第41夜 カーテンの隙間

 子どもの頃住んでた近所の空家、もとクリーニング店だったと思う。

 知らぬ間に閉店して、入口には白いカーテンが掛かっている。

 隙間から覗くと、暗い店内にガラスのショーケースが置いてあり、何体もの超合金のロボットが並んでいる。

 ホコリを被って、薄汚れたガラスの向こうに無造作に並べられている。

 子どもなんていたかな?

 なんでクリーニング店の中に玩具があるんだろう?

 色々、疑問に思うのだが、私はソレらが欲しくてたまらない。

 毎日通っては、入口のガラス越しにカーテンの隙間から少しだけ見える玩具を眺めている。

 どうにか手に入れられないだろうか?

 入ったら泥棒になるのだろうか?


 夕方になるまで、ずっと覗くだけの子供時代の夢。

 貧乏で何も買ってもらえなかった子供時代の私の夢。

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