不器用恋愛
きょん
好きな人
『君は好きな人いるの?』
『いないと思うよ』
『えーなにそれー(笑)だれなのー??』
『さぁね(笑)当ててみな』
『絶対に明日学校で聞いてやるからなぁー!』
僕とそんなメールのやり取りをしていたのは同じクラスの瑞希だった。
彼女は物静かで人見知りをするような少女と見られているが、本当は人懐っこく、よく笑い、それでいてマイペースで天然という見ていて面白い人間だ。
そんな彼女と僕は昨晩メールをしていたのだが、お互いの恋愛の話になり今に至る。
「ねぇ、君の好きな人はだれなの?」
手を上下にバタバタさせながら新しいおもちゃを買ってもらった子供のような笑顔で興味津々な目をして聞いてくる。
この笑顔がまた可愛い…
何その笑顔...可愛いんですけど!めっちゃほっぺたツンツンしたくなるんだけど!
しかも何その身振り...おもろい
僕はそんな瑞希が好きだ。
と、僕は心の中でそう思いながら
「誰でしょねー」
と僕は笑顔で返した。
「だーれー?ねぇ誰が好きなの?私も教えたんだからおーしーえーろぉー!」
彼女は僕の腕を引っ張りながら僕が教えようとするまで続ける勢いだったのでしびれを切らした僕が
「分かった!教える!教えるから離して!」
直後、彼女の動きがピタッ!っと止まり話を聞く姿勢になった。
「だれ?だれなの?」
早く聞きたくてしょうがない彼女は僕の回答を促してくる。
「いないよ」
「え?」
「だからいないって」
僕の回答にポカーンとした表情をした彼女、その表情もまた可愛い。
「え?ずるい!私だって言ったのに!ずるいよ!!」
「あんたもいないって言ったやろ!」
「だっていないんだもーん」
「俺も同じだ」
「むぅ...」
僕の回答に不満げな表情を浮かべる彼女だったがこれ以上聞いても答えは変わらないと思ったのかこの時はすぐに諦めてくれた。
「諦めてくれてよかったね」
と、声をかけてくれたのは背が小さく不思議ちゃんのようなオーラをいつも漂わせている同じクラスの史佳だった。
「あっ、聞いてた?長くなると思ったけど助かったぜ!」
「でも言わなくてよかったの?」
そう、史佳は僕が瑞希を好きなことを知っているのだ。
そのことを知っている史佳はニヤニヤしながら僕の反応を見て楽しんでいる。
「なんだよ、またからかうのかよ」
史佳のその表情につられ僕もニヤニヤしながら史佳にそう言った。
「早くしないと他の人に取られちゃうかもよ?」
「それ言う?」
「うん、言う!反応が面白いから」
悪魔かこいつ...
「まぁ、なんにせよ言うなら早く言っちゃいなよー!後悔しても知らないよー」
僕をからかって楽しんだ史佳はニヤニヤしながら去っていった。
それと同時に授業のチャイムが鳴った。
不器用恋愛 きょん @kyon_13
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