第278話 サヨナラと出逢い
おかえりなさい♡
昨日は誰かが死んでしまった様な投稿をしてしまいました。
しかし僕にとってそれと同等なくらい寂しいサヨナラがありました。それは僕が5年以上お世話になりアドバイスをしてくれた瀬川さんとのサヨナラです。新年度になり異動となり僕の担当から外れる事になりました。
瀬川さんを簡単に紹介すると、福祉支援の職員で、30代の女性で結婚しています。細身の可愛らしい女性で性格は明るく、とても頭のキレる方です。
瀬川さんに出逢った頃の僕は、兄の会社を正式に退職して、行き場が無くて、どうやって自殺をしようか考える様な日々でした。
瀬川さんは僕に、次から次へと生きる為の提案をしてくれました。何でも聞いてくれるので、僕は面白くなり、子供の頃の写真や学生時代の思い出の写真を見てもらい長い時は2時間くらいお話をしました。
人に話を聴いてもらうのが、こんなにストレスの解消になる事を知りました。自殺願望という闇を抱えながら僕は必死に生きる道を模索しました。
「もう1度、働きたい。」
瀬川さんとの支援施設への見学が始まりました。最初に見学をしたのはパン屋さんです。いろいろな障害を抱えている人達が作業していました。
時給100円。
障害者の作業する施設の平均的な時給だと聞いて驚きました。面接をしてもらい、僕はやる気満々でした。しかし後日、不採用の連絡が入りました。理由は定員オーバー。
瀬川さんは諦めません。
3カ所目の見学でタンポポに当りました。時給は300円。段階的に時給がアップしていき最終的に600円まで時給が上がると聞きました。川崎で1番作業がハードで工賃が高いと有名だそうです。
仕事は小学校などから出る、給食で使用した廃油をリサイクルして石鹸を作り、その製品を梱包して小学校などに納品するというものです。
面接をしてもらい採用が決まりました。
はじめは週1日から。2カ月目で週2日になり、時給は400円にアップします。これで通所日を増やしていき、僕は週5日の通所にしました。
瀬川さんのアドバイスは続きます。
僕の生い立ちを面白いと聞いてくれるので、僕は自叙伝を書くので読んで欲しいと言うと「読みたい!」と答えが返ってきました。僕は行動に移します。
「小説って何?」
1人称の意味も分からず、取りあえず10万文字以上書く事を目標にしました。
パソコン音痴の僕は、紙の原稿用紙を大量に買い込みました。そうなのです。僕は手書きで自叙伝を書くつもりでいたのです。
下調べでいろいろな出版社のホームページにアクセスしたらパソコンで打ち込める原稿が無料でダウンロードできるのを見つけました。もう大発見です。1文字も手書きをする事が無くパソコンに打ち込んでいきました。知らない漢字を書くのも楽でした。そして書くのも楽しい。それでも自叙伝を書くのに8カ月かかりました。
題名は【人間のカケラ】。
作家気取りでペンネームも決めました。龍神昇にしました。
プリントアウトのやり方がわからないので、瀬川さんにやってもらいました。読んでもらうともう大絶賛でした。調子に乗って僕はファンタジーを書き出しました。残念ですが評判が悪くてお蔵入りにしました。
新作とただ今格闘中です。
♥♥♥♥♥
サヨナラと出逢い。
昨日、瀬川さんの最後の面談が僕の部屋でありました。
新しい担当の男性を連れてきました。中島さんと言う29歳の方です。左の耳にピアスをして、今風の人だなと思いました。結婚をしているのですが爽やかな感じがしました。
瀬川さんが業務を引き継いでいきます。
郵便物のチェック。おこずかい帳の入力。そして相談したい事。カクヨムの話になり、瀬川さんは実名で書いていると話しました。中島さんも実名で書いて良いと了承を得ました。
瀬川さんとの思い出話は尽きる事がありません。
「心のげんき」という専門誌の表紙に僕が選ばれた時の想い出は忘れません。撮影前に着る服が無くて一緒に買いに行ってくれました。撮影当日も同行してくれて最後まで付き添ってくれました。
タンポポの事でも2度退所しようと悩んだ時にも支えてくれました。
面談は終始笑顔で進みました。これから僕はメッキ工場の仕事での不安を中島さんに頼らなければいけません。相性が悪いと貝の様に口を閉ざしてしまうので心配です。
面談は楽しく終わりました。2人が帰り、1人で部屋にポツンと残り寂しさが残りました。
カクヨムの更新をしました。
恐らく連載を始めて1番短い文章です。それから缶酎ハイを2本飲み、別れとは何だろうと考えていました。
「本当の別れ。それは『死』です。」
生きてさえいれば再会する事もあります。瀬川さんからもらった優しさは忘れません。
中島さん、これからよろしくお願いします。この新しい縁を大切にして、綺麗な花を咲かせましょう。
最後に龍神昇さん。命が尽きるまで生きていきましょう。あなたのまわりは素敵な人で満ち溢れている事に気づきましょうね。(もう1人の僕より)
今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。次も逢いに来て下さいね。
僕の想いがあなたに届きますように……
いってらっしゃい♡
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