異能力者達の日常

jamネコ

第1話~プロローグ~

       ~時期~

 男は「ふぅ~」とため息混じりに煙りをはいた。辺り一面に白い煙りが漂っている。男は再びタバコを咥えるとそのまま背もたれに体をあずけて天井を見つめている。数十秒天井を見つめた所で男は咥えていたタバコを手にとり、体を背もたれから離した。

「よしっ、そろそろ頃合いか」

そう言うと男はタバコを乱暴に灰皿に押し付けて消し椅子から立ち上がった。左手を白衣のポケットに入れ右手でボサボサの頭をかきながらドアに向かって歩き始めた。その瞬間バンっと音をたてて勢いよくドアが開いた。

「所長っ」

白衣を着た青年が息を切らしながらドアを勢いよく開けたのだ。

「どうしたの、横ちゃんそんなに息切らしちゃって」

所長と呼ばれた男は青年に向かって驚いた様子もなく、この部屋に走ってきたであろう青年に尋ねた。

「どうしたもこうしたもないですよ」

「何が?」

所長は首をかしげて聞き返した。

「あれの凍結を解くって本当ですか所長、危険過ぎます」

「あれって言い方はないだろう、彼女は物ではないんだから、彼女に失礼だろ」

「あっすみません」

横ちゃんと呼ばれた青年は注意を受け少しシュンとして言葉を返したが次の瞬間ハっと我に返り所長に言った。

「そうじゃなくて、まだ時期尚早です、どうか凍結を解くのは考え直してください、もし暴走でもしたらどのくらいのリスクになるのか予想もつかないし我々には抑える術がない」

所長は頭をかきながら答えた。

「大丈夫、暴走はさせないというより暴走はしないから抑える術なんて必要ないんだよ」

少し面倒くさそうに答える所長の姿を見て青年はムっとして矢継ぎ早に言葉を浴びせかけた。

「暴走しない?何故そう言いきれるんですか?所長あなたは二年前の事故をお忘れですか?無理やり彼女を目覚めさせたばかりに制御が効かず、研究施設一棟が見る影もなくなったあの事故を!」

青年のまくし立てる声を聞きながら所長は軽く目を閉じため息をついた。

「無理やりねぇ…これは見た方が早いか」

所長は独り言のようにボソッとつぶやいた。

「よしっ横ちゃんも一緒に行こう、見れば一目瞭然横ちゃんの疑問も解消するし、大丈夫だということも解るから、ほら行こっ」そう言うと所長は無理やり青年の腕を引っ張って歩き始めた。


      ~白い彼女~

 そこは壁や天井や床などすべてが真っ白な部屋だった、部屋の中央にあるベッドには白いワンピースを着た一人の女性が腰をかけている。成人はしているけれども顔にあどけなさが残っており年齢よりも幼く見えた。彼女は手にクシを持ち長い髪をとかしていた。

「髪伸びたなぁ~縛ろうかな」

そう言うと彼女は辺りを見回したベッドの周りには色々な物があった、動物のぬいぐるみやテレビゲームやスポーツ雑誌や化粧品等さまざまな物があるが何というか統一感が欠けていた。

