第4話 超えた力....

マリアは実習場に戻るとバロンが待っていた。


「おう、マリアこっちだ。」


マリアは駆け寄る。

マリアが近くまで来たのを見るとバロンは授業でのことを話し始めた。


「マリア、単刀直入にいうが君の錬金術は錬金術ではない。」


マリアは首を傾げたが、黙ってきくことにした。


「錬金術は、自然エネルギーを生命エネルギーで増幅や強化をすることは言ったね。

でもマリアのはコップの中に強化増幅された自然エネルギーを発生させた。これは生命エネルギーを自然エネルギーに変換していないと起きない現象だ。

0からものを生み出す力だよ。」


バロンはマリアに険しい顔で続けた。


「君の力の名は《魔法》であると思う。試しにコップの水なしで同じようにイメージを今してご覧。」


そう言われたマリアは実習の時と同じように今度は何もないところに向けて両手を突き出してイメージを始めた。

(今度は、コップの水もないのでイメージを水に集中させてー)

両手の少し離れたところに小さな水風船のような宙に浮いた水が現れた。


「おお、これやはり魔法だよ。もう少し水量を増やすイメージを。」


(さらに増えーろ増えーろ。)


すると水風船くらいの大きさから大きくなりバレーボールくらいの大きさになった。


そしてマリアが疲れて両手を下ろすとバッシャーンと音を立てて地面に水が消えていった。


「やはり魔法は、術者の生命エネルギーを消費するからすごい消耗するようだね。授業では錬金術を使うように 。あと周りに魔法を使えることは他言しないように。」


マリアは疲れてきってしゃがみながら返事をする。


「あと魔法はイメージで簡単に使えると聞く。そのために呪文をいうのが普通みたいだ。考えておくのも悪くはないだろう。

じゃあ、今日はここまで気をつけて寮に戻りなさい。」


バロンは後ろ向きで手を振りながら去っていく。マリアはそれを見送ると服に付いた砂を払いながら立ち上がりバックを持ち実習場を後にし、寮に帰った。



寮に変えるとクロエが心配そうに待っていた。教室で呼び出されたのを見ていたようだ。


「マリー、大丈夫だった?何があったの?」

「ただの居残り補習よ。」


「それならよかった。」


「ロバートにも聞かれたわ。なにかあったかって心配してた。」


「わかった。ロバートにも言っておくね。」


「今日はマリーの部屋で宿題やりましょ!」


二人はその後各自の部屋に戻り、宿題を持ってマリアの部屋で勉強をし始めた。

ふとクロエが話し出す。


「今度の休み、街に行きましょうよ!」


マリアは軽く頷く。


「決まりね。楽しみね!」


「クロエって出身はここ王都チェリコ?」


「そうよ。案内は任せなさい。」


「お任せします。」


そんな話をしながら宿題を進めた。

終わった頃に暗くなっていた。


「それじゃあ、また明日ね!おやすみ。」


というとクロエは自分の部屋に戻って言った。

マリアは放課後にバロンの言った。

魔法には名前や呪文をつけるイメージしやすいと言うのが思い出された。


(うーん、初めての水の魔法は簡単のウォーターでいいかなー)


考えながらベットに入った。

目を閉じると久しぶりにあの光景が広がり、声が響いた。

今日ははっきりと女の子のような声で聞こえた。



【理の地で理の扉の前で待つ、すべての理を超えるものよ。我が名はヘルスト。】



そして次第に真っ暗になっていく。

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