第92話
持てる力を駆使し、更に赤く発光したハンセンをしならせ、周りの人型、キューブ、ウェーブタイプを蹴散らすキャサリン……。
その勢いは、他の魔法少女達やひばり、りおんと対峙していたダークエネルギーさえも消し去る。
キャサリンの豪快さに、さりげないドロシーのフォローが心憎い……。
ふたりの関係に、感嘆の声を上げながら残った人型、キューブ、ウェーブタイプを始末してゆくエリザベス。
欧州カルテットの優雅さ、キャサリンの豪快さに裏打ちされた緻密さに覆い隠されるエリザベスとシフォンの実力……。
裏方に徹すると表現すればそれまでだが、欧州の特殊な事情と、つけ入る隙を窺うアメリカの見えない重圧と策略の景色を感じているエリザベスとシフォンは、あえて「前に」出ないと意識を控えているのかもしれない。
そこにふたりの両国政府の「指示」が介在しているのかは定かではない……。
否応なく「代理戦争」の主戦場として荒らされる少女達の魂。
「では、私達も遅ればせながら衛星型に取りかかりますか……」
エリザベスが、フロージョン弾を放った残光の煌めきに声を乗せた。
「はいよっ、エリザベス姐さん……ひばりもりおんも行くよっ」
人型、キューブ、ウェーブタイプを蹴散らした魔法少女達がエリザベスに続く中、ハンセンを「遊びながら」キャサリンは、ひばりとりおんをけしかける。
「ひばり……わたし達も……」
りおんがキャサリンに応えるも、なにやら真理を探究する瞳で表組の方向を見つめ、動かないひばり。
「ひばり、どうしたの……」
「あっ……えぇ、そうね……りおん……」
「もうキャサリン達があんな所まで行っちゃったよ……急ぐよっ」
まどろしいひばりの腕をやや強引気味に掴み、キャサリン達を追うりおん……。
「ひばり……もしかして……」
「えぇ……私の思い過ごしだといいのだけれど……」
りおんに引っ張られながら、月下美人の問いかけに尚も表組の方向に視線を流し、ひばりはりおんに聞こえない声で自身の懸念をこぼす……。
衛星型のみ残された表組の戦いは、佳境を迎える。
魔法少女達が衛星型を等間隔に囲む……。
衛星型に12個の小さな衛星があるかの様な風景……。
目に見える衛星型の外観は、黒い雲の様な気流が不気味に蠢き、内部の構造を窺い知る事はできない。
どんな成分で構成されているのか……。
液体、ガス……蠢く内部にはなにが潜んでいるのか……。
統計的に衛星型は、頻繁に襲来する訳ではないので、その実態は監理局でも掴みかねている。
少ない情報を精査し、過去の戦い方を踏襲する。
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