第100話

 その「礼」として、怒りにも似たレーザーが広範囲に照射され「うわぁ」と声を上げて防御シールドで堪える魔法少女達……。


「あなた……何をやっていますの……防壁と防御シールドを同時に展開するのはみなさんに負担をかけますのよ……」


 リンスロットの「怒号」が、キャサリンに向かう。


「ちっ、やっぱりダメかぁ……」


 事の深刻さとは裏腹なキャサリンの態度。


 こうしている間にも、じりじりと更に地球へと押される展開……。


 鏡花も監理局も手詰まり……。


 予備役、退役組も助けに来ない……。


 尚も押される。


 食い止める魔法少女達……。




「合体……」


「えっ……?」


 ふと、りおんが思い出した様に呟き、ひばりが問ひ返す……。


「いやぁさぁ、こういう時って合体でしょう……勿論そんなオプションはあるよねぇ、ステッキさん」


「ギクッ……う、うぅむ……りおん……その、あるにはあるが……」


「煮え切らない返事だなぁ……」


「い、いやぁ……その……」


 思わぬ「急所」を突かれた、しどろもどろなステッキさん……。


 りおんの「思いつき」に鏡花、監理局、他の魔法少女やポーター達、はたまたダークエネルギーでさえ一瞬、魂の居場所が宙に浮く……。


「んじゃステッキさん、とりあえず月下美人さんと合体して……」


「はあああああああぁっ……!」


 月下美人の壮絶な拒絶反応。


「何で私がそこのヘタレポーターと合体しなきゃいけねぇんだよっ……!」


 冷えた宇宙空間に、月下美人の叫びが響き渡る。


「まぁまぁ月下美人さん……絶対という訳ではありませんから……」


 宥めるひばり……。


「ひばりまで適当りおんにそそのかされて……それに、私とあいつが合体したって意味なんかないよ……ったく、そこんとこわかってんの、りおんちゃんよぅ……」


「うぅむ、勘で上手くいくと思ったんだけどなぁ」


 月下美人の、そして鏡花、監理局、魔法少女達の「まとも」な疑問にりおんは腕を組み、小首を傾げ、あさっての方向へ視線を漂わせながら、あっさりと即答した。




『ああぁっ……』


 りおんとひばりを除く「全て」の者が「やっぱりか」と同じ感想を吐き出す。


「勘だってぇ……嫌だっ、絶対嫌だよっ……そんな事するなら、自閉モードに入るよっ……」


「あらあら、月下美人さんたら……」


「おいおいっ……そんなに嫌わなくってもいいじゃないかっ……ぐすん……」


「いやぁ、駄々こねないでお願いしますよぅ、月下美人先生……」


 月下美人がやさぐれ、ひばりは何処か楽しそうに困惑し、ステッキさんは凹み、どんぶり勘定的な表現でりおんが、りおんらしくお願いする……。

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