第六話 エルフの協力
使者を送ったその日の内に、アミーラは尋ねてきた。
いつもの側近の女エルフ、リュルブレ、タヅネと馴染みの面々も従っていた。
マックスは事務所に彼らを招き入れた。
アミーラは表情を曇らせる。
「……
マックスはそれは違うと否定する。
「デイランを捕らえたのは、政治的目的よ。アミーラたちのせいではないわ」
リュルブレは眉をひそめた。
「政治的? どういうことだ」
「それはまだ詳しいことは分からないわ。
一体、デイランを捕らえたのがどういうことを目的としているのか。
でもエルフとドワーフの民間での交流は、個人同士では公然と行われていた。
それがいきなり、それもデイランを狙い撃ちをしたのには絶対に目的があるからだわ」
アミーラは目を光らせる。
「妾たちも是非、協力するぞっ!
ナフォールに
「ありがとう。
あなたにそう言ってもらって嬉しいわ」
マックスとアミーラ。
女同士にしか通じぬ何かを互いに読み合ったように、力強くうなずく。
「ところで、
デイランはどこへ連れていかれたのぢゃ?」
「サン・シグレイヤス。教団本部のある街。
そこへ向かって奪還するわ」
「何か策があるのかえ?」
「まだないわ。もろもろに関しては現地に行ってから考えるわ。
ついては、リュルブレを借りたいの」
「うむ、無論、承知した。
リュルブレ。良いな」
リュルブレは
「無論です」
アウルは鼻息荒く腕を組んだ。
「よし、俺たち三人か。
少数精鋭だなっ!」
マックスは否定する。
「アウルは留守番よ」
アウルが眼を剥いた。
「何でだよっ!?」
「当たり前でしょう。
もしあんたまでいなくなって、その間、集落が襲われたらどうするつもりなの?
帰る場所がなかったら、連れ戻す意味もなくなるのよ。
分かってる?
アウルにはここのみんなをまとめて、いざという時は守ってもらいたいのよ」
「……い、言ってることは、分かるけどよぉ」
アウルは子どもっぽく唇を尖らせる。
リュルブレは、子どもっぽいアウルに苦笑しながらも言う。
「アウルはデイランの友だろ?」
「当たり前だ!」
「だったら、デイランが手塩にかけている村を守ることは大切なことじゃないのか?
それはアウルにしか出来ない。
無論、俺たちの方からも人を出して村を守るのを手伝わさせてもらう」
「……お、おう」
「デイランはきっと救い出してみせる。
歯がゆいとは思うが、任せてくれ」
「失敗したらただじゃおかねえぞっ!」
マックスは全員の顔を眺める。
「話しはみんな分かってくれたわね。
――リュルブレ。すぐに出ましょう」
リュルブレは力強くうなずいた。
「分かった。
タズネ。アミーラ様のこと、頼んだぞ」
「分かってる……。
あなたも、気を付けて」
リュルブレとタズネはぎゅっと抱き合った。
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