DX3rdリプレイ「正しさを乞う」

ルーカス

オープニングフェイズ

シーン1:先生

 11月下旬。

 斎藤閂さいとう かんぎはいつものように、UGN支部のあるビルの、地下駐車場を警備していた。

 この駐車場はUGN専用で、限られた人間しか入ってくることはない。間違えて入ってくるということも、地上で止められるために基本的にない。

 そのため、斎藤の仕事は警備というより、ここに来る人間を迎え入れることだ。

 斎藤の背後にある入り口は、UGNにとっては秘密の通用口にもなっているのである。


 今日は、特に今のところ誰かが来る予定も、気配もない。


斎藤:(暇だ……)


 そんなおり、ふと、背後でドアが開く音がした。振り向くと、そこに立っていたのは見知った顔だ。


「先生」


GM:風間朱理かざま あかりですね。


斎藤:「おお、風間!」

冷蔵庫(斎藤):呼び捨てですね。


風間:「調子はどうですか?」

斎藤:「おかげさまで、退屈なくらいだよ。こんな仕事を回してくれたUGNには感謝してる」


 そういって笑う斎藤だが、その顔は変わらない。表情筋がない、という表現も当たってはいるが、正確には【斎藤の上半身はサイボーグ化されており、その顔は鉄でできている】のだった。

 以前はひのき小学校の教師であった斎藤は、とある日誘拐される。マッドサイエンティストの実験台として連れ拐われたそこで彼は、上半身だけ改造されたのだった。

 なぜ上半身だけなのか? 実験途中で廃棄されたのだが、その理由は斎藤には分からない。その後彼はUGNに拾われ、今はオーヴァードとしてこの地下駐車場の警備を行っているのであった。


風間:「それはよかったっす」

斎藤:「こんな顔で教師は厳しいからなあ」

風間:「教師時代の先生、いい先生だったのになぁ。もったいないですよ、ほんと」

斎藤:「はっはっは、ありがとう。だが今はこうして、風間達の仕事に少しでも役に立てるのはうれしいよ」

風間:「ふふ、そうですね。俺もまさかこんな形で再会するとは思ってもいませんでした」

斎藤:「こんな非日常の世界で、俺たち一般市民を守るために、お前はがんばっていたんだなぁ……」(しみじみ)


 レネゲイドウイルスについて知ったのは、つい最近のこと。世界が変貌していることに気がついたときには、既に自分の生徒がそちら側にいた。

 突然非日常の世界に連れてこられた斎藤が知ることは少なく、現に彼はまだ、風間達が実際に何と戦っているのかすらよく分かっていなかった。


斎藤:「まったくだ。こんな形で再会するなんて」


GM:と、そんな感じで会話をしていた時のことです。


 コツ、コツ、コツと、足音がした。


風間:「……?」

斎藤:「ん、来客かな」


GM:風間は表情を消す。そうすると、子どもの時とは違う、寂しげな顔になる。

  地下駐車場に、車ではなく、歩いて入ってくる人物——あなたは、もしやと思うかもしれない。


 来客か、それとも。

 近づいてきた人物、それは――。



 「————神、宮?」


 風間の声が小さく、響いた。




GM:ここでシーンカットです。

冷蔵庫(斎藤):はい!

GM:先生はここで神宮、もといエピゴーネンと会うことになります。エピちゃん側からも同様ですね。

ルーカス(神宮):ふむ

冷蔵庫(斎藤):はいな!

GM:エピちゃんはその後、UGN支部で保護され、また事情から、外には勝手に出歩かないように、って感じになります。

ルーカス(神宮):はーい

冷蔵庫(斎藤):顔合わせ完了!

GM:(事情についてはエピちゃんのハンドアウトで書いた襲撃です)

ルーカス(神宮):(なるほど)

冷蔵庫(斎藤):(襲撃……?)

GM:さて、それから、しばらくの時が流れました……

―――――――――――――――――――

◆プレイヤー&キャラクター紹介

PL:冷蔵庫

 宇宙観測グループではない普通の冷蔵庫。ゲスト参戦(?)

 TRPG初心者で、ダブルクロス3rdも初めて。今卓における真の初心者枠。

 色々自信がない。人のキャラシが好き。HI◯ACHI製

PC1:斎藤閂 コードネーム【先生】

■経歴

 平凡な中流階級の家庭に生まれ、平凡に悩んだりしながら順調な子供時代を過ごす。大学では数学を専攻し、将来は数学科の教員になりたかったが、教員採用試験で挫折。31歳で小学校教員として再出発すると、元来の子供好きで世話好きな性格が幸いし、優しい先生として平凡ながら満ち足りた生活を手に入れる。

 同僚の先生に淡い恋心を抱いていたが、ある日突然、非合法の研究機関に拉致され、サイボーグ技術の実験体にされてしまう。その際にレネゲイドウイルスを発症させられ、サイボーグ兵器として改造されていたが、何らかの理由で研究機関は改造の途中で夜逃げしてしまった。

 上半身だけサイボーグという極めて中途半端な状態で残された斎藤は、その特異な見た目から元の生活に戻ることもできず、それまでの人生全てを失ってしまう。そんな斎藤に接触してきたのが、UGNであった。現在は、UGNの下級エージェントとして、警備員の職にありついている。尚、給料の大半はサイボーグ体の整備費に消えてしまうようで、生活は極めて質素。

 一応、UGNに拾われてなんとか生活できるようになったものの、失ってしまった「平凡な人生」に強い執着が残っている。

■性格

 穏やかで世話好き。誰に対しても人当たりよく接するが、少々空気が読めない一面があり、押し付けがましいお節介も多い。

基本的に真面目で職務に忠実な一方、親しい人間に対しては融通を効かせすぎるなど、流されやすい部分がある。

 年齢36歳だが、アラフォーであることを頑なに認めようとせず、「おじさんではない、お兄さんだ」と言い張る。

 上半身がサイボーグとなってしまったせいで、加齢も自覚できていない。

 サイボーグだからといって、別に機械に強い訳ではなく、むしろ電子機器は苦手なタイプ。

 携帯電話としてスマートフォンを所持しているものの、使い方が未だにわかっておらず持て余している。

 平凡な生活を愛し、失ってしまった一般人としての生活に強い未練があるが、同時に平凡な自分に対するコンプレックスを併せ持つ。

 オーヴァードとしての衝動も、平凡な自分に倦み、平凡ではない自分になろうとするモノ。

 平凡に対する執着と解放という矛盾する二つの志向が心の内に渦巻いており、時折その苦悩を覗かせる。

 一般常識を失っておらず、命を賭けたやり取りなど、非日常的な出来事に対しては怯えたり、できるだけ回避しようとする。

 常識的な一方で極めて世俗的でもあり、自身を含むオーヴァードに対して畏怖を払拭しきれない。

 戦闘は苦手で、できるだけ避けようと努力する。しかし「大人としての義務」として、子供や無力な者を守ろうとする時は少しだけ勇気が出せる。

 とはいえ、勇気が出てもあんまり強くない自覚はあるので、自分にできることを頑張ろうとする。

 オーヴァードとなる前、小学校教員時代の同僚に淡い恋心を持っていた。

今から連絡を取る勇気もなく、彼女の連絡先の登録してある携帯電話を握りしめ悶々としている。


本人は無自覚だが、若干ロリコンの気がある。ただし向けているのは性欲というより保護欲。














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