夜明けと蛍

佐々木雄

その日、あの時

「翔はさ、運命って信じる?」

 もうすぐお別れだというのに、最後の言葉がそれなのか。

 それが俺の頭に1番に浮かんだ思いだった。

 しかも彼女の顔は、いつものように俺をからかっている、嬉しそうで、楽しそうで、憎めない笑顔。

 もう呆れを通り越して笑ってしまった。

 「はは⋯⋯はっ⋯⋯。お前、ホントぶれねぇのな」

 それは皮肉のつもりだったのだが、彼女はその意図に気付きながらもニッコリと笑うだけ。

 「俺は──」

 

 これは、俺が高校2年生だった頃の夏休みの話。

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