「あった」

彼女はクマのぬいぐるみに駆け寄りクマのぬいぐるみの手についているヘアゴムを手にとった。

「何でここにあるんだろう」

彼女はヘアゴムを手首につけ髪を後ろにまとめ始めヘアゴムを髪に巻こうとした時に彼女の動きが止まった。

「縛らない方がいいの?」

と彼女は答えた?だかこの部屋には彼女しかいない。

「縛らない方が、私に似合ってるから、う~んでもなぁ少し邪魔なんだよね」

と彼女は独り言を言っているが言葉だけ聞くと誰かと会話しているようにも聞こえる。

「わかったやめる、えっ眠くなってきた?おやすみ」

彼女はまとめていた髪から手を離した。

「このクマのぬいぐるみって"誰のかな"私のじゃないし…あっそうか唯ゆいちゃんとなちょのか」

そう言うと彼女はクマのぬいぐるみを抱きかかえてつぶやいた。

「うん、かわいい」

この部屋には彼女しかいないベッドも中央に1つだけしかない。


    -ツバキプロジェクト-


 カツカツと二人の靴音が響く、所長と横田は研究所の地下施設廊下の奥に進んでいた。

「所長っどういう事何ですか?見れば解るというのは?」

「ここまで来れば大丈夫だろう」

所長は扉の前で歩みを止めた。扉の横にはカードキーの装置が設置してあった。

「横ちゃんには、話しとこうか…これから君にも手伝ってもらう事になるだろうし」

「えーっとまったく話しがみえないのですが?」

「何処から話そうか……?」

所長は少し考えたのちに口を開き始めた。 

「2年前の事故の原因はツバキプロジェクトなのは知ってるよね」

「はい、私も参加していましたから」

「表向きはあの事故以来プロジェクトは凍結になっているが、実際は現在進行形でツバキプロジェクトは秘密裏に進んでいるんだよ」

所長の言葉を聞き横田は唖然としていた。

「事故のすぐ後に上からの命令でね」

横田は上からという言葉を聞き何かを思いついたようにハっとした表情になった。

「上って政府ですか」

「まぁそうなるね、この研究所は政府公認というか政府直下の研究所だからね、横ちゃんの役職なら"あの事"は知らされているよね」

「"あの事"というとあれですか…実際あれを見るまでは到底信じられなかったですけれど」

「そうだ、今人類にとって危機が迫っている、一般市民には知られていない事だが…世界のあちこちで徐々にその影響が出始めているんだよ………何の事か解るよね横ちゃん」

「えぇ…実際見てもいまだに実感が湧きませんけど」

「まあそうだろな、所長の私でさえ頭の中では半信半疑の状態だしね、簡単に説明すると異世界人になるな」

「そうですね。我々の研究とは分野が違いますが…確か時系列説ですよね」

「そうだな、俗称だと異世界やパラレルワールドの類いに入るな」

所長は頭を掻きながら話しを続けた。

「世間一般では説で通るけど我々の間では説ではなく証明された事実だ」

「確か時系列の遥か先で分岐した世界は我々の世界とは異なる進化や文化、科学を持ち我々と同じ時間軸に存在していてもまったくの違う世界ということですよね所長」

「あぁそうだな、それが直ぐ隣の時系列なら危険な事にはならないのだけど、あそこまで離れた時系列では……すでに奴らは準備を始めているまだ下準備の段階だろうけど…我々がそれに対抗する手段はツバキプロジェクトを完成させる事だ」

「でも2年前は暴走してしまい失敗に終わってます打開策がないから凍結になったのでは?」

「あれは彼女を単体で覚醒させようとしたから失敗してしまったんだ、彼女が何故我々の研究所にいるかは知ってるよね横ちゃんは」

「はい、彼女は解離性同一性障害わかりやすくいうと多重人格者障害で我々の専門分野になるからです、けれど彼女は異能力者でもありますけど」

「異能力者か…」

そうつぶやくと所長は数秒間考えこみ言葉を続けた。

「多重人格者には能力者が多い能力といっても超能力の類いではなく一つの分野においての能力が秀ひいでてるという事だ、例えば芸術方面でいえば絵がとても上手く画家で生計たてられるとかね、だが彼女の場合は異能力だそれも彼女自身で抑えられないほどのそれで私は考えた一人なら無理でも数人で分ければ抑える必要がないんじゃないかと」

「といいますと?」

「彼女の他人格にも手伝ってもらうということだよ、それぞれの人格に身体を持たせて能力もそれぞれに分けてやれば抑えきれないほどの力ではなくなるだろ」

「確かに理論上は間違っていませんが…でもそれを実行するには時間がかかりすぎませんか」

所長は少し笑みを浮かべて横田に答えた。

「大丈夫だよ、すでに第一段階は終了し第二段階に移行する所だからね」

「第一段階?」

横田の頭の中はハテナマークでいっぱいだった。

「後は見てもらえば解るよ、その後にこれから横ちゃんにやってもらいたいことの説明をするから」

「ですが所長、私も現状いっぱいいっぱいで他に手がまわらない状況なのですが……」

「その点についてはもう済んでるから大丈夫だよ」

「済んでると言いますと……何か嫌な予感しかしませんが……一応聞きますけど私に何をしたんですか?」

「ん~と簡単に説明すると横ちゃんが今までやってた仕事をオコメちゃんにしてもらう事にしたから」

「オコメちゃんって米田副主任にですか!よく彼女が了承しましたね!」

「もちろん色々と特典付きだよ、オコメちゃんは我が研究所一の美人さんだからね、オマケにナイスボディーで頭脳明晰だしオコメちゃんの下で仕事したいっていう研究員は多いからね」

