錆びた騎士団

@taiki0911

第1話

すっかり暗くなり、分厚い雲の下に広がっている森は寝沈み、

夜に包まれていた。

しかし、森の端にある小さな小屋だけは明るかった。

小屋から漏れる光から見える影はとても大きく、

その体は巨大な熊ほどもあった。

無造作に生やしたひげを蓄えているその男は自分の体にはあまりに狭すぎる小屋に住んでいた。

いつものように分厚い木でできた丸い窓から顔をのぞいた、

すっかり暗くなった森の奥の方の空から薄暗い雲が来るのが見えた。

「今夜は嵐だ」

そう言うと、その男は窓を閉め、

年季の入った木製のマグカップに熱いココアを注いだ。

「お前が生まれたのも、ちょうど今夜のような嵐だったなぁ」と、

横で寝ている赤ん坊に語りかけた。

男は、この子の顔を見るといつも思い出す。



たった一人の奴隷から始まったその騎士団は、国を救うため、立ち上がり戦ったがその歴史を世に知らされることなくこの世を去った、


その人は彼らを知る、数限りない人々からこう呼ばれた”錆びた騎士団”と。

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