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 次の日の昼休み。研究室の休憩室で、私はいつものように手作りの弁当を広げ、つっきーは購買で買ってきた弁当を開けた。他の研究室メンバーは学食に行っていて不在だ。休憩室には長机が二つ並び、冷蔵庫と電子レンジと電気ケトルが備え付けてある。電気ケトルでお湯を沸かしている間、私はつっきーにスマホを見せていた。

「どう思う? これ」

「……ガチじゃん」

 いやーないわーやべーじゃんコイツー! みたいな軽い返事を想定していたが、つっきーの口調はむしろ神妙だった。

 お湯が沸いた。ルピシアのAssamの茶葉をティーポットに入れ、お湯を注ぐ。

「どうすんの? 行くの?」

「続き読んで」

 つっきーは画面を数回なぞった。私はその様子を眺めている。つっきーの目が険しくなった。

 渋い表情と共に「ん」と差し出されたスマホを受け取り、弁当の横に置いておく。

「絶対『そういうつもり』だよ、齋藤さん」

「やっぱり?」

「どう見てもそうでしょ。行くの?」

「一回くらいいいかなぁって」

「断ったら? 夏帆、齋藤さんのこと好きじゃないでしょ」

「齋藤さんどころか男が好きじゃない。女の子大好き! つっきー結婚しない?」

「あんた、齋藤さんみたいなこと言ってるよ」

「うわーそれすごい自己嫌悪。え、じゃあなんて言って断ろうか。実家に帰らせていただきますので無理です! とか?」

「なんでそこでネタに走るかね」

 まぁマジレスすると、と私は前置きをする。

「齋藤さんは背は低いし顔は悪いし変人だけど、別に危険な人じゃないから、二人で会っても大丈夫だと思うのね。一回会ってビシっと断ってくるよ。ズルズルしてる方がめんどくさいわ」

 あ。思い出したようにAssamを二人のマグカップに注ぐ。Assamはちょっと淹れ過ぎただけで渋くて大変なことになる。

 結果としては、大変なことになっていた。

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