横田は頬を人差し指で掻きながら答えた。

「ほとんどが男性研究員ですけどね………」

「そんな事ないよ男性が少し多いってだけでオコメちゃんは性格もいいから女性研究員にも人気だし」

「で、所長特典って人員を増やしたって事ですか?」

「うん半分正解だね、それとオコメちゃんはもう副主任じゃなく主任だよ」

「はいぃぃぃっちょっと待ってください主任って!俺はどうなってるんですか?」

あまりの衝撃発言に横田は素に戻っていた。

「横ちゃんはもう主任じゃないよ、これからは私の手伝いしてもらうから新しい役職につけといたよ、横ちゃんは所長補佐役だよ、昇進おめでとう!」

「あなたはいつもいつも勝手にそんな事を相談なしに………」

横田の右手がわなわなと震えていたがそんな事を気にも留めずに所長の言葉は続く。

「だって横ちゃんに相談すると絶対に嫌だーって言うと思ったから」

「嫌とは言いませんけど……でもあれ?所長補佐何て役職ありましたっけ?」

「ううん無いよ、無いから所長権限発動させて作っちゃった」

「作ったって……あなたは……」

そう言うと横田はため息をついた。

「もう分かりました!それで見せたい物って何ですか?それを見れば私の疑問が解決するんですよね!」

「おっ横ちゃんやる気になってきた?」

「違います、諦めただけですもうどうしようもありませんからね」

「まぁそう言わずに、鍵開けるから」

所長はカードキーにカードを通すと暗証番号を入力した、数秒後カチっというロックが外れる音がした。所長は扉を開け中に入ると中から声が聞こえた。

「あっJam(ジャム)所長こんにちは」

「こんにちは椿(つばき)ちゃん、体調の方はどうだい?」

「特に問題なく"みんな"と過ごしています」

所長が入った部屋はあの白い部屋だった。横田の目には信じられない光景が写し出されていた。前に彼女を見た時は冷凍保存ポットで仮死状態だったからだ、さらに驚くべき事に彼女が暴走せずに普通に所長と話している。

「所長これはどういう事ですか…?」

「どうもこうも見たままだよ椿ちゃんは暴走もしてないし普通の女性となんら変わりなく過ごしている、疑問は解けたでしょ」

「解ける所が疑問だらけですよ」

「まぁそれは後でじっくり横ちゃんに説明してあげるよ、あっそうそう椿ちゃんにも紹介してあげる」

所長は横田を自分の横に引っ張り横田の両肩に手を置いた。

「椿ちゃん、彼は横田君これから私の補佐になってもらうからよろしくね。ほら、横ちゃんも挨拶して」

横田は困惑しながらも挨拶を始めた。

「あっえ~っと主任……じゃなかった、所長補佐役の横田です、椿さんこれからよろしくお願いします」

しどろもどろの挨拶をされた椿はクスッと笑っている。

「椿です、私の方こそよろしくお願いしますね横田さん、それと、さん付けはしなくてもいいですよ。椿でも椿ちゃんでも好きなように呼んでくださいね」

言い終わると椿はニッコリと微笑んだ。

「椿ちゃん、大事な話があるんだが」

Jam所長は椿に歩みよった。

「そろそろ第二段階に移行しようと思ってるんだけど、椿ちゃんにはこれから少し辛い目にあうかもしれないが頑張ってくれるかい?」

Jam所長の問いに椿はニッコリと微笑み答えた。

「大丈夫です、第二段階が終われば"みんな"とお話しができたり遊んだりも出来るんですよね!その為なら私、頑張ります。」

「でもすぐ終わるとは限らないよ椿ちゃん、ここまでくるのに2年かかったんだ、どこまでかかるか分からないそれでも了承してくれるかい?」

「はい、"みんな"と楽しく暮らせる日々が来るなら私は頑張ります」

「第二段階が終了しても辛いことがあるかもしれないが大丈夫かい?」

「はい、私も"みんな"と色々やってみたいことがあります。例えば……なちょと唯ちゃん達と一緒にショッピングやカラオケしたいし、闇亀あんぶちゃんには料理を教えてあげたい、未来お兄ちゃんと秋人さんには、私とちーさんで一緒に服をコーディネートしてあげたい、やりたい事が多すぎて楽しみがいっぱいなんです、それが叶うのであれば私は頑張りますJam所長よろしくお願いします」

「そうか分かったよ椿ちゃん、さっそく2日後に第二段階に移行しよう、それでいいね?」

椿はニッコリと微笑み返事をした。

「はい」


     -真っ直ぐな紐-  


 第二段階に移行してから1年が過ぎていた。Jam所長は地下施設の廊下を歩いている。しばらく歩くと右手に自動販売機が見え休憩スペースに着いた。Jam所長は白衣のポケットの中を手でまさぐり始め数枚の硬貨を手に取り確認し130円を自動販売機に投入した。多少迷ったのち、カフェオーレのボタンを押し購入したカフェオーレを手に取り3人掛けの椅子に腰を降ろした。白衣の内ポケットからタバコを取り出し火をつけ、ひと吸いするとタバコを咥えたまま煙を吐いた。両手でカフェオーレの缶のフタを開けタバコを手に持ち、一口飲むとタバコをひと吸いして今度は溜め息混じりに煙を吐いた。

「よし、少し整理しよう」

独り言を言うとJam所長は今までの経緯を思い出しながら考えをまとめ始めた。

[まずは第二段階に入ってからの事だな、椿ちゃんの身体と精神が安定し普通の暮らしを送れるようになった事を確認した私は第一段階の時に予あらかじめ作っておいた強化クローンに人格を移す事の研究を始めた、それには椿ちゃんの精神世界がどのようになっているのかを聞く必要があった、それから私は椿ちゃんと世間話も交えながら椿ちゃんの精神世界の事を聞いたり、表に出てこれる人格には椿ちゃんと人格交代してもらい色々な話をしてもらった、話を聞くところ私がしているツバキプロジェクトには他の人格も椿ちゃん同様に賛成し協力もしてくれるという事だったが同時に椿ちゃんの身体も心配してるという事だった。頻繁に人格を交代し続けると頭痛が酷くなり心身ともに疲労するとの事だったので私は椿ちゃんに聞いていた中の部屋、精神世界の様子をモニターして会話すれば人格交代をしなくても会話ができるようになるのではないかと思い椿ちゃんに詳しく構造や様子を聞いた。中の部屋の構造はこうだった。中央に居間と呼ばれる円形の大きな部屋があり、円形の壁にはいくつものドアがある。ドアの先は各人格の個室という事だった。私は居間だけをモニターして会話できたらどうかと椿ちゃんに尋ねた。

「そうですねぇ~それなら交代の負担がないので身体的にはいいかもしれません。ですけど話ができるのは起きてて居間にいる人だけですよ」

それでも椿ちゃんの負担を極力減らしてあげる事ができるので、椿ちゃんに協力してもらいモニター化しようと思った。そこで1つの疑問が頭をよぎったので聞いてみた。

「椿ちゃんは寝ている時って人格はどうなってるのかな?え~と例えば表に出てる人格がベットに横になって身体を休めるために眠る時人格は固定されたままなのかな?」

質問された椿ちゃんは両腕を胸の下に組んで、う~んと唸りながらしばらく考え込んだのちに答え始めた。

「う~ん説明するのが難しいですね。人格の固定はされてはないですね。私が表に出ている時に眠ったとしても身体が起きる時は別人格で起きることはよくありますから」

「では、眠った時に中の他人格がどうなってるか教えてくれる」

「う~ん基本的にはみんな中で眠ります。え~っと、例えば私が表に出ている時に眠ったとします、そうすると他人格も一旦は中で眠ります。元々眠っている人格はさらに眠り続けます。後は起きる時間が人格ごとに違うので私が眠ってても他人格が起きて表に出ているって感じかな、う~ん上手く説明ができませんね、でもこれが一番近い答えかな…」

私は多少考えを整理しながら次の質問をした。

「次は眠りから覚めた時の椿ちゃんの様子を教えてくれる」

「起きた時ですか……私の場合は2パターンありますね。」

「2パターンというのは?」

「Jam所長が研究室で居眠りして、起きた時に目に最初に入ってくる景色って研究室ですよね。ほとんどの人が眠りについた時の部屋で起きるのでそうなりますが、私の場合は2パターンです。まず1つ目は、みんなと同じで目が覚めると眠りについた部屋の景色が目に入ってくるパターン、これは起きたときに人格交代をしてなくて目が覚める時です。もう1つは目が覚めたときに精神世界の自室の景色が目に入ってくるパターンです。この時は他の人格が表に出て起きている時で人格が交代してます」

「ありがとう、何となくだが感覚的な物が解ってきたよ椿ちゃん」

「基本的にはこんな感じなのですが………う~ん?」

椿ちゃんは答えた後も少し考えていたので私は疑問に思い問いかけてみた。

「どうしたんだい椿ちゃん」

「今は無いのですが、1つだけ例外があって………」

「例外とは?」

「私が覚醒してから2年ですよね?」

「そうだよ」

「覚醒前の時は今と少し違っていたんですよ」

「覚醒前というと冷凍保存ポットで仮死状態の時かい?」

「そうです。基本的にはさっき説明したとおりなのですけど、あの時は違っていました。身体は仮死状態なので眠りについていますが精神世界の中では普通に起きれて、みんなと居間でおしゃべりしてました」

例外の事を聞いた私は、頭の中で絡まっていた紐が次第にほどけていくような気がした。

「もしかしてそれは、身体が仮死状態になり身体が機能しなくなるので椿ちゃん達はみんな長い眠りについてしまうって思ってて、なのに精神世界では普通に起きれたから不思議だったって事?」

「そうですね、みんな何故起きれたか疑問に思っていました」

頭の中の紐がほどかれ1本の真っ直ぐな紐になり思わず立ち上がって声が大きくなった。

「そうか!そういう事だったのか!」

その様子を見ていた椿ちゃんが驚いて声が出てしまったようだ。

「キャっ、どうしたんですかJam所長?」

「解った、解ったんだよ椿ちゃん、これですべて上手くいくよ絶対に!」

「そうですか、よくわかりませんが力になれて何よりです」

「それでだ椿ちゃん、さっそく明日の午後に協力してほしいのだけど大丈夫かい?」

「明日の午後ですか…Jam所長その時は私が表に出ていなければダメですか?」

「う~ん特にそのような事はないけど、どうしてだい?」

「明日は多分未来お兄ちゃんが出てると思います。ゲームがやりたいみたいで」

「午前中は特にやってても構わないよ、午後から私と一緒に研究室来てもらえれば、未来に言っておいてもらえるかな椿ちゃん」

「それは大丈夫です。今お兄ちゃん中で起きてるので聞いてます、お兄ちゃんも了解だそうです」

「それじゃあ明日椿ちゃんと未来よろしくね」

私はドアに行こうとすると椿ちゃんに呼び止められた。

「あっ待ってくださいJam所長」

「どうしたんだい?」

振り向くと椿ちゃんは頭の中と会話していた。

「うん……そうわかった聞いてみるね、Jam所長明日のお昼ご飯何ですけど、お兄ちゃんがフライドチキンが食べたいそうなのでお願い出来ますか?明日のお昼食べるのお兄ちゃんなので」

「フライドチキン…ああいいよ、そうだ私が買って来て持ってきてあげるよ」

「ありがとうございますJam所長、良かったねお兄ちゃん……ぷっふふあはははは」

椿ちゃんがいきなり笑い出した。

「どうしたんだい椿ちゃん?」

「あっすいません、お兄ちゃんが喜んで中でハシャいでるんですけど、ふふっ、その姿を見ていた、なちょがボソッと「キモっ」て言うもんだからおかしくって」

「キモいって………ぷっあははははははは」

「ねっおかしいですよね」

「あはははは、なちょらしい一言だね」

「そうですね」

こんな事もありながら私の頭の中の紐は真っ直ぐになった。これからツバキプロジェクトは最終段階に入る所だ。それにあたって私はこれからある人物と話し合わなければならない]

Jam所長はタバコが吸い終わると残っていたカフェオーレを一気に飲み干した。

「ヨシッ行くか」

気合いを入れ重い腰をあげたJam所長は休憩スペースを後にして、再び歩きはじめた。


      -応接室の対談ー


 Jam所長は応接室のドアを開けた。そこには一人の青年がソファーに座っていた。青年はJam所長を見ると立ち上がって軽く会釈をした。立ち上がると分かるのだが、かなり身長が高い180cmくらいはあるだろう。

「やあヘイゼル待たせてすまなかったね」

Jam所長は片手を軽くあげてヘイゼルに遅れて来たことを詫びた。

「そんなん気にしてませんってJam所長、とりあえず座って話しましょっ」

Jam所長はヘイゼルと対面のソファーに腰を下ろした。

「ヘイゼルはタバコ吸うんだっけ?」

「オレは吸いません、あっ吸いたかったらどうぞ別に自分が吸わないだけで煙が苦手とかではありませんから、お気になさらず」

「じゃあ遠慮なく吸わせてもらおうかな」

Jam所長はタバコに火をつけ深く吸いこみ煙を思いっきり吐き出した。

「ヘイゼル、君キミは精神世界の管理をまかされてるよね。そんな君に話しておくべき事があってこうして呼んだわけだ」

「その事何ですがねJam所長、一つ気になることがありますねん。何故このような形をとったんですかぁ?話すならモニターでもいいんとちゃいますか?」

「それについて答えるなら、管理者であり他人格の保護者的な存在でもある君としか話せない事だからだよ」

Jam所長はもう一度タバコを深く吸い煙を思いっきり吐き出すと灰皿にタバコを押し付けヘイゼルに向き直り話し始めた。

「まずは、そうだな……ツバキプロジェクトは第二段階の最終段階まではきている、椿ちゃんの中から他人格の精神体を抜き出して強化クローンに宿す事には成功している。今まさに実体験している君ならわかるよね」

「はい、それはわかります、オレたちにとってはどんなに努力しようとも叶わん夢を叶えさせてもろうてるのでJam所長にはどんなに感謝しても感謝しきれません」

「そこまで思ってくれてるとは私もありがたいよ……だが一つだけ問題がある」

「といいますと」

「椿ちゃんだ、他人格の精神体を抜いてしまうと精神のバランスが崩れてしまい目覚める事ができない、今も椿ちゃんは眠っているだが君が椿ちゃんの体に戻ればいつものように目覚める事ができる、でもこの状態のままでは第二段階を終了する事できないんだ。何故だか分かるかいヘイゼル」

ヘイゼルは少し考えこむと答え始めた。

「オレには分かりません、第二段階は他人格の精神体を強化クローンに宿すことが目的だとJam所長は前に言ってはったですよね。ならば今の状況は成功ってことですやろ、椿の身体にも特には問題は見られませんし、オレが戻って椿が目覚めたとしても体調が悪うなったりもしてません何が問題なんですやろか?」

「ヘイゼル、椿ちゃんはみんなが一つ一つの身体を持ってみんなとお喋りしたり買い物やカラオケとかに行ったりして、みんなと外の世界で楽しく過ごす事を望んでいたんだ、けれどこれでは椿ちゃんの望みを叶えてあげられないんだ。確かに第二段階の目的は達成しているが私はまだ上に第二段階の終了報告を上げてはいないんだ。確かにこのままでもツバキプロジェクトは達成出来るだろう。でもそれでは椿ちゃんが可愛そうだ、君たちにはこれからやらなければならない使命がある。それもこのままで十分にできると思うだがそうなってしまうと彼女はただの器にしかならない、彼女はずっと眠ったままになってしまうんだ。私はそうならないようにこれからも研究に励んでいくつもりだ、たとえ上から何と言われてもだ。ヘイゼル、君はモニター越しに私に色々な助言をして私をよく手助けしてくれた。そんな君だからこそこれからもみんなが幸せになれるように椿ちゃんの為にも私に協力してほしいんだ。よろしく頼むヘイゼル」

Jam所長はヘイゼルに深々と頭を下げた、数秒後頭を上げたJam 所長はヘイゼルと向き合い顔を見ると目にいっぱい涙をためて今にも泣き出しそうなヘイゼルの顔があった。

「Jam所長っ!あなたがそれほど迄までに椿の事を考えてくれてたなんて、ヴぉれ”だぢばじあわぜ者でずぅぅぅ(オレたちはしあわせものです)」

言い終わる前にヘイゼルは感動のあまり泣き出してしまった。

「ほら、これを使いなさい」

Jam所長は近くにあったティッシュ箱ごとヘイゼルに渡した。

「ずんばぜん(すんません)」

渡されるとヘイゼルは涙を拭き、ずびぃぃぃぃと音をたてて鼻をかんでいた。するとJam所長の携帯がなった。

「ヘイゼルちょっとスマン」

「ぞうぞ(どうぞ)」

Jam所長は内ポケットから携帯を出して電話に出た。

「横ちゃんかそっちはどうだい?上手くいった…………それは良かった。だったら応接室にいるから横ちゃん連れてきてくれるかな、お願いね」

言い終わると電話を切りヘイゼルに話し始めた。

「ヘイゼル今から君にとっても良い知らせがある、横ちゃんが来るまで少し待っててもらえるかな」

「ふあい(はい)」

横田を待ってる間もヘイゼルはしきりに涙を拭き鼻をかんでいた。しばらくすると応接室のインターフォンがなった。

「横田です、所長入ってもよろしいでしょうか?」

Jam所長は目の前にある応答ようのインターフォンの赤いボタンを押した。

「いいよ、入ってきて」

応接室のドアが開き横田に連れて来られた人物が入ってきたがその間もヘイゼルはしきりに流れ出る涙を拭いていた。それを見たJam所長はヘイゼルを促した。

「ほら、ヘイゼル見てみなさい、良い知らせだよ」

そう言われてヘイゼルは入ってきた人物に顔を向けたその瞬間ヘイゼルはあまりの驚きにぽかーんと口を空けJam所長と入ってきた人物の顔を交互に見返していた。

「Jam所長これは………」

「見たままだよ、良い知らせだろ」

応接室に入ってきたのは椿だった。

「やっぱりヘイゼルは自分の身体があっても涙もろいんだね。初めましては…おかしいね、ヘイゼル、椿です。これから表の世界でもよろしくね」

椿はヘイゼルに向かってニッコリと微笑んだ。

「本当に椿だよな?」

「そうだよヘイゼル」

「づばぎぃぃぃ(椿)」

一度落ちついていた涙がまた溢れ出してきて泣きながらヘイゼルは椿の元に歩みより、椿の肩に手を乗せて泣き崩れていた。

「ほら、私は大丈夫だから泣かないでヘイゼル、Jam所長と横田さんのおかげで目覚める事ができたんだから」

「よがっだぼんどによがっだ(良かった本当に良かった)」

ヘイゼルは一向いっこうに椿の言うことを聞かず泣いていた。すると椿の後ろから声が聞こえてきた。

「やっぱり涙腺緩いなヘイゼルは」

「もう、未来(みらい)お兄ちゃんもからかわないの!」

後ろにいた未来は廊下にでて大きな声で叫んだ。

「おーいみんなも早く来なよ、予想通りヘイゼル泣いてるぞ~」

「椿…みんなってどういう事?」

ヘイゼルは訳がわからず椿に聞いた。

「う~んとね、今私の中からある程度の人格が身体に移されてるの、でも闇亀(あんぶ)ちゃんと灰音(はいね)ちゃんだけがまだ中で眠ってて起きてなかったから、2人以外はみんな出てるよ」

未来の呼びかけに誰かが走ってくる足音が聞こえてきて、入口から勢いよく入ってきたのは2人の女の子だった。ツインテールとおかっぱ気味の女の子、ツインテールの女の子が元気よく挨拶した。

「なちょだよー!ねーねーヘイゼル分かる?」

続いておかっぱ気味の女の子がゆっくり挨拶した。

「唯(ゆい)ですぅ~ヘイゼルは~わ~か~るよ~ねー」

未来が廊下で手招きして呼びかけている。

「ほらー秋人(あきと)さんも、ちーさんも早く早くこっちこっち」

廊下で呼んでいる未来の横っ腹をなちょがつついた。

「ねーねー、お兄ちゃんお兄ちゃん」

「どうした、なちょ?」

「すごいねーヘイゼル、目が真っ赤っかだよ」

「だろーやっぱりヘイゼルは予想を裏切らないよなー」

「唯も~ヘイゼル目が~真っ赤っかだとおもう~あと~お顔もぐしゃぐしゃだよー」

なちょと唯が未来と話してると秋人と稚依子(ちよこ)が到着した。

「よっ!秋人だ、ヘイゼルお前の体結構デカイなぁ」

「稚依子です、ヘイゼルこんにちは」

みんなの到着を確認した未来は再度ヘイゼルのぐしゃぐしゃになった顔を見て吹き出した。

「ぷっははははヘイゼル泣きすぎ………ひゃははははヘイゼルの顔…あ~もうダメだ、あはははは、腹いて~」

未来はお腹を抱えて笑い出し、堪えきれなくなり四つん這いなって、床をバンバンと叩きながら笑っている。それを見ていた秋人がしょうがないなという感じで未来に言った。

「未来、笑い過ぎだって…ぷっははは」

「秋人さんだって吹き出してるじゃない…ですか、くくっはは…」

「未来しょうがないだろ、ヘイゼルは涙腺が緩いんじゃなくて、涙腺が決壊してるんだから」

「あっくん、それフォローになってないよ」

すかさず稚依子がツッコミを入れた。

「椿…ひっく、解るように説明してくれ、」

泣きながらヘイゼルは椿に説明を求めた。

「えーとね、今までは他人格を体の外に出してしまうと本体の私の体が深い眠りに入ってしまって仮死状態の時と同じように中では起きてられるけど、表には出て行けなくなってたのをJam所長と横田さんが…何だっけ………そうそう精神パルスっその精神パルスの波長の調整をしてもらって他人格が外に出た後でも、表に出て体を起こす事ができるようになったの」

説明してる椿の横に唯となちょが手をつないで歩ってきた。

「そうそう、なちょたちみんなもついさっき知ったんだよ。いつもなら起きてこない椿ちゃんが自分からヘッドギア外して起き上がってくるからビックリしたよ~、ねー唯ちゃん」

「そうーだよ~唯も~ビ~ックリし~たーけ~どー、嬉しくなって~思わず~ぎゅう~って椿ちゃんに抱きついちゃった~ねーなちょちゃん」

「でも、何かお兄ちゃんだけは今日、椿ちゃんが起き上がれるの知ってたみたいだよー」

唯が語尾だけ真似まねる

「だよ~」

「椿、何で未来だけが知っとったん?」

ヘイゼルは椿に尋たずねた。

「最初はね、私がみんなをビックリさせようとして黙ってたんだけど………1週間ぐらい前にたしかその時もヘイゼルがテストで外に出ていた時に私は体も動かせないし暇だったから居間にいてどうやってみんなにサプライズしようと考えてた時に、ちょうど未来お兄ちゃんが起きてきて私の方見て「何か悩んでる?」って聞くから違うよって言ったんだけど、その後いろいろいろ質問されて未来お兄ちゃんにバレちゃって……」

