lesson.8 ライバルを知ろう
「ねぇ泉野さん」
木曜日の朝、ホームルーム前に声をかけてきたのは
「どうしたの、安城羅さん?」
「昨日のステージ、とても素敵だったよ」
「ありがとう!」
あまり喋ったことはないけど、思わずドキッとしちゃうくらいには安城羅さんってこんなに笑顔が素敵な人だったんだ
「それでね、泉野さんさえよければ……来ない?」
「え、どこへ?」
淡いピンクのポーチから差し出されたのは安城羅さんの名刺。ふわり at. STAR☆BLUEって書いてある。なるほど、ふわりちゃんはスタブルの傘下だったのか
そうなると話は早い、「来ない?」ってのはつまり、私をSTAR☆BLUEにスカウトするってことだ
「ごめん、それはできない」
「どうして?泉野さんのルックスと歌唱力なら神ファイブも夢じゃないよ?」
お世辞も入ってるだろうけど、そう言われて悪い気はしないね。だからこそ思い出せ、私たちの原点を
「6ix waterはね。神ファイブに挑戦するために結成したの。具体的に言うとアイドルキングダムの両部門の順位で上回ろうとしてる。だから、STAR☆BLUEに与することは出来ない」
「……そか。じゃあ頑張ってね」
「うん。勝つよ、絶対」
「──ってことがあったんだよね」
「ふむ…似たような経験をした人は?」
挙手したのは美玖ちゃんとなほちゃん。でもなぜだろう
「私や沙織、セイラはスカウトしても断られるのが分かってるのよね。特に沙織は花咲このはに挑戦すると公言しているし」
「すっげぇ度胸スよね」
「つまり、どう転がるかわからない私達がスカウト対象になったということですか?」
「先輩方とあたしがスカウトされてないことを鑑みるとそういうことだね」
「さて、そんなことより今日はライバルを知ることから着手しようか」
「ライバル……ですか?」
「神ファイブに勝つ。その前にボクらの上を行くアイドルを知ろうってことさ」
タブレット端末に表示されたアイドルキングダムのホームページ、ミュージックビデオ部門。昨日のライブの影響もあってか順位が急上昇している
「ボクの方で二組選んでおいた。『タニンノソラニ』と『アーカムハウス』だ。どちらもスタブル内のユニットだけれど、実質ほぼ独立しているよ」
「あ」
「どうしたんだい、玲奈?」
「タニンノソラニ、ふわりちゃんって安城羅さんだ」
「クラスメートッスか?」
「うん。安城羅メルって子がふわりって名前でネットアイドルやってるって言ってた」
コスプレしてるけど間違いない
「その相方のきらりちゃん、私のクラスメートの
「つまり、タニンノソラニは二人ともこの学校に在籍しているということだね」
「凄い偶然ッスね。アニメみたいッス」
「おや、タニンノソラニはオリジナル曲は1曲だけのようだね」
「ですね。他はアニソンやボーカロイド楽曲のカバーになります」
「そして、ボクらもオリジナル曲は一つだけ」
「沙織?」
いやーな予感がするんですがそれは
「1曲だけのライブバトルを、明日にでも姫野里学園でやろうじゃないか。格上の実力を知るにはいいとは思わないかい?」
『えええええ!?』
ボンちゃん、明日は頑張ってね
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます