第98話
「ではシルフィ……とりあえずフロージョン弾を試します……出力調整はお任せしますわ……」
構え、リンスロットはフロージョン弾を放つ。
シルフィも「遠慮」したのか、程々の威力のフロージョン弾は、宝石という新しい核の内部に吸い込まれてゆく……。
拍子抜けしたリンスロット達を弄ぶかの様に煌めきの「反射」を繰り返し、宇宙空間は静寂に包まれる……。
「みんなっ……シールドを展開してっ……!」
嫌な「感」を読み取ったひばりが、危機を発する。
一体何を言っているのか……。
戸惑いながらも、ぽつぽつと防御シールドを展開する魔法少女達……。
突如、ダークエネルギーの「怒り」が、全魔法少女達に光の矢となって走り、向かう。
その尋常ではない威力を感じた彼女達は、ひばりの忠告に懐疑的だった己を後悔し、シールドの出力を増す……。
「うわっ……」
少女らの「膜」を、その眩い煌めきと威力で宇宙の片隅にまで追いやろうとするダークエネルギーの意図を、声を絞り、奥歯を噛み締めながら、じりじりと後退する躰を現状に維持する事に腐心する魔法少女とポーター達……。
それはエリザベス、シフォン、キャサリン、欧州カルテットでさえ例外ではない。
猛威をなんとか耐え忍び、辛くもしのいだ魔法少女達の瞳は自然とリンスロットを捉える。
「わ、わたくしのせいではありませんわよ……」
至極当たり前なリンスロットの意思。
「リンスロットさんのフロージョン弾は、逆効果ですか……しかし、これも貴重なデータです……」
分室の鏡花が、声をしかめながらもリンスロットを労う。
「攻撃を吸収……跳ね返すという事ですか」
「こまっしゃくれめ、ヘマしやがって……」
エリザベスのやるせない分析に、キャサリンのからかい声が上乗せされる。
「…………」
からかいを無視するリンスロットの無言の態度。
「こちらの攻撃に比例して、反撃の度合いも変化するみたいですね……つまり、ゴールドスタークラスの攻撃が事実上、封じられたという事です……」
「…………」
「これが、リンスロットさんの攻撃で監理局が急いで解析した結論です……とりあえずは……」
続けざまの鏡花の虚しい回答。
そんな人間達を嘲笑う様に、ゆっくりと回転しながら地球へと近づくダークエネルギー。
「防壁シールド……みんな、くい止めて……」
エリザベスの指示で、防壁シールドを展開する魔法少女達……僅かな時間、ダークエネルギーの侵攻が弱まる。
弱まるも、ゆっくりと確実に地球へと戻される魔法少女達……。
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