創作ログ クリエイト・オンライン

仲仁へび(旧:離久)

プロローグ

プロローグ



 それは、彼女が友人達と共に、他愛無いお喋りをしながら歩いている時だった。


 クリエイト・オンラインにログインしていたプレイヤー……錬金剣士エリザが声を聞いたのは。


???『サミシイ……サミシイ』


 消え入りそうな調子でふと耳に聞こえて来たのは、少女の声だ。


 エリザは声の主を求めて、あちこちに視線を向けるが、それらしい人影は見つけられなかった。


 ならば、と彼女は何かしらのイベントでも起きたのだろうかと思い、とある行動を起こす。

 それは、その仮想世界にログインしているプレイヤーが、その世界を楽しむために用意された、システム画面。


 エリザは己の頭の中で「メニュー・オン」と言い、目の前に可視化された立体画像を出現させる。


 己の指を、画面に並んでいる文字項目へ向ければ、それでその項目を選択した事になる。


 だが、発生中のイベントリストは空になっていて、先ほどの声についての疑問は開明されないままだった。 


 エリザが腑に落ちない様子で首を傾げていると、その様子に気が付いた者達が声をかけてくる。


 周囲を歩いていた女性プレイヤーの友人達だ。

 エリザは彼女達と共に、つい先程まで採取クエストを共同でこなし、終えたばかりだった。


少女「エリザ、どうしたの?」


 友人の一人から問い掛けられた言葉。

 エリザはそれに答えようと口を開いた。


 だが、頭に浮かんだその言葉が発声される事は無かった。


 エリザは、嵐の様なノイズの中に突如放りこまれてしまったからだ。


 今までいた仮想世界の景色は全てなくなっていって、目の前にあるのは、テレビ画面に映る砂嵐のような光景のみ。


 混乱するエリザは、その嵐の中で、次第に意識を落としていった。


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