第90話

 自身もエリザベスも、ゴールドスターだが、彼女達の関係性と実力を尊重し「雑音」にならない配慮を見せる。


「わかりました……」


 リンスロットは、シフォンの想いに呼応した。


 表組の魔法少女達が、人型と戦う……。


 隙を縫う様に、キューブタイプが不規則に動き、彼女達を狙う。


 ウェーブタイプは不気味な呻き声で、全てを吞み込もうとうねる。




「しつこいっ……」


 人型が、彼女達に絡む。


 剣、銃、弓、スラッシュ弾……彼女らのポーターの変化は様々で「個性的」だ……。


 斬り、撃ち、射て、薙ぎ払い、人型を掃討してゆく……。


 黒い人型も、同じ「装備」で魔法少女達と対峙する。


 顔の表情が全くないが故の恐怖……。


 いっそキューブ、ウェーブタイプ、衛星型の方が与し易いと魔法少女達は感じているのかもしれない。




「うぇぇぇ……」


「ウザいっ……」


 そういった感情が漏れるのは、人の形を模した「己」を映し観た魂が反応する「同族嫌悪」故か……。


 人型を「殺して」前に進もうとする少女達を阻むキューブタイプのレーザーとウェーブタイプの触手……。


 防御シールドを展開し、レーザー、触手を払いのけ進む……。


 生き残った人型も足掻く。


 進んでは戻される……じりじりとした攻防戦。


 ゴールドスタークラス……欧州カルテットにシフォン……。


 残り全員がシルバースタークラス。




「全くキリがないねぇ……」


「そうね……」


 アンテロッティが愚痴り、ローグが涼しく同意する。


 そう言いながらもふたりは圧倒的な「火力」で人型、キューブタイプを掃討してゆく……コステリッツの防御シールドに護られて……。


 3人の「演奏」に「主旋律」が巧みに溶け込み、リンスロットのフロージョン弾がウェーブタイプを、そして人型、キューブタイプまでも薙ぎ払う。


「おいおいリンス、私達の獲物まで……」


 アンテロッティが呆れる。


「あら、不可抗力ですわ……それにしてもリンスって……りおんの悪影響ですわね……」


「かもな……」


「おふたりさん……ここで遊んでいる暇はありませんよ……私達の本命は衛星型なのですから」


 リンスロットとアンテロッティの戯れを、ローグの麗しい声が覆う。


「こちらはかたづきそうですから、4人は衛星型に取りかかって下さい……あとで私達も合流します」


 カルテットの旋律を邪魔しない余拍に自らの声を奏でるシフォン……。


 カルテットに気を遣いながらも戦況を把握し、要所に攻撃を加え、必要ならさりげなく手助けする。

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