椿は頬を人差し指でかきながら、いまだに笑い転げている未来を一度見てからヘイゼルに向き直った。

「そうしたら未来お兄ちゃんが「俺も黙ってるから、椿ちゃんも言わないでみんなにサプライズしよう」って………」

「なちょが思うには、お兄ちゃん絶対ヘイゼルだけをターゲットにしてたと思うよ」

「唯も~そうー思う~ヘイゼル~ターゲット~」

「だって椿ちゃんが起きた後に、なちょ達みんな集めて状況説明してたのお兄ちゃんだし」

「唯も~聞いたよ~お兄ちゃんがね~ヘイゼルは~椿ちゃんを~見~た~ら絶~対泣く~って言ってたよ~」

ヘイゼルはその話しを聞いて、すでに泣き止んでいた。

「ほうー、ということは……この状況を作った首謀者は?」

ヘイゼルの問いに、椿となちょと唯は3人で一度、顔を見合わせてから笑い転げている未来の方を向いて無言で未来を指差した。

「なるほど」

と言うとヘイゼルは未だに笑い転げている未来の方に指をパキパキと鳴らしながら歩いて行った。その様子を見ていた3人は。

「う~ん大丈夫かな未来お兄ちゃん?」

「なちょは、タンコブだと思う」

「唯は~後で~なでなでしてあげよ~」

誰か止めても良いものの3人とも止める気配がまったくない。笑い転げている未来の前にヘイゼルが立ち影を作った。それに気付いた未来が顔を上げた。

「おっヘイゼルやっと泣きやん……」

「やかましいっ!!!」

ゴチィィィィィン

未来の言葉が言い終わる前にヘイゼルのゲンコツが未来の脳天に炸裂した。

「痛ってえぇぇー」

脳天にゲンコツをくらった未来は頭を押さえ床にうずくまった。頭には、なちょの予想通りに大きなタンコブが出来上がっていた。

「フンっ反省せいっ」

捨てゼリフを言いヘイゼルは椿の元に戻っていった。それとすれ違うように唯となちょが未来のもとに行き未来の頭を眺めている。

「わ~大~きな~タ~ン~コ~ブ~だーツンツン」

唯はタンコブを見ながら指でタンコブをつついていて遊んでいる。

「なちょもこんな見事なタンコブ見たことない、ていっていっ」

一緒になって、なちょもタンコブをつついて遊んでいる。

「ばっ、痛たっ、おまえら痛たっ、つつくなぁ~」

その様子を見ていた秋人と稚依子は2人で顔を見合わせて鼻でため息をついた。

「はいはい、これで今いる全員そろったね」

Jam所長は手をぱんぱんっとならしてみんなの視線を自分に集めた。

「これからツバキプロジェクトは最終段階に入る、最終段階は君達のトレーニングだ。その身体を使いこなすのは勿論もちろんの事、君達には椿ちゃんから分け与えられた異能力がある、それを自由自在に使いこなしマスターするのが目的だ、これからがツバキプロジェクトの本番だ。だがしかしまだ色々と君達には制約があるのも事実だ」

Jam所長はここまで言い終えると右手でボサボサの頭をかきはじめて言葉を続けた。

「とは言うものの君達が揃そろって表に出てきたのは今日が初めてだ、今日から2週間は精神体を身体に慣れさせる事と後は社会化見学だ、ということで明日はみんなで外出しようと思うのだけど、みんなどうだろう?」

「はーいJam所長、外出って何するんですか?」

稚依子が手を挙げてJam所長に質問した。

「簡単に言えば、みんなで町に遊びに行こうって事だよ。勿論私と横ちゃん後はオコメちゃんが付き添う事になるけどね」

「やったー」

「わ~い」

「よしっ」

「よっしゃあー」

みんな喜んで次々に歓声が上がった。

「はーい、なちょはねゲームセンター行きたーい」

「唯は~かわいい~動物さんの~ぬいぐるみが欲し~い」

「俺はカラオケ行きたい、秋人さんは?」

「未来はカラオケか~、俺はパチンコ行きたいな」

「あっくん、それはみんなでは無理」

すかさず稚依子がツッコミをいれる。

「じゃあ、ちぃーは何したいんだ?」

「ボクは美味しい物食べに行きたい。椿ちゃんは?」

「私は、お洋服見に行きたいです。ヘイゼルは?」

「映画観に行きたいなぁ」

「映画だとヘイゼルは変な所で号泣するだろ」

「するねー」

「うん、する」

「うん絶対する」

「なんやねんみんな、ジャンルによるやろ」

「よらない」

「うん」

「オールジャンル号泣だ」

みんながワイワイと話し合ってる中、Jam所長は椿を手招きして呼び寄せた。

「これで椿ちゃんの夢が叶ったね」

「はい、ありがとうございますJam所長」

椿は今まで以上に満面な笑顔で答えた



      ~次回予告~


『椿です。明日は初めてのみんなで外出、楽しみだなぁ…………ハッそうだ予告しなきゃ、ツバキプロジェクトがいよいよ最終段階に入りました。これからみっちりがっちりトレーニングの日々です。みんな頑張るぞ、オーー。次回は準備が整った所からのお話です。私達の敵とは何なんでしょう?それぞれの能力は?次回はその辺りのお話です。それでは次回をお楽しみに!お相手は椿でした。』

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