あした世界が終わる日の今日
夜述 すみ
第0話 『 15Y 』
『地球に小惑星が追突します!!』
なんてテレビでアナウンサーや大学の教授が騒ぐ一方、
人々は横目で流し、明日を生きていった。
『ノストラダムスの大預言!!』
『終末時計が動いた!!』
目の止まる見出しを作っては、ゴミ箱に捨てられる雑誌。
全ては来るはずのない“明日”の話題に終わり、思い出話に変わる日々。
夜目を瞑れば、明日は必ずやってくる
君は言った。
「もしあしたがこなかったらどうするの?」
不安げな君に、小さな胸を叩いてみせた。
「ダイジョブ!あしたはくるよ!
ぼくはヒーローだからみんなをたすけるんだ!」
ヒーローになりたかった15年前。
なれなかった今は、自分の明日を迎えるために、日々人に使われる毎日だ。
君が転校する前の日の夕暮れ、
「バイバイ」
なんて言うから僕は またね と言った。
社会人になって、上司に連れられて行った他の企業も参加する合同の飲み会
たまたま隣の席になった女性が問う。
「もし明日が来なかったらどうしますか?」
突拍子もない質問に自信の無い答えを返す。
「いやー、僕は家族や友達に会いに行きますかね?」
悪戯な笑みを浮かべた女性は目を細め
「もうみんなのヒーローには、なってくれないんだね」
目を丸くして驚く僕を遮るようにして、居酒屋のテレビに映るバラエティの司会者がが必死に原稿を読み進める。
『明日が地球の最後の日です。』
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