Ultra Pure Water

岐阜県飛騨市神岡鉱山内にあります東京大学宇宙線研究所スーパーカミオカンデをご存知でしょうか。世界最大の水チェレンコフ宇宙素粒子観測装置で素粒子の観測を行なっている場所です。



****以下、ホームページより****


スーパーカミオカンデ検出器は5万トンの超純水を蓄えた、直径39.3m高さ41.4mの円筒形水タンクと、その壁に設置された光電子倍増かんと呼ばれる、約1万3千本の光センサーなどから構成されています。


スーパーカミオカンデ実験の目的の一つは、太陽ニュートリノ、大気ニュートリノ、人工ニュートリノなどの観測を通じて、ニュートリノの性質の全容を解明することです。1998年には、大気ニュートリノの観測により、ニュートリノが飛行する間にその種類が変化する現象(ニュートリノ振動)を発見し、さらに2001年には、太陽ニュートリノの観測により、太陽ニュートリノ振動を発見しました。2011年には人工ニュートリノによって第3の振動モードも発見しました。ニュートリノの性質を解明することは、宇宙の初期に物質がどのように作られたかという謎に迫ることにつながります。


スーパーカミオカンデはニュートリノを使って星の内部や宇宙全体を「見る」こともできます。太陽で作られる太陽ニュートリノを観測することより、太陽内部の活動を直接知ることが可能になります。あるいは、超新星爆発からのニュートリノをとらえることにより、星の爆発過程の詳細を調べることができます。また、宇宙の始まりから起きてきた数多くの超新星爆発由来のニュートリノを捉えることによって、宇宙の歴史を探ることができます。


一方、物質に働く4つの力をまとめて説明する大統一理論では、陽子が崩壊して別のもっと軽い粒子になることを予言しています。スーパーカミオカンデでは、この未発見の陽子崩壊現象を探索しています。陽子崩壊が発見されれば、大統一理論が実証されます。


****以上、ホームページより****


ご興味のある方は是非「スーパーカミオカンデ 公式ホームページ」へ!!

その場所で何を観測し、どのような研究をされているのかという事も十分に興味深く、面白いのですが、、、



そこは地下1000mどこまでも深い闇と静寂の世界。足元には満々と蓄えられた超純水が時が止められているかのようにある。限界まで不純物を取り除かれた汚れなき水。HとO以外認められないと、それ以外を排除された液体は本来、何でも取り込み受け入れる事が出来る生命の源だということを忘れてはいけない。神が作った奇跡の分子配列、『水』




私は巨大なタンクの蓋の上に立ち、手にしたランタンに火を入れた。火は一瞬赤みを帯びたあと、落ち着いた温かみのある炎となり、暗闇に微かな色をつけた。自身の影が炎の揺らぎに合わせて揺れている。私は身につけているものを脱ぎ去り上を見上げた。ドーム状の天井がこの場所の広さと地下深くであることを物語っている。大きく息を吸い、ひんやりとした地下の空気に全身を慣らしていく。高揚と寒さでゾクゾクする身体を感じながら、いよいよ長年夢見てきた5万トンの超純水のプールにに飛び込むのだ。この世で1番美しいプールへと…。想像しただけで身体の芯が熱くなる。5万トンの超純水に全身を沈める…5万トンの超純水…なんと淫靡な響きだろう…。その超純水をこれから私が……。5万トンの超純水が、私だけの世界一美しいプールがこの足の下にある。地下水を絶え間なく濾過しタンクを満たす超純水。ここに来る前に循環は止めた。計算上、内タンクの上部までの水は排水されているはずだ。

点検口を開き、ランタンをかざす。水は予想より多く残っていたが、足先が浸かる程度に見えた。美しい水に光が映り込む、やはり光量が足りない。常設の蛍光灯や投光器は付けないと決めていた。明かりは最小限がいい。その方がこの美しい水と光電子倍増菅を最大限に魅惑的に官能的に見せてくれるはずだ。青白い光よりは暖色の光がいい。そう、色温度なら2500〜3000Kぐらいが理想だ。持ち込んでいた電球色の灯具を付け、水中を照らす。「水はなぜ青いのだろう?」溜められた美しい水を見るといつも浮かぶ疑問。空が青いのと同じ理由。光という波が水を青く見せるのだとか。

内水槽の一部を外し、ついにその時がきた。投光器の光が静かにニュートリノを捕まえていた装置の中に入り込む。美しい水は光を吸い込みその水底まで導いた。見渡す限りの美しい曲線、光電子増倍管が規則正しく壁面を埋め尽くし光を反射し、投光器と私の影を映している。息が止まるほどに、苦しくなるほどに美しく壮大な光景だ。天も地も東西も、重力さえも忘れてしまいそうだ。

「きれい…」

静寂の中こだました自分の声を聞いた。

ついに…5万トンの超純水に身を沈め、深く、深く、堕ちていくのだ。飛び込んだ衝撃波で光電子倍増管が次々と割れ、ガラスの破片がキラキラと粉雪の様に水中を舞う。その光景を目に焼き付けながら…超純水に抱かれるように…ゆっくりと…全身に超純水を感じながら…


そしたら、この渇きは満たされるだろうか?

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