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「お金は入れてくれているし、私も仕事があるから寂しい思いをしているわけでもないし、友達と食事に行ったり温泉行ったりするのも楽しいし、苦になることないからいいんだけど」
あんまりあっけらかんと言うから、つい「いや、いいんかい」とか突っ込みそうになる。だって表情が楽しそうだから。
「寂しくはないのですか」
「寂しい? え、私が?」
貴女しかいないでしょうが。
「寂しいわけないじゃない、清々してるわよ」
「でも旦那さんは寂しがっているのかもしれませんよ」
「そんなわけないじゃない」
一喝かよ。しかも「くくく」と笑われた。
「あの人もあの人で人生を謳歌しているからね」
「そうなんですか?」
「そうよ。なんでも研究が楽しいとか何とか。私にはさっぱり分からないけど。だから別にいいの、あの人が家を空けていようが何してようが」
だって私も自由にしているから、と続けたサユリさんに不安はないのかと思ってしまう。もしかしたら裏切られている可能性だってないとは言い切れないから。見えないところで何をしているのかは分からないから。
「けれど」
「けれど?」
「一緒に居る時はちゃんと向かい合ってご飯を食べたりするのよ? 今でも同じベッドで眠っているし」
「そう、なんですね」
意外、と表情に出ていないと良いけど。
「昔は悩んだりしたけど、今はもう大丈夫なの。だって私、彼の事信じているから。それにあの人は浮気なんて出来る玉じゃないわよ。私って言うこわーい妻がいるんだから」
くくく、と含んで笑うとサユリさんはロンググラスを煽って空けた。
「やっぱりマスターのお酒が一番ね。次はラムベースのお酒が良いわ」
「ラムですか、そうですね・・・バーニングハートなんてどうでしょう?」
二人の変わらない愛に乾杯、なんてね。
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