187

MP 164

攻撃力 158

防御力 123

精神力 145

魔法力 138

俊敏 168


スキル

暗黒魔法Lv2

限界魔法Lv1

魔法強化Lv1

索敵Lv1


才能スキル

武術の才

魔法の才


創造神の加護 Lv10



 なんかバカ上がってんだけど…え、これどうすんの?隠蔽とか出来ないよ?これこのままステータス見せていいのか?…でもクロエは有名になってほしいって言ってたよな…じゃあまあ…いいのか?


「えっと、じゃあ…ステータス。」


 ぽっと音もなく透明なウィンドウにステータスが表示された。


「はいはい、じゃあ失礼しますねー。」


「あ、あの…驚かないでくださいね?」


「はい?大丈夫ですよ!いままで数多くの冒険者さんを見てきましたし、驚くことなんて…え?え?…え?」


「大丈夫ですか?お姉さん。」


 受付嬢のお姉さんはステータスをみたまま固まっている。すごい、初めて人が硬直するとこ見た気がする。


「あ、あの…え?これ、偽装ですか?」


「いやー…そんなことはないと思いますが。」


「あれ?あれれ?私目がおかしくなったのかな?なんか、ステータスがものすごく高いんですけど…?」


 お?そこなのか?


「レベル7にして、全ステータスがBランク以上に匹敵してる…普通は30レベルはいかないとあり得ないのに…」


 才能スキルにはノータッチなの?それにクロエの加護も…普通なのか?いやでもクロエはチートって言ってたし、才能スキルもめったにないって言ってたよな…


「こ、これなら最初からCランク…ですね。」


「ありがとうございます。ちなみにお姉さんは僕のスキルが見えますか?」


「?いえ、ステータスの閲覧は、本人の許可がない限りスキルを見ることはできませんが…もし見せていただけるのでしたら、それを交えてランクを上げますが…えっと、君はもう上げられる限界のCランクになれるから意味がないかも…」


なるほど、これはいい情報を手に入れた。これで誰に見せてもスキルはバレないわけだ。


「そうですか…いえ、あまり見せたいものでもないので、ちなみに僕の名前は高梨駿河です、駿河と呼んでください。」


「はい、駿河さんですね、宜しくお願いします。私はノノと申します。このギルドの看板受付嬢です!」


「宜しくお願いします、じゃあ、ギルド証の方、頼みますね。」


「はいはい、しばらく掛かりますので、お待ち下さい。」


「あ、ちなみに奴隷とかのギルド証はいるんですかね?」


「いえ、もし奴隷をお持ちの方がギルド証を持っていたらそれで大丈夫ですが…荷物持ちや、戦闘用の奴隷もいらっしゃいますからね。奴隷を持ってらっしゃるんですか?」


「ええ、まあ。」


「近くに見当たりませんが…」


 て、あれほんとだ。どこ行ったんだろ?


「おーい!ティアー!?」


「…ん!ここ!あるじ!!」


 向こうのほうで固まってる男たちの方からティアの声が聞こえてきた。


「ちょ、ちょっとすみません!」


「あ、はい。」


 おいおいおいおい、そんな男たちに囲まれてなにをしてるんだ!?というかなにをされてるんだ!!もしティアになにかあれば…許せん!!


「おい、ティア!大丈夫…か……?」


「ん!」


 ドシンっと重い音とともに男がぶっ飛んだ。


 …腕相撲で。

 

「うぉ!この子すごいぞ!なんてやつだ!腕相撲つよすぎるだろぉ!」






 そして、冒頭に戻ってくるわけだ。


「あるじ、ティア、つよい?」


「あ、ああ…すごいな…」


「なんだぁ?にいちゃん、この子の保護者かい?」


 頭を短いリーゼントのようにして、筋肉もしっかりついてるいい身体をしてる男が話しかけてきた。まあまあの強さだな。武術の才があるからか、なんとなく強さが分かる。


「まあそんなもんだ。お前らは?」


「おうおう、そんな敵意むき出しにすんなよ。さっきそこのお嬢さんが俺たちが腕相撲をして遊んでたところを興味深そうに見てたから、入れてやっただけさ。なにもしてねえよ。」


「なんだ、そうなのか。悪かった。」


「いんや、それにしても、見ねえ顔だ。新米だよな?」


「ああ、いまギルド証をつくってもらっている。」


「そうか、俺はヤドンだ、宜しくな。」


「や、ヤドン??不思議な名前だな。俺は駿河だ、宜しくな。」


「そうか?俺にはスルガなんて名前も珍しいと思うが…」


 いやいや、ヤドンとか…なんか俺の世界にもそんな名前のやつがいたぞ…いや空想上のキャラクターだが…こいつこんなにいかつい顔してるのに、あんなのんびりとしたモンスターと同じ名前って…ちょっと面白いけど。


「そういえば嬢ちゃんが、こんなに強いってことは、ご主人様のスルガはもっと強いんだよな?」


「んー、どうだろうな。」


「ん、あるじはつよい。誰にもまけない。」


「いやティア?そんなに、ハードル上げられても困るんだが?」


 まあここにいるやつらなら誰にでも負けるとは思えんがな、束になってきても多分なんとかなるだろう。


「ほう、じゃあ俺とやってみるか?」


「おい、ヤドンがあの新米とやるらしいぞ!」


「おいおい、Cランクだろあいつ!やべえぞ 、流石にCランク相手じゃ部が悪いだろう?」


「ふへへ、ティアちゃん可愛いなぁ…ふへへへ…」


 他のやつらがなんかいってる、ヤドンはそんなに強いのか?あと、最後のやつ。ティアに半径5メートル以内に入ったら殺す、すぐ殺す、今すぐ殺す。


「どうだ?俺に買ったら、そうだな、1万スールくれてやるよ。」


「お、ほんとか?いいぞ、やろうか。」


 いいね、どうやら1万スールならすぐ手に入りそうだ。


「お、乗り気だな!じゃあお前が負けたら俺にビール買ってくれよ?」


「いいぜ、じゃあ勝負だ、ヤドン。」



「ルールは簡単だぜ、このテーブルから肘が離れないようにして、あとは相手の手の甲をテーブルにつけさせた方の勝ち、いいな?」


「おっけー、さっさとやろうぜ。」


「ふふ、自信満々だな?いくぞ?レディー…ゴー!」


「あるじ…頑張って」


 可愛く応援してくれてるティアの為にもここは負けられねーな。


「ふんぬっ!」


「おぉ!結構強い、ヤドン、やるな。」


「ぐ、余裕かよ!これで…どうだっ!ぬんっ!!」


 ヤドンのからだが赤いオーラに包まれた。なんかのスキルのようだ。


「おぉ!出たぞ!ヤドンの十八番!『身体強化(フィジカルバースト)』だ!」


「うぉ!あぶな!」


「へへ、形成逆転だな!ビールはもらったぜ!」


 『身体強化(フィジカルバースト)』!?なんだそのかっこいいの!てか急に力が上がったぞ!


「まあまて、俺もそれ、やってみるわ。」


「は?なにいって…」


 感覚は…そうだな、力が身体中から溢れてくる感じだ、薄い筋肉を身体全体にまとう感じで…こう!


 ボシュウっ!という音と共にヤドンの数倍の量のオーラが溢れでた。


「こうだな!おらっ!」


 そのまま力任せに押し倒す。


「うおわっ!!」


 ヤドンが大きく吹っ飛ばされた。


「おい!見たか!いまの!あいつも『身体強化(フィジカルバースト)』が使えるみたいだぞ!!」


「まじかよ!期待の新人じゃねえか!余裕で俺たちを抜いていくんじゃねえのか!!」


「ティアたん、可愛いよぉ…こっちおいでー…」


 どうやら武術の才とクロエの加護のおかげで、簡単に習得できたみたいだ。かっこいいな、『身体強化(フィジカルバースト)』。お気に入りだぜ。

 あと最後のやつ。ティアが怖がるからやめろ。引きちぎるぞ?ナニをとは言わんが…


「あるじ…つよい。」


「ははっ、そうか?嬉しいこといってくれるじゃないか。ティア。」


「こんど…ティアとも…やる?」


「そうだな、機会があればしてもいいな。」


「おいおい…俺を吹っ飛ばしておいて呑気なもんだぜ。こちとら首がいてえっつーの。」


 首をコキコキとならしながらヤドンが、近づいてくる。


「いや悪い。俺もまさかそんなに飛ぶとは思わなかったよ。」


「いや。いいんだ。それにしても、お前も『身体強化(フィジカルバースト)』使えたんだな。びっくりだぜ。この辺じゃ使えるやつもそういないんだがな。」


「そうなのか、でもヤドンも強かったぜ。」


「ありがとよ、ほら、1万スールだ。確認してくれ。」


「お、悪いね。ありがとよ。」


「いいってことよ。それにしてもすごい新人が入ってきたもんだ。こりゃあうかうかしてられねーな。俺もはやくBランクに上がらなきゃな。」


「そうか、おまえはCランクだったのか。」


「あぁ、そうだ。ここら辺ではまあまあ名が知られてるんだがな…」


「悪いね、最近来たもので。それに、どうやら俺と同じランクのようだ。長い付き合いに、なるかもな?」


「ん?俺と同じランク?それって…」


「おーい!駿河さーん!ギルド証出来ましたよー!受け取りに来てくださーい!」


「お、どうやらギルド証が出来たみたいだ。いくぞ、ティア。」


「ん…わかった。」


「お。おい、俺と同じランクってどういうことだ?」


「あぁ、俺、最初からCランクみたいなんだよ。これから宜しくな?ヤドン。」


「ははっ…俺、冒険者やめようかな。」


「「「ヤドン、俺たちもそう思ってるぜ。」」」

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