第2話俺が異世界転移をして神様と会うならばっ!

 帰り道のことだった。俺こと、高梨駿河は学校の帰り道、普段から考えている異世界にいったときのことを考えていた。


「やっぱり異世界転移したらいっぱい可愛い子がいるんだろうな…エルフ、ドワーフ、獣娘に竜人とか…そしたら…ふふふ」


 はたからみればただの変態かもしれないが、俺からすると重要なのだ。まあ、実際の俺はそんなに積極的ではないが、きっと転移したら変わるはずだ。うん。


 そんなことを考えながらあと家まで10分ぐらいのところに差し掛かったとこで、妙なことが気になった。この近くには普段から使われない神社みたいなところがある。

 その神社はもう寂れてしまい、正月にも人気がなくおばあちゃんや、おじいさんがちょいといるぐらいだ。しかしその時なんとなくだが、俺はその神社に行きたくなった。理由は…なんだろうか、別に気になるものがあるわけでも、思い入れが有るわけでもないのだが、とにかく行きたくなったのだ。


「確かこっちの方に…あ、あったあった」


 どこにでもあるような鳥居をくぐり、石畳を踏む。普段踏みなれてるコンクリートとはまた違う感触だ。


「賽銭賽銭っと…あ、金ねぇや。」


 意味もなく祈願でもしようとしたが、帰る前にジュースを買っていたので金がなかった。いや高校生の持ち金がジュース一本ってどうよ?母さんもうちょっとお小遣い増やして?

 そんなことを一人思いながら振り替えると、綺麗な銀髪の女の子が立っていた。


 正直に言おう、ホラーだった。


「うぉ!!?なんだ、ただの女の子か。びっくりしたぁ…」


 よくみるとかわいらしいが、表情がないというか、なにも考えてないわけでもないが何かするわけでもない、人にできそうな顔でもない、無表情と表すしかないが、それ以外に呼び名を探してしまうような曖昧な表情の女の子だった。


「どうしたの?あ、祈りに来たに決まってるか。いやそれとも遊びに来たのかな?」


「ううん、お兄ちゃんを呼びに来た。」


「俺?」


「うん、私の世界に来ない?」


 ん?この子はいまなんて言ったんだ?私の世界?


「私の世界〈クライエ〉にこない?」


「クラ…イエ?それはなんの冗談だ?面白いけど。」


「くる?」


「まあ、異世界転移ってーんならいってみたいもんだなぁ。」


 全く期待はしてないし、そもそもなんの話かも要領がつかめないが、本当にそのクライエとやらに行けるのならば行ってみたいもんだ。


「そう、嬉しい」


 お、笑顔になっ…!!

 ぐぅ…突然立ちくらみが…


「むこうで会おうねお兄ちゃん。」


 急に立ちくらみに襲われた俺はそのまま倒れた。



「んぅ…」


 なんだ、目をあけるのがだるいが、なにか柔らかいものが頭にある。ちょっとその辺りを触ってみる。

 ふにふにしてて気持ちいいな…


「お兄ちゃん、そこおしりだよ」


「え?うわっ!!」


 俺は飛び起きるとそこにはさっきの銀髪の女の子がいた。あれ?今さらだけどなんでこの子銀髪なの?


「うわってひどいなー。まあ僕もお兄ちゃんのおしりを堪能したからいいけど。」


 立ち上がりながらなにやら怖いことをいう。堪能?!なに!?なにをしたの!?


