適当魔法少女*りおん
プラチナサファイア
1*定番ですね……。
第1話
「誰…………?」
風呂から上がり、部屋に戻ったりおんはバスタオルを巻き直し、怪訝な眼差しで言った……。
「オレの名はアナザー……あるいは、もうひとつの可能性、オルタナティ……」
「あぁ、そういういきなりのネタはいいから」
「うーむ、こうもあっさりとかわされるとは……まぁ、いい……」
ちょっぴり不満げな「彼」は気をとりなおし、意味深な声色で「彼女」に迫る……。
「初めましてりおんさん……早速で申し訳ない……いや、皆まで言うな。突然現れて、ネタを突っ込み、スルーされて、テメェ何言ってんの?と思われるのを承知で言いますが……」
そう言いながらじりじりと、かつ慎重にりおんに近づき……
「私と契約して、魔法少女にならないか……」
ニヒル半分、必死さ半分の声色で、ぐいっとりおんに懇願した……。
「やっちゃったね……」
「えっ……?」
「いやぁ、定番ですね……契約、魔法少女……いきなりのネタはアレだけど、まぁ確かにそうなっちゃうよね……」
「うっ……」
「んまぁ、こうするしかないか……突如現れた謎のステッキ状の物体が、何故か言葉を喋り風呂上がりの少女の躰を舐め回し挙げ句、契約に従い魔法少女になりなさいと、一方的かつ不条理なご提案……状況を把握できず、あたふたする少女の様子に、自身の内部から湧き上がる快楽を楽しみ、有利な立場から魔法少女としての特典をくどくどと説明する……ってか、説明といっても肝心な部分は伏せて、わたしが魔法少女になって調子づいたところで、謎を明かし、どろどろとした闇展開に突入する……おおかたそんな感じでしょ……」
ステッキ状の物体をスルーし、湿り気が残る髪をバスタオルで拭きながら、りおんは少し落胆混じりに言い、顕になっている自身の「裸体」にも気にせずにマットレスに腰掛ける……。
「それで、少女の裸をガン見して、まだ居座るつもりですか……」
「ば、馬鹿言っちゃいけないよお嬢さん……私は何も見ていない……いや寧ろ、見ている様で見ていないのです……」
入浴後、バスタオルを躰に巻いて部屋に戻ったりおん……彼女の通常ルーティーンワークである。
唯一、日常と違ったのは「彼」が部屋にいた事……そして、いきなりの魔法少女契約のお願い。
「んで、結局見たよね……」
「み、見てません……この年頃の成長過程とはいえ、危うさ、儚さ、男のロマンを掻き立てるふたつの蕾が、ちょーっぴり残念な感じになってる……とか、そんな風景など見える訳がありませんっ!」
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