第51話 いい女の条件!?
『Fabulous ・ファビュラス』へ到着すると、信二と編集長・康代が二人の到着を今か今かと……待っていた。
「編集長……あの……わたし、アンソニーと……婚約し……」
すべてを言い終える前に康代が抱きついてきた。
「カレン、おめでとう! もう、婚約しちゃったんでしょ。しかたないわね、こうなったら認めるしかないでしょう」
「編集長……。ありがとうございます! 」
よかった。編集長に認めてもらえたんだ。アンソニーと顔を見合わせて微笑む。
「アンソニー、おめでとう!! もう、最後は信二とアンソニーにやられたわね」
「えっ……? どういう意味ですか? 」
康代の言っている意味がわからず、思わず聞き返してしまう。
「信二が、アンソニーに “もうこうなったら結婚するしかない” ってアドバイスしたのよ。ここへ来る前に、結婚を申し込んで、結婚を決めちゃったらいいんだよってね」
信二が康代を見て笑っている。
「結婚には勢いも必要だからね。アンソニーはカレンを愛していて、いずれ結婚したいと僕に言っていたからね。それなら、プロポーズは今でしょうってアドバイスしたのさ。僕と康代のようにタイミングを逃さないようにって、僕自身の経験からアドバイスしたんだよ。康代の命令なんて気にするな、男には強引さも必要だってね」
「まったく、私の計画がぶち壊しよ。私は、カレンにいい男とたくさん恋をして、いい女になってから結婚して欲しかったのよ。恋は、女を輝かせる一番の魔法なんだから……。色々な恋を経験して『Fabulous ・ファビュラス』と共に一緒に成長する。それこそが読者が求める真実の物語ですもの。まっ、でも……まだ婚約だけで結婚はしてないから、仕事は続けてもらうわよ。この『世界の男図鑑』は、いまや世界中から注目されてて、すごく評判がいいのよ。カレン、これからも頼むわよ」
「えーっ。編集長……!! 鬼ですね」
「僕は、これからもずっと……心配し続けなきゃならないのかい」
アンソニーが、やれやれという顔で肩をすくめる。
「康代、そういう君も……そろそろ僕との結婚を真剣に考えてくれてもいいんじゃないのかい? 君はもうじゅうぶん、いい女だよ」
信二が康代の顔を覗き込む。
「もう……私の話じゃないわよ」
ハハハハ……
笑い声が、『Fabulous ・ファビュラス』の事務所に溢れ響いていた。
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