第108話
「このまま貫くっ……」
「スペシャルローリングサンダー……!」
りおんとひばりが叫び、核に触れる……光速回転に伴う圧倒的な熱量で、接触面は融解し核の「躰」をひばりおんは「官能的」に貫いた……。
虹色の光が消え、回転が停止すると同時に両者の合体は解除され、解放された月下美人が「はぁ」と安堵の想いを漂わす……。
魔法少女達が、貫かれた核を取り囲む。
しかし彼女達は、防御とひばりおんの「常識外」の攻撃に囚われていたあまり、標準的なダークエネルギーを壊滅する中軌道領域まで「侵入」を許した事実をまだ認識していない……。
静寂……。
まだ、奥の手を隠しているのか……。
全員が身構える……。
心配は皆無であった……。
悦び、怒り、全ての念が入り混じった意味深な嘲笑を宇宙空間に響かせて、ダークエネルギーの核は粉々に砕け散る……。
一粒一粒が異なる色彩を施された「宝石」……。
無数に拡散した核の残骸に、太陽光があてられ、反射して魅せる表情に見惚れる監理局、鏡花、魔法少女、ポーター達。
それらの「快楽」を弄ぶかの様に、重力に導かれた亡骸達は地球へと落下してゆく……。
「全て大気圏で燃え尽きます……」
先に「自我」を取り戻した鏡花が優しく言った。
言葉通り、亡骸達は魅惑的な色彩を煌めかせ、尾を引きながら大気圏に突入してゆき、やがてその全身に炎の衣を纏う。
「あれって、みんなにバレるよね……」
りおんがひばりに訊いた。
「そうね……そして、流星群として処理されるんでしょうね……」
「なる程ね……でもきっと辻褄が合わなくなるから、わたしの時みたいに記憶消去魔法とか使うのかな……」
「そうでしょうね……」
まだ、煌めきの余韻の中で、りおんとひばりは紡ぎ合う……。
「んで、わたし達とステッキさん達の合体って、人柱として参考になるのかな……」
「さぁ、どうかしら……監理局に任せましょう」
「そうだね……」
「はぁ……全く全てがデタラメですわ……」
とっくに自我を取り戻していたリンスロットは、緩い会話を続けるふたりを厳しく見つめ、想いを尖らせる……。
「そんな事言って……やろうと思えば、何だってやれただろうに……」
「もしかして、手を抜いた……?」
「うんうん……」
リンスロットの心情を知ってか知らずか、からかい気味にアンテロッティが探り、ローグは直球を投げ、コステリッツは全てを理解しているかの様に深く頷く……。
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