「て、ここどこ??」


 ふと周りをみるとなんだか和室のようなとこだった。畳や障子があり、真ん中には炬燵こたつがある。入ろ。


「そんな流れるようにこたつに入らないでよ…まあこれからここのことを話すからよく聞いてね。」


 苦笑いしながら女の子はこたつに入り、説明をするつもりらしい。ここの事、つまり普通に考えればこの女の子が俺を誘拐したのかと思ってしまうこの状況をか。


「ここはさっきも言ったけど、〈クライエ〉っていう世界なんだ、君の世界でいう異世界ってやつだ、そして君は異世界転移したんだよ。」


「は?いやまてまて、そんなの実感わかないし、そもそも君みたいな女の子がそんなわけ…」


「ダメだよー顔で判断したら…」


「いや、けつのさわり心地が明らかに若かった…あれは明らかに10歳前後だった。」


「えぇ!?そんなとこで判断したの!?ていうか10歳前後の女の子のけつを揉んだことがあるの!?それこそ問題だよ!!」


「揉んだと問題をかけるなんて、お嬢さんやるねぇ…」


「全く意識してなかったよ!こっちがびっくりだよ!それに僕はお嬢さんじゃなくて名前がしっかりあるんだよ。僕の名前はクロエ、この世界の神様だよ!」


 ちょっとどや顔でない胸を張りながら言ってくる。そうか、異世界ねぇ、こんな小さい女の子が神様の世界ってすぐに滅びそうなもんだけどな。あ、失礼?ごめん。


「で、クロエ、とりあえず君を信じたとして俺を転移させた理由はなんで?」


「そんな流れるように戻らないでよ…えっとね。」


 そういうとこたつに座り直し、まっすぐこっちを見つめながら話が始まる。


「僕の世界クライエはあんまり文化が進んでないんだ。まあ進んでないって言ってもある程度は進んでるんだけどここ数十年の間は進展がなくてね、そこで比較的文化の進んでる君の世界の神様にお願いしたんだ。」


 要は、世界に刺激を与えてくれるような人材が欲しかったわけか。というか俺の世界にもやっぱり神様っているんだな。目の前のクロエも確かに神様なのかもしれない。そんな雰囲気が出てる。こう、オーラというかなんというか……うん、説明無理!


「で、そこからどうして俺になったんだ?別に誰でもよかったんじゃないのか?」


 そもそも工業高校に通ってるわけでもない、普通科の普通の人間に文化を進展させろと言ってもなぁ。いや工業高校の人でも急に文化を進めろと言われても無理だろう。


「うーん、異世界の子を連れてくるには波長が合わないとダメだったりするんだー。」


「波長?」


「そう、波長。君の世界でいうならそうだね…幽霊とかいるじゃん?あれって場合によって見えたり見えなかったりするよね?それが波長。生きてる上で常に変わり続けてるチャンネルみたいなもの。そのチャンネルがたまたま合ったのが君だったんだ。」


「なるほどな、波長…ね。なんだか宗教染みてる感じだけど。それより俺が特別な訳じゃなかったんだな…悲しいよぉメソメソ。」


 なんか特別じゃないって聞くとそれはそれでちょっと悲しくなったり…


「で、でもでも他にも理由はあるから!」


「どんな?」


 そう聞くと、しばらく間が空いて耳元までやってきて一言。


「…き、きみがほんの少し、タイプだったからだよ…」


 顔を朱に染めながらいう。なんだこいつ可愛すぎか、舐め回してやろうか。胸を。


「え、なんて??」


「聞いてたでしょ!?耳元で話したじゃん!なんでもっかい聞きたがるかな!?恥ずかしいよ!!」


「ジョーダンだ。マイケル・ジョーダン。」


「もう。話がそれてきてるから戻すよ。それでね、君には僕の世界に来て、自由に暮らしてほしいんだ。」


 渾身のギャグがスルーされてしまった。切ない。


「いいのか?進展があるかなんて、分からんぞ?」


「いいのいいの、ただ君が有名になってくれたら、それで世界が刺激されて、動き出すから。」


「そんなもんか?でも俺が有名になるってどうやって?自慢じゃないが俺の得意なことと言えば、子供をあやすことか、ボードゲームくらいだぜ?」


 中学の頃からボランティアで近所の子どもたちとよく遊んでたんだよな。だからこんな神様の女の子だってちょちょいのちょいさっ!


「ま、まあそれらも生きてくるかもしれないよ…。それとは別に僕から君への贈り物をあげるから、それを利用してなんとか有名になってほしいんだ。」


 贈り物、俗にいうスキルとかか?やっぱりこの世界には魔法があるんだろうか?


「贈り物ってのはどんなものなんだ?」


「君が望むある程度のものは用意できるよ。ちなみに、この世界は君の世界にはなかった魔法とかもあるからね。」


「まじっすか!楽しくなってきたー!!フー!」


「急にテンション上がったね…」



 ____________


 急にクロエさんのテンションが変わっているのは仕様です(鋼の意